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福地誠, 麻雀 10倍勝てるテクニック

コンビニ売りの麻雀戦術本。データの裏付けのないオカルトな内容が主なので、話半分で。数少ないデータも独自のものではなくHAZの研究する人生やとつげき東北の著書から引用しているものなので (それも赤ご祝儀前提の質問に対して天鳳のデータをもって答える杜撰さ) 、それらを購読している人にはあまり新しい情報はない。
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岡田友輔, 蛭川皓平, 森嶋俊行, 高多薪吾, KY, 久保田市郎, 道作, 李啓充, 三宅博人, Student, SABERMETRICS MAGAZINE 1

オフシーズンの間の読むつもりが今頃になってしまった。2013年シーズンを控え、2012年シーズンをセイバーメトリクスで振り返る内容。旧統一球に依存した分析となってしまっているのはご愛嬌。研究の視点ではあまり新しい分析手法などは含まれていないが、ついにセイバーメトリクスを主題に据えた定期刊行物が生まれたというのは感慨深い。
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芝崎みゆき, 古代マヤ・アステカ不可思議大全

意外に馴染みのない古代マヤ・アステカ文明の絵解き本。イラストだけでなく本文も全て手書きの労作。専門の研究者の本にはないミーハーな視点が実に良い。神話の世界の登場人物をハリウッドスターと同じ感覚で語るのはこの本くらい。それでいて内容の充実っぷりは異常なほどで、再読にも十分に耐える品質。おすすめ。
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岡本隆史, 武田健太郎, 相良幸範, Gitポケットリファレンス

Gitのリファレンス本だが、ただのリファレンスに止まらず、実践的なbranchの切り方などの情報が豊富なのが嬉しい。リファレンスの各項も非常に実用的な内容で、よく遭遇するエラーがきちんと網羅されている。巻頭のチートシートも良い出来。Gitをこれから使い始めようという向きには間違いなくおすすめできる。
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なかむらるみ(絵・文), おじさん図鑑

町中の "おじさん" を観察し、イラストで紹介する企画本。一部のコラムを除き、あくまで外見的な観察のみで中身にまで踏み込んでいないので、話半分で。軽い読み物としては上々の出来。
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Thomas A. Limoncelli(著), 株式会社クイープ(訳), エンジニアのための時間管理術

O'REILLYブランドのタイムマネージメント本。O'REILLYだけあって、対象読者はエンジニア。特にシステム管理者。画期的な管理法が語られているわけではないが、時間管理に関するTIPS集としてはなかなかの内容。エンジニア向けということもあり、コンピュータによる作業の自動化に少々ページを割いているのが特徴的か。スマホ普及前の2006年初版の本なので、PDAの記述がやや古いのはご愛敬。
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中村敏雄, スポーツルールの社会学

中村敏雄によるスポーツ論考集。専門としているスポーツルールを表題として掲げているが、内容は近代スポーツにおける人工化やそれに伴う場外も含めた平等を中心に論じている。近代スポーツの創出そのものを人工化の過程とみなし、その行き過ぎを危惧する提言は、まさに現在の状況を言い当てている。おすすめ。
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SCRAP, ふたご島からの脱出 少年は戻りたいと思った。少女は救いたいと願った。

人狼村からの脱出に続くSCRAPの作品。今作は2冊組で、ザッピングをしながら進めていく形式。前作と同様、メモ必須の内容。前作のような推理用の整理メモはそれほど重要ではないが、移動範囲の自由度が高いため、フラグ回収位置の記録が非常に重要になる。全体的な難易度は前作よりやや低め。特に肝となるパズル部分に、比較的素直に解けるものが多い印象。
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山岸俊男, 日本の「安心」はなぜ、消えたのか 社会心理学から見た現代日本の問題点

よくある日本人論に対する疑問と社会心理学の視点からの回答。数々の実験結果を通じて、日本人が本質的には集団主義者などではなく、一見集団主義的に見える行動も閉鎖的な安心社会という環境に適応しただけに過ぎないことを明らかにする。雰囲気だけで科学亭な根拠に欠けるの武士道礼賛に対するチクリとした批判も良い。
comic

いがらしみきお(作画), 山上たつひこ(原作), 羊の木 (1)

あまりに豪華な組み合わせに惹かれて読み始めたが、これが大当たり。出所者に対して一般市民が抱く漠然とした不安感をこれでもかと繰り返す構成に完全に引き込まれてしまう。