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深見填, こどものためのドラッグ大全

子供向けの体ではあるが、基礎知識がない大人が読んでも勉強になる本だと思う。内容は存外にしっかりしており、トンデモ度は低い。身体依存、精神依存、中毒を正しく使い分けている点や、タバコやアルコールをドラッグとして扱っている点など、誠実さを感じる。
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石原伸司, 歌舞伎町のシャブ女王 覚醒剤に堕ちたアスカの青春

夜回り組長こと石原伸司による、とある覚醒剤中毒者のドキュメンタリー。その半生は、週刊誌的な興味をそそるものであり、一気に読んでしまう。著者の手により見事更生していればきれいなストーリーだったのだが、そう簡単にいかないところに、薬物中毒の難しさを感じる。
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サイモン・シン(著), 青木薫(訳), 数学者たちの楽園: 「ザ・シンプソンズ」を作った天才たち

サイモン・シンの著作はすべて読んでいるが、まさかここでザ・シンプソンズを取り上げてくるとは思いもしなかった。それでも読み進めてみると、決して変化球ではなく、サイモン・シンが本気で取り組むだけのテーマであることがよく分かる。ザ・シンプソンズに散りばめられた分かる人にだけ分かればよい数学ネタを解説するというある意味無粋な試みではあるのだが、その解説自体をエンターテイメントとして成立させている筆力はさすが。おすすめ。
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中原みすず, 初恋

とあるblogの記事で気になって読んでみた。お話ではあるのだけれど、もしかしたらと一瞬でも実話を思わせる力はある。
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まずりん, 独身OLのすべて (6)

例によってお布施買い。本編のクオリティはまったく衰えていないが、描き下ろしが少ないのが残念。巻末の氷爆の狩人とオマケシールのみ。
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三宮貞雄, コンビニ店長の残酷日記

コンビニのフランチャイズ店のオーナー店長の日記。コンビニのフランチャイズ経営の問題について調べたことがある人ならばあまり新しい情報はないかもしれない。コンビニ会計の問題も取り上げているものの、踏み込みが浅め。それでも、当事者視点での迫力は感じられるため、読んで損はない。
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島田荘司, 占星術殺人事件 改訂完全版

未読の古典作品を読んでみるシリーズ。30年以上前の作品ながら、今読んでも十分に楽しめる内容。トリック依存の小説ではあるが、そのトリックの質が良いので細かい粗はあまり気にならない。
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山本晋也, 風俗という病い

カントクのエッセイ本だが、成人映画の生き証人の著作だけあって歴史史料のような風格を感じる。それでいて、読み物としても肩肘張らずに楽しめるバランス感覚は見事。
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データスタジアム株式会社(データ提供・監修), 高校球児に伝えたい! プロだけが知っているデータで試合に勝つ法

データスタジアムお得意のデータ分析本。プロ野球のデータをそのまま高校野球に適用できるかというそもそもの疑問はあるが、そこさえ目をつむってプロ野球のセイバー本とみれば良書と言える。インフォグラフィックス風の図版も良い。
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アーニー・J. ゼリンスキー(著), 三橋由希子(訳), 働かないって、ワクワクしない?

早期リタイアやセミ・リタイアのガイド本。単純な隠居ではなく、リタイア後に自己実現をしたい人向け。リタイアを考えているが後ろめたさを感じている人が読むのには良いかもしれない。リタイアを論じる上での大きな要素であろうお金の話は抽象論が中心なので、具体的な試算は別の本を参照した方が良いだろう。