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鬼頭莫宏, のりりん (9)

ついにサーキットでの本格レース編。ノリのレースを中心にロードレースの駆け引きの面白さを見事に伝えてくる。その中で目的の異なる各チームの動きも描き切っているところはさすが。
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新庄耕, 狭小邸宅

不動産営業の現場を舞台にした小説。今風の言葉で言うところのブラック企業に取り込まれていく主人公に強く肩入れしてしまう良質のエンターテイメント作品。わざわざ不動産を取り上げた意味がやや薄いか。
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歌野晶午, 密室殺人ゲーム

、、のシリーズ3冊を一気読み。3部作の計画とのことだが、最新刊の密室殺人ゲーム・マニアックスは外伝的な位置づけのため未完。何よりもネット上の殺人推理ゲームという設定が秀逸。各巻とも殺人のトリックは小粒だが、設定を活かした数々の仕掛けは見事。一見大長編に見えるが、ネット上での会話やチャット主体でテンポよく読めるのも良い。
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土屋敦, 男のパスタ道

新書一冊を費やして究極のペペロンチーノを作ろうという試み。まさにパスタ道。著者は料理研究家の肩書もあるライターではあるものの、料理人でも科学者でもない。にもかかわらず、自身の可能な範囲でとはいえ科学的なエビデンスを積み重ねていく姿勢には頭が下がる。
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福地誠, 教育格差絶望社会

最近は麻雀業界での活動が中心の著者だが、過去にはこんな本も出していた。教育とお金の話のぶっちゃけ系。その世代の子供でもいないとなかなか情報が入ってこない分野ではあるが、自身の子供の頃とは異なる世界となっていることが実感できる。感情論ではなく、データをきちんと押さえているのも好感が持てる。おすすめ。
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垣谷美雨, ニュータウンは黄昏れて

ニュータウンの悲哀を見事に取り込んだ社会派小説。小説としてみるとご都合主義が過ぎる感はあるが、一気に読ませる力はある。肝心のニュータウンの内情がきっちり描かれているのが何より素晴らしい。
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ウンベルト・エーコ(著), ジャン=クロード・カリエール(著), 工藤妙子(訳), もうすぐ絶滅するという紙の書物について

二人のビッグネームによる対談。進行はジャン=フィリップ・ド・トナック。インキュナビュラを含む古書や稀覯書の蒐集家でもある二人だけあって、書物の話はいつまでも止まらない。その博識ぶりに圧倒されながらも、書物への愛をたっぷりと感じられた。おすすめ。
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さとうやすゆき, お金の不安が消える本

お金の具体的な話はなく、精神論ばかり。ネタ元は松下幸之助が多め。ページ数も内容も薄く、特に著者のファンでもない限り読む必要はないだろう。
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里崎智也, 非常識のすすめ

一時期は芸能人化していた里崎の自伝。あまり格好をつけず、過去の流されるような生き方や他チームの試合をほとんど見ないところまでも正直に書いているあたりは好印象。清水将海や橋本将といった同時期のライバルにほぼ触れていないのは本人の性格によるものか。興味深い。
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桜林美佐, 誰も語らなかった防衛産業

日本の防衛産業を扱った礼賛型ドキュメンタリ。防衛産業を担う大小の企業を取材しているのは良いのだが、正面からの取材で担当者が話した内容をそのまま無批判に記している印象が拭えない。もう少しジャーナリストとして批判的な目線もあればと思う。