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殊能将之, 美濃牛

前作のとはだいぶ毛色が違い、王道のミステリー。舞台設定や登場人物の多さも横溝正史的。700ページ超の分厚い文庫本だが、一気に読ませるのはさすが。
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徳丸浩, 体系的に学ぶ 安全なWebアプリケーションの作り方 脆弱性が生まれる原理と対策の実践

いわゆる "徳丸本" 。さすがに定番となっているだけあり、基礎的な理論から応用まで隙がない。セキュリティを主題に据えているものの、HTTPの教科書として見ても良い出来。解説だけではなく演習も充実しているので、新入社員教育などにも良いかもしれない。おすすめ。
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グローバルタスクフォース, ポーター教授『競争の戦略』入門

難解なを読み解くためのガイドブック。重要な部分を箇条書きで抜き出したような部分が多いため、読み物というよりは考えをまとめるときのチェック表として使ったほうが良いかもしれない。考える必要がある項目が漏れ無くまとまっているのは安心できる。
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藤本建二, 核と女を愛した将軍様 金正日の料理人「最後の極秘メモ」

金正日の料理人の続編にあたる本。表題は釣りで、核の話も女の話も申し訳程度。前作と重複する部分もやや多い。
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おさけ日和

居酒屋から家飲みまで、お酒に関する小ネタを集めた企画本。軽く雑誌気分でどうぞ。
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水木しげる, コミック昭和史 (第6巻) 終戦から朝鮮戦争

ようやく終戦したものの、今度は戦後の混乱期。水木も生計を立てるべく、様々な仕事に手を染めていく。運命に流されながらも、絵を描くことだけは忘れなかった結果としてか、最後に紙芝居作家に流れ着くあたりに水木のたくましさを感じる。
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あさりよしとお, 宇宙へ行きたくて液体燃料ロケットをDIYしてみた 実録なつのロケット団

なつのロケット団が液体燃料ロケットを飛ばすまでの軌跡を綴ったもの。なつのロケット団は一介の民間人が何もないところからロケットを作って宇宙に行こうというある意味無茶なプロジェクトなのだが、本書を読めばその本気が伝わってくる。メンバーは少数のエンジニアを除くと素人ばかり。本書の著者のあさりよしとおは漫画家であるし、他にも作家やイラストレーターなど、宇宙への想いはあれど技術者ではない者が大半。メンバーには堀江貴文も名を連ねており、大きな役割を占めている。今までの宇宙に関する発言が思...
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谷口ジロー(画), 遠崎史郎(作), K (ケイ)

アストロ球団の遠崎史郎の原作ということもあり、神々の山嶺よりもややマンガチック (発表はこちらの方が先) 。それでも谷口ジローの画の迫力を十分に楽しめる作品に仕上がっている。
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三宅博, 虎のスコアラーが教える「プロ」の野球観戦術

著者は元阪神タイガースチーフスコアラー。主観的な記述が大半を占めており、データの裏付けは乏しい。スコアラーがどの様な方法でデータを収集しているかは書かれているが、統計的な分析手法やその結果には触れられない。セイバーメトリクス (本書内では "マネーボール野球" と呼んでいる) には批判的だが、バントなどせず塁を埋めて動く野球だ日本では浸透しない。なぜならば、地味なチームが強い理由の裏付けとして豊富な投手力があるからであると言った記述を見ると、本当に理解しているかは心許ない。
movie

きっと、うまくいく

インド映画の奥深さを体感できた。いわゆる歌と踊りのマサラ・ムービーの要素も含まれてはいるのだが、それ以上に見事なストーリー展開に引き込まれた。強いメッセージ性、現代インドの社会問題の切り出し、見事に絡み合う伏線の数々、そしてなによりも映画としてのカタルシス。インド映画は今ひとつ肌に合わないという向きにもぜひ試してもらいたい一本。おすすめ。