book 歌野晶午, 死体を買う男 作中作という構造を活かした多層的な物語づくりは見事の一言。著者の江戸川乱歩マニアぶりを十分に発揮した語り口も良いアクセントになっている。萩原朔太郎の人物造形も実に良い。 2016-06-21 book
book クリス・アンダーゼン(著), デイビッド・サリー(著), 児島修(訳), サッカー データ革命 ロングボールは時代遅れか セイバーメトリクスの普及している野球と比べるとやや出遅れている感のあるサッカーのデータ分析を扱った本。類書のビューティフル・ゲームと比較すると、昨今のトレンドを反映してビッグデータ分析寄り。ポゼッションの錯覚やチームの弱点強化の重要性など、従来のサッカーの常識をくつがえすような発見も多く、データ好きなら間違いなく知的興奮を得ることができるだろう。おすすめ。 2016-06-20 book
book 海上自衛隊(協力), 海上自衛隊のめちゃうまカレーレシピ48 海上自衛隊のカレーレシピ集。企画は良く海上自衛隊の強力も得られているのだが、単なるレシピ集に終わってしまっているのがやや残念。もう一工夫が欲しかった。 2016-06-19 book
book ポール・コリアー(著), 甘糟智子(訳), 民主主義がアフリカ経済を殺す 最底辺の10億人の続編的内容。最底辺国の独裁者の視点に立って民主主義を取り入れる際のオプションを検討する思考実験は、見事に彼らの行動原理をあぶり出しており興味深い。翻訳はあまり読みやすいものではなく、特に抽象度の高い部分はかなり苦しい。 2016-06-17 book
book 法月綸太郎, 山口雅也, 有栖川有栖, 加納朋子, 西澤保彦, 恩田陸, 倉知淳, 若竹七海, 近藤史恵, 柴田よしき, 不条理な殺人 短編ミステリ10本を収めたアンソロジ。全体的に小粒な上、やや質のばらつきが大きい印象。中では、法月綸太郎のトゥ・オブ・アスがベストか。 2016-06-16 book
comic 岡田壱花(作), 富田安紀子(画), 日之丸街宣女子 画はどことなく安永航一郎風味と思って調べてみたら、ファンロード出身者であったか。マンガとして面白いかと言われると少々疑問ではあるが、啓蒙書としては比較的良いつくり。 2016-06-15 comic
book ハリイ・ケメルマン(著), 永井淳(訳), 深町眞理子(訳), 九マイルは遠すぎる 安楽椅子探偵ものの古典だが、実は読んだことがなかった。表題作の出来が突出しているように感じる。翻訳は及第点。 2016-06-12 book
book Gever Tulley(著), Julie Spiegler(著), 金井哲夫(訳), 子どもが体験するべき50の危険なこと TEDのプレゼンテーションを膨らませて書籍化したもの。このプレゼンテーションが素晴らしいので、まずは本書の前に視聴するのがおすすめ。企画の勝利と言える本なので、個々の項目自体はそれほど特筆すべきことはない。しかしながら、その背景にある精神には学ぶところが多い。 2016-06-11 book
book 橘玲, 言ってはいけない 残酷すぎる真実 亜玖夢博士のマインドサイエンス入門や不愉快なことには理由があるの延長線上にある本で、脳科学や遺伝学の動向をいつも通りの語り口で伝えてくれる。読み物としてはやはり面白いのだが、まだ専門家の間でも議論があるような内容をかなり断定的に書いている点には注意が必要。 2016-06-09 book
book 小林カツ代, 小林カツ代のお料理入門 の新装版。ただのレシピ集で終わらず、独特の語り口で料理の勘所を伝えてくれるのが得した気分。どのレシピも奇をてらわず基本のお惣菜と言えるものなのも良い。 2016-06-05 book