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斎藤由多加, 社長業のオキテ ゲームクリエーターが遭遇した会社経営の現実と対策

表題にもなっている通り、著者は起業家というよりもクリエイターなのだと思う。 人手が必要なゲーム制作ではなく一人でできるタイプの創作にのめり込んでいたならば、起業などせずに個人事業主として楽しくやっていたのではないだろうか。起業自体にはさほど思い入れがなかった社長の著作という意味で、珍しい本ではある。そうした望まない会社経営の中で、なんとか生き抜くための知恵が詰まっている。 大企業とのやり取りを記したくだりは実に辛辣ながら的確。当事者意識がない代わりに一つの仕事のプロである大企...
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ティム・ハーフォード(著), 遠藤真美(訳), 人は意外に合理的 新しい経済学で日常生活を読み解く

世の中の一見不合理な行動を行動経済学で解釈する試み。ジャーナリストの著作だが、研究による裏付けもしっかりしている。特に興味深いのは、企業の給与体系とそれに伴うインセンティブの分析。広く普及しているトーナメント型のインセンティブが士気を高める一方で裏切りを生み出すことも、行動経済学の視点で見ると合理的であることがわかる。
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ボード・シェーファー(著), 瀬野文教(訳), イヌが教えるお金持ちになるための知恵

お金との付き合い方の基本をサクセスストーリー仕立てで。やりたいことや欲しいものを明確にすること、他人が抱えている問題を解決することがビジネスになること、といったお金持ちになるための基本をわかりやすく伝えてくれる。後半の投資信託の話はやや楽観的すぎる (確実に平均12%の利回りが得られるかのように書かれている) ので注意。
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山戸大輔 (著), 白正男 (著), テコンダー朴 (3)

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KAPPA, 超・株式投資

東大卒医師が教える科学的「株」投資術の続編。まずは長期投資でリスクが減るという説の検証。リスク (ボラティリティ) の絶対額は投資期間長期になればなるほど広がるという考えてみれば当たり前の話。 期待リターンが同じであっても 標準偏差が大きいほど損する投資家が増えることが示され、投資対象の標準偏差が非常に重要であることがよく分かる。やはり長期投資の優位性はリスク低減よりも売買コストの削減や課税繰延効果などにあると考えるべきだと思う。いくつかのアノマリーについても検証されており、...
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ジェームズ・R・フリン(著), 水田賢政(訳), なぜ人類のIQは上がり続けているのか? 人種、性別、老化と知能指数

人類の知能指数が過去100年にわたり上昇し続けているというフリン効果の原因について、フリン教授自らが解明に取り組んでいる。栄養状態の改善、衛生状態の改善、族外婚、現代社会の新しい思考習慣といった様々な可能性をひとつひとつ豊富なデータで検証していく。読み物としては少々退屈だが、知能とは何かを深く考える上で参考になる一冊。
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細川貂々, ツレがうつになりまして。

うつ病エッセイマンガのシリーズ3巻をまとめ読み。ボリュームは軽め。夫がうつになったマンガ家による実録。軽いタッチなので笑って見ていられるが、同居者も本人と同じくらいの苦労を強いられるのがよく分かる。
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田中圭一, うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち

イタコ漫画家の田中圭一によるうつ病の告白。あの作風からはうつ病など想像もつかなかったが、誰でもかかりうるものなのだろう。今回はいつもの下品な作風はなりをひそめ、普通のエッセイマンガになっている。多数のうつ病経験者との対談を通じて収集したうつ病脱出法を活かし、自身のうつ病の客観視とうつヌケ法の整理につなげているのは見事。
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九井諒子, ダンジョン飯 (6)

思いの外長期連載になってきた。それでも他のパーティとの絡みも増えてダレさせないのはさすが。しかし、ややシリアス路線に寄ってきており、コミカルな場面が減っているのは気になる。
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田尻賢誉, 機動破壊 健大高崎 勝つための走塁・盗塁93の秘策

そもそも現代のセイバーメトリクスでは盗塁は高いリスクの割に見返りの少ない行為とされ、走塁全般が軽視されている。そんな走塁にスポットを当てた戦術書。健大高崎の葛原コーチらへの取材をベースにしていることもあり、技術よりは心理面が中心。教育者としての視点も強く感じる。自分のようにセイバーメトリクスの数字遊びに勤しんでいる人間には少々物足りないが、選手の教育に携わっている方には助けになるものと思う。