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ASIOS, 菊池聡, 山津寿丸, 検証 予言はどこまで当たるのか

ASIOSの今回のテーマは予言。震災関係に特化した前書と異なり、予言一般を扱う。いつも通りの労作で、読み応えも十分。しかしながら予言という少々手垢のついたテーマを扱う以上、ノストラダムスやエドガー・ケイシーといった既に各所で論じられている予言にページが割かれてしまっているので、愛好家には少々退屈な箇所があるかもしれない。
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若井吉樹, 世界一わかりやすい在庫削減の授業

在庫管理の入門書。極めて初歩の初歩の内容だがよくまとまっている。在庫削減の必要性やその効果に始まり、実際の在庫削減の手順までを一歩一歩噛んで含めるように解説してくれるあたりは "世界一わかりやすい" を謳うだけのことはある。文章もこなれており読みやすい。
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松岡絵里(著), 吉田友和(写真), 世界の市場

海外の市場を訪ね歩いたビジュアル本。構成に意思が感じられず、また解説文も新しい視点がなく退屈だが、写真の質は悪くない。雑誌感覚でどうぞ。
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思緒雄二, 顔のない村

で発表後、社会思想社版のに収録されたものの、 創土社からされた際には削られてしまった不遇の作品がiOS Appとなっていた。基本的にはベタ移植で、App化で削れるような指示文もそのまま。BGMやSEもなし。ただし、シナリオは一部書き足され、画像も新たに書き下ろされている。無料で公開されているものの、一度に進めるパラグラフ数に限りがあり、制限を外すにはApp内での購入が必要。
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夏坂健, 美食・大食家びっくり事典

主に西洋史と中国史の食に関するエピソードを集めたもの。いかにもな法螺話も多いが、それが良い味を出している。出典や参考文献などと野暮なことを言ってはいけない。
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中川基, ニセモノ食品の正体

インジェクションビーフや代用魚など、偽装食品とまでは言わないまでもホンモノとは言い難い様な食品を集めたカタログ本。解説は中立的で、この種の本にありがちな "添加物=悪" といった短絡的な思考や無意味な自然信仰などはほとんど見られない。ニセモノ食品の長所である破棄の削減やコスト低減と短所である栄養バランス等の問題の双方がきちんと押さえられており、好感が持てる。
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グレッグ・クライツァー(著), 竹迫仁子(訳), デブの帝国 いかにしてアメリカは肥満大国となったのか

装丁は軽めだが内容は硬派。米国が肥満社会となるまでの過程を、農業行政、ファストフード業界、食品業界、教育界と多くの視点から丹念に追いかけていく。現状に至った要因は単一のものではなく、様々な原因が絡まり合っていることがよく分かる。肥満のリスクに関する記述も十分。
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津田信, 幻想の英雄

小野田寛郎のやその元となった雑誌連載のゴーストライターによる暴露本。原著は入手困難だが全文がWebで公開されているので、そちらを少し加工してKindleで読んだ。暴露本だけにあまり上品な内容ではないが、英雄視されがちな人物の本当の姿を描いたという点は価値がある。本書のために新たな取材をした様には見えず、裏が取れていない推測が多く見られるのが残念。
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中村敏雄, 日本的スポーツ環境批判

本作の主題はスポーツ環境。中でも日本の部活環境の論考に多くのページを割いている。日本人の多くが当然と感じている部活によるスポーツ活動を客観的に見直すという視点は新鮮。部活の存在理由や公的役割が曖昧なまま、もぐらたたき的な対策だけを繰り返している現状への批判は実に的確。おすすめ。
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畸人研究学会, しみったれ家族 平成新貧乏の正体

"しみったれ家族" とは、いわゆるニュープアを拡張したような概念で、"所得に不相応な見栄を張る層" と "夜間に家族でディスカウントショップに来店する層" を合わせたもの。あまり学術的なフィールドワークをしているようには見えないので、あくまでも読み物としてどうぞ。