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小林銅蟲, 寿司 虚空編

一言でいうと奇書・珍書の類なのだが、これがベラボウに面白い。 ふぃっしゅ数に代表される巨大数というマニアックなテーマを素人置いてけぼりなハイペースで駆け抜ける。なぜこれをマンガにしようと思ったのか、なぜ寿司なのか、疑問は尽きないが、数学が大好物ならば絶対に読んで損なし。
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中田力, 日本古代史を科学する

魏志倭人伝だけを拠り所とした邪馬台国本。タイトルにもなっている "科学" とは、初期条件 (ここでは魏志倭人伝) を定めて、線形物理学的に推論を重ねていくという意味らしい。 奴国の名前を堂々と無視する力技に一瞬期待してしまったが、出てくる結論は日向灘とトンデモ本としてはおとなし目。それ以上に、既存の考古学界に威勢よく噛みつき続けているところが見どころ。
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いしいさや, よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話

エホバの証人の二世による自伝マンガ。 マンガとしては荒削りだが、それだけに生々しい二世の苦悩が伝わってくる。
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トラヴィス・ソーチック(著), 桑田健(訳), ビッグデータ・ベースボール 20年連続負け越し球団ピッツバーグ・パイレーツを甦らせた数学の魔法

オークランド・アスレチックスのマネー・ボールの後に台頭してきたピッツバーグ・パイレーツのセイバーメトリクスを紹介するドキュメンタリ。 今ではメジャーリーグの新たな常識となりつつあるPITCHf/xによる捕手のピッチフレーミングの分析、ビッグデータを活かした極端な守備シフト、先発4人制のローテーション、スタットキャストによる守備の数値化、投手の怪我を減らすよりスマートな球数制限などが生み出されるまでが明らかになる。
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高田かや, さよなら、カルト村。 思春期から村を出るまで

カルト村で生まれました。の続編。 前作同様に部外者から見るとかなり壮絶な内容。中等部・高等部 (村外の中学生・高校生に相当する年齢) となり、だんだんとヤマギシの特殊性に気づきながらその後の進路を考えていく成長物語は頼もしくもあるのだが、村を出てからの世間知らずな行動は危ういところが多くハラハラしてしまう。
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天野譲二(著), GAMEgene編集部(編), 幻の未発売ゲームを追え! 今明かされる発売中止の謎

表題そのままの企画本。 企画は良いのだが、全体的に作りが浅め。未発売ゲームと言われて思いつく作品がほとんど取り上げられていない。守秘義務などの事情でインタビューできる相手が限られるのも分かるが、この企画の根幹となる部分だけにもう少し手を尽くして欲しかった。
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西澤保彦, 死者は黄泉が得る

西澤保彦お得意のアメリカ舞台のSF風味ミステリ。恋愛話も書き込まれており、パズラー以外にも楽しめる。 最後の一行のどんでん返しを読んでも「ほぅ」で終わらず、もう一度筋を追い直して真実を考え直さなければいけない深さがある。
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ダニエル・スミス(著), 小野智子+片山美佳子(訳), 絶対に行けない世界の非公開区域99 ガザの地下トンネルから女王の寝室まで

さまざまな理由で立ち入りができない場所を集めたネタ本。著者がイギリス人ということもあり、ややイギリスやヨーロッパの比率が高めか。 セキュリティや国防上の理由、紛争地域、宗教がらみ、所在地不明など理由は様々だが、どれも興味をそそられるものばかり。さすがに著者も立ち入りの調査はしていないようだが、関係する写真も多く、眺めているだけでも楽しい。
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元永知宏, 殴られて野球はうまくなる!?

野球界、特に高校野球を中心に蔓延している暴力に踏み込んだドキュメンタリ。その暴力の功罪を様々な側面から描いている良書。 まずは強豪野球部で日常的に暴力が振るわれている実態を著者自身の体験と経験者へのインタビューから暴き出す。特に能力のある新入生が真っ先に狙われる実態など、暴力を振るう側にそうさせるインセンティブがある構造も見えてくる。 一方で少ないながらも肯定的な意見も取り上げられている。私は肯首できないが、愛のある暴力は暴力ではないと本気で信じている人々がいるのも伺える。彼...
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ツノダ姉妹, 喜婚男と避婚男

著者はマーケティング畑の人。バブル世代の匂いがするのは意図的なマーケティングの成果か。 現代の男性を幸せな結婚生活をアピールする喜婚男と結婚から逃避して一人暮らしを満喫する避婚男に分類しているが、エビデンスや量的な分析は一切なし。