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クラウディア・ハモンド(著), 木尾糸己(訳), MIND OVER MONEY 193の心理研究でわかったお金に支配されない13の真実

行動経済学や心理学の研究成果をもとにお金と心の関係を探る。 金銭的インセンティブの研究から、出来高制の報酬はある水準を超えるとうまく機能しなくなることがわかっている。人は報酬の対象とならない努力をしようとしなくなる。 子供の教育に関する研究も面白い。単に良い成績にお金を出すのではなく具体的な課題の達成にお金を払うことが成績向上につながる。また、子供の成果を褒めるよりも、努力や取り組み方を褒める方が効果的。 金銭感覚が似ている夫婦は幸福度が高い。離婚の先触れとなる最大の要因はお...
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岡本健太郎, 山賊ダイアリー (5) (6)

だいぶ長期連載になってきた。 日常の安定した面白さの上に、アメリカザリガニ、ヌートリア、アナグマなどの珍味追求が加わり飽きさせない。
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佐藤優, いま生きる階級論

新潮講座の内容を書き起こしたもので、資本論の読み方を契機に様々な教養を説く。 マルクス経済学では、労働力商品の対価すなわち賃金は生産論で扱われ、分配論には組み込まれない。 賃金は生活費、再生産費、自己教育費から成り立つもので、富の分配ではない。 資本主義の論理に巻き込まれると、死ぬまで働かされるというスタイルになってしまう。 資本主義社会には自己実現などない。 ここから抜け出すもっとも現実的な方法は、職人、画家、作家、開業医、ラーメン屋のような労働力が商品化されていない世界の...
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安間伸, ホントは教えたくない資産運用のカラクリ 投資と税金篇 2016

2003年版を大幅に改訂したもの。この10数年で大きく変わった投資税制を反映し (2003年時点では株式や投資信託の譲渡損失と配当金や分配金の損益通算すらできなかった) 、戦略も大きく練り直されている。 円MMF、公社債投信、利付債、割引債などが株式や投資信託との損益通算ができるようになった今、預金をする理由はなくなった。 複数の特定口座があれば、申告不要制度を最大限に活用できる。都合の良い特定口座だけを確定申告すれば良い。 雑所得になる投資はしない方が良い。どうしてもしたい...
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エリック・ライス(著), 浅野紀予(訳), ほんとに使える「ユーザビリティ」 より良いデザインへのシンプルなアプローチ

ユーザビリティの教科書。あまり系統立った本ではないが、細かなtipsの質は高い。また随所に出てくるバッドデザインの事例はやはり眺めているだけでも楽しい。 ボゴ・バトベックの3段階式ユーザビリティプランは、ユーザビリティ以外にも適用できる気がする。例えばセキュリティなど。 FUD (Fear, Uncertainty, Doubt) を減らせるならどんなことでもユーザビリティの改善につながる。 画面上のエルゴノミクスデザインではフィッツの法則を意識する必要がある。小さいボタンは...
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岡本吏郎, 会社にお金が残らない本当の理由

中小企業向けの経営指南書。 経営の最終到達点は1円でも多くお金を残すことと説く。これは内部留保を増やすことと同義。これだけ聞くと当たり前に聞こえるが、節税のために目一杯役員報酬を払っている場合は、そこに再投資のための内部留保が含まれていることを忘れがち。役員報酬はあくまでも合法的裏金に過ぎない。 銀行よりも仕入先、友人、親戚を大事にしろというのは同意できる。すべてがゼロになって再起を図るときに協力してくれる大事な人を道連れにしてはいけない。 決算書の利益は税金を取るための数字...
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魔夜峰央, 親バカの品格

魔夜峰央の日常エッセイマンガ。 ファンなら知りたい裏話がてんこ盛り。巻末には小林十市との対談も収録。
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フェリックス・デニス(著), 井口耕二(訳), 本物の大富豪が教える金持ちになるためのすべて

デニス・パブリッシングで財を成したフェリックス・デニスによる金持ちになるノウハウ。 ビジネスの立ち上げに成功して大富豪までのし上がるにはある種の狂気が求められる、というのが一読しての印象。著者が最初に掲げている金持ちになれる条件は、どれも大きな犠牲を伴うものばかり。それも長時間働く気概があることや失敗のおそれと正面から向き合うことなどはまだしも受け入れられる人が多いだろうが、家族に心配をかけても仲間や友達に軽蔑されてもかまわないと言い切れる人は少ないだろう。 自分の会社の持ち...
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マーク・ミーオドヴニク(著), 松井信彦(訳), 人類を変えた素晴らしき10の材料 その内なる宇宙を探険する

材料科学者による科学エッセイ。 すぐ身の回りにある様々な材料をテーマに、その性質から歴史まで豊富なエピソードを披露してくれる。取り上げられる材料は幅広く、鋼鉄、紙、コンクリート、プラスチック、ガラスといった一見して文明を支えているのが分かるものから、チョコレート、泡、グラファイトなどちょっと毛色の変わったものまで登場して飽きさせない。
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斎藤由多加, 社長業のオキテ ゲームクリエーターが遭遇した会社経営の現実と対策

表題にもなっている通り、著者は起業家というよりもクリエイターなのだと思う。 人手が必要なゲーム制作ではなく一人でできるタイプの創作にのめり込んでいたならば、起業などせずに個人事業主として楽しくやっていたのではないだろうか。起業自体にはさほど思い入れがなかった社長の著作という意味で、珍しい本ではある。そうした望まない会社経営の中で、なんとか生き抜くための知恵が詰まっている。 大企業とのやり取りを記したくだりは実に辛辣ながら的確。当事者意識がない代わりに一つの仕事のプロである大企...