book 帚木蓬生, やめられない ギャンブル地獄からの生還 ギャンブル依存症の治療を専門とする医師による著作。読み始めて早々、冒頭のギャンブル依存症の患者による手記6本に大きな衝撃を受ける。彼らの心理は決して共感できるものではないが、表題にもある "やめられない" 状態に陥るプロセスが痛いほどよく分かる。その後に続くギャンブル依存症の基礎知識や自助グループ (ギャンブラーズ・アノニマス) の解説も平易でありながら、病的ギャンブリングの恐ろしさがひしひしと伝わってくる。おすすめ。 2016-08-01 book
book 内澤旬子, 世界屠畜紀行 世界中の肉食文化地域の屠畜の様子を扱うドキュメンタリ。屠畜の現場の様子や地域差はもちろんのこと、賤業とされがちな屠畜業者の各社会における位置付けを重視した取材が印象的。紀行文に添えられた味のあるイラストも良い。 2016-07-27 book
book 西澤保彦, 人格転移の殺人 SF要素含みのミステリ。突飛な設定ではあるが、ミステリとしてはフェアな範囲。テンポが良く進むのは良いのだが、中盤がさすがに駆け足過ぎるか。 2016-07-24 book
comic 能田達規, マネーフットボール (1) (2) (3) (4) (5) 既刊の5巻までまとめ読み。種本はサッカー データ革命。数字重視のフットボールをうまくマンガに落とし込んでいる。それだけにとどまらず、あまりマンガの題材として使われないJ2やレンタル移籍といった要素を巧みに織り込んでいる点も見事。 2016-07-19 comic
book 岩瀬昇, 石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか? エネルギー情報学入門 三井物産で原油取引や石油開発に携わっていた著者による、石油や天然ガス業界の解説。科学や軍事の視点は控え目で、ややビジネス寄り。油田開発や原油取引のビジネスの現場を基礎の基礎からしっかり解説してくれる。 2016-07-11 book
book かのよしのり, 銃の科学 知られざるファイア・アームズの秘密 著者は陸上自衛隊の武器補給処技術課研究班の出身。銃火器の構造からその歴史、最近のトレンドまでをうまく一冊にまとめている。見開き2ページで一項目が完結する形式と大量の図版で非常に読みやすい。事前知識もほぼ必要としない構成なので、初心者の一冊目としても有用。強いて欠点をあげると、索引が貧弱なのだけがやや残念。 2016-07-09 book
book 東野圭吾, 仮面山荘殺人事件 十字屋敷のピエロに続いてもう一冊、東野圭吾の初期作品を。冒頭からのそこはかとない違和感を小説だからとして無意識にスルーしていたが、その隙を見事に突かれた。帯の "本格ミステリーの傑作" のコピーには少々納得しかねるが、傑作であることには間違いない。 2016-07-04 book
book 池田信夫, 希望を捨てる勇気 停滞と成長の経済学 池田信夫の書き下ろし。当時のブログの内容をより深掘りしたような作品。日本経済の長期停滞の原因である正社員の既得権益がもたらす格差と財政政策の失敗に関する分析が中心で、トンデモ度は低め。全体的にネガティブ基調が過ぎる様に感じるが、出版時点の2009年の空気に引きずられている部分もあるのかもしれない。 2016-06-30 book
comic やまだ浩一(画), 木村公一(作), 隠し球ガンさん プロ野球スカウト物語 (3) (4) 前巻を読んでから少し間が空いてしまったが、最後までまとめ読み。対選手だけではなく経営陣とのやり取りを描いたり米国事情を扱ったりと様々に話を広げてきたが、最後はやや尻切れ気味の終了。まだまだ回収していない伏線も多数あっただけに残念。 2016-06-25 comic
comic 梶原一騎(原作), 原田久仁信(漫画), 高森敦子(監修), プロレススーパースター列伝 (1) (2) (3) (4) (5) Kindleのセールでうっかり全巻まとめ買い。当時隆盛を極めていたプロレスの良い意味でのケレン味をたっぷりと味あわせてくれる。内容は文句なしだが、5巻のタイガーマスク編の途中で終了となるところだけが大いに不満。きちんとした完全版として出版して欲しいし、それが無理ならせめて抜粋であることを明記して売って欲しい。 2016-06-24 comic