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遠藤周作, 十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい。

遠藤周作の死後に発見された、手紙の書き方を解説した原稿。いまどきのロジカル・ライティングの教科書などとは全く異なる趣の本だが、「読む人の身になって」という大原則はどんな文書でも変わらない。遠藤周作の文章の基礎を作った「ようなゲーム」の紹介も興味深い。
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クリストファー・マクドゥーガル(著), 近藤隆文(訳), BORN TO RUN 走るために生まれたウルトラランナーVS人類最強の “走る民族”

トレイルランニングをテーマにしたドキュメンタリ。著者自身の体験を基に、メキシコの秘境に住む走る見族、タラウマラ族のランナーたちを取り上げる。合間には、ランニングシューズ研究の最新事情や進化論の観点からのランニングへの知見も挿入される。本書全体を通じて、人間が本来は走ることを楽しむ種であること、人間の足はランニングシューズなしでも長距離を走れるようにできていることというメッセージが繰り返し語られる。走るということをもう一度根本から考えなおすために、多くのランナーに読んで欲しい。
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業田良家, ゴーダ哲学堂 空気人形

あまり読んでこなかった業田良家の作品を短篇集から読み始めた。読後感が悪い作品も多いが、作品に込められた強いメッセージには心を揺さぶられるところがある。
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患者さんゴメンナサイ 医者ってどーなってるの!? 日誌、茨木保

がんばれ! 猫山先生の著者が送る医療業界のエッセイマンガ。猫山先生と同様、笑いの中にも業界への問題提起が見えるところに好感が持てる。
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高野秀行, 移民の宴 日本に移り住んだ外国人の不思議な食生活

日本に移り住んだ外国人の食生活のルポ。それも、お国の料理だけではなく、日本での普段の食生活にスポットを当てたところがお見事。アジアから欧州まで様々な国の出身者が見せる料理の数々やその人柄に一気に引きこまれてしまう。
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Wes McKinney(著), 小林儀匡(訳), 鈴木宏尚(訳), 瀬戸山雅人(訳), 滝口開資(訳), 野上大介(訳), Pythonによるデータ分析入門 NumPy、pandasを使ったデータ処理

普段の生活はRubyが多いのだが、科学技術計算が大目の仕事をすることとなったのでPython + pandasの勉強。想定読者はある程度Pythonが書ける人で、Python自体が初めてという人には向かない。pandasやその基礎となっているNumPy、さらには可視化に必要なmatplotlibまで幅広く学べる。実例も豊富でさすがのオライリークオリティ。
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井川意高, 熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録

大王製紙事件の当事者による手記。期待していた賭博者の心理の描写は少なめで、自分史が多くを占める。生い立ちは興味深くもあるが、夜の街での有名人との付き合いの話が続くのは少々辟易する。
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さくら剛(著), しりあがり寿(イラスト), 三国志男

三国志が好きすぎて中国の三国志遺跡を旅してしまった男の旅行記。著者はかなり濃い目の三国志ファンながら原点が横山光輝や光栄にあるので、私のようなライトなファンにも共感しやすい。一昔前のテキストサイトを思い出させるフォントいじりは好みが分かれるか。
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Caleb Melby (Written by), JESS3 (Concept, Design, Illustration), The Zen of Steve Jobs

Steve JobsとKobun Chino Otogawa (乙川弘文) の交流を描いたマンガ。出来過ぎた話が多く、どこまでが史実でどこからが創作がわからないが、読み物としては文句なし。日本のマンガとはまた違ったデザインも良い。
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ポール・コリアー(著), 中谷和男(訳), 最底辺の10億人

いわゆる開発途上国よりも悲惨な状況に置かれ、成長への道筋が見えない国々の問題点を探る。紛争の罠、天然資源の罠、内陸国の罠、悪いガバナンスの罠といった典型的な問題を解説した上で、その解決策を提案していく構成。統計データによる裏付けも豊富で、読んでいて腹落ちする。個別の国の微細な議論に陥ることなく、より高い視点から問題を捉えようとする姿勢も良い。