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大槻ケンヂ, サブカルで食う 就職せず好きなことだけやって生きていく方法

大槻ケンヂの自伝的なもの。これを読んでサブカルで食えるようになるかというと疑わしいが、エッセイとしてみれば良質。新書一冊で出た結論が、サブカルで食うのに必要なのは実家と月15万という身も蓋もない内容。素晴らしい。
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木暮太一, 僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?

マルクスの資本論をベースに、"自己内利益" を最大化する働き方を提案する。言われるまでもなく無意識にこういった働き方を選択している人も多そうではあるが、現在の働き方に疑問を感じている人は一読する価値があるかもしれない。
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小谷太郎, サイエンスジョーク 笑えたあなたは理系脳

"サイエンス" ジョークという表題が付いているが、実態は "物理学" ジョーク集。肝心のジョークが質・量共に不足しているのが残念ではあるが、解説は意外とまとも。
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福地誠, 麻雀 10倍勝てるテクニック

コンビニ売りの麻雀戦術本。データの裏付けのないオカルトな内容が主なので、話半分で。数少ないデータも独自のものではなくHAZの研究する人生やとつげき東北の著書から引用しているものなので (それも赤ご祝儀前提の質問に対して天鳳のデータをもって答える杜撰さ) 、それらを購読している人にはあまり新しい情報はない。
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岡田友輔, 蛭川皓平, 森嶋俊行, 高多薪吾, KY, 久保田市郎, 道作, 李啓充, 三宅博人, Student, SABERMETRICS MAGAZINE 1

オフシーズンの間の読むつもりが今頃になってしまった。2013年シーズンを控え、2012年シーズンをセイバーメトリクスで振り返る内容。旧統一球に依存した分析となってしまっているのはご愛嬌。研究の視点ではあまり新しい分析手法などは含まれていないが、ついにセイバーメトリクスを主題に据えた定期刊行物が生まれたというのは感慨深い。
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芝崎みゆき, 古代マヤ・アステカ不可思議大全

意外に馴染みのない古代マヤ・アステカ文明の絵解き本。イラストだけでなく本文も全て手書きの労作。専門の研究者の本にはないミーハーな視点が実に良い。神話の世界の登場人物をハリウッドスターと同じ感覚で語るのはこの本くらい。それでいて内容の充実っぷりは異常なほどで、再読にも十分に耐える品質。おすすめ。
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岡本隆史, 武田健太郎, 相良幸範, Gitポケットリファレンス

Gitのリファレンス本だが、ただのリファレンスに止まらず、実践的なbranchの切り方などの情報が豊富なのが嬉しい。リファレンスの各項も非常に実用的な内容で、よく遭遇するエラーがきちんと網羅されている。巻頭のチートシートも良い出来。Gitをこれから使い始めようという向きには間違いなくおすすめできる。
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なかむらるみ(絵・文), おじさん図鑑

町中の "おじさん" を観察し、イラストで紹介する企画本。一部のコラムを除き、あくまで外見的な観察のみで中身にまで踏み込んでいないので、話半分で。軽い読み物としては上々の出来。
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Thomas A. Limoncelli(著), 株式会社クイープ(訳), エンジニアのための時間管理術

O'REILLYブランドのタイムマネージメント本。O'REILLYだけあって、対象読者はエンジニア。特にシステム管理者。画期的な管理法が語られているわけではないが、時間管理に関するTIPS集としてはなかなかの内容。エンジニア向けということもあり、コンピュータによる作業の自動化に少々ページを割いているのが特徴的か。スマホ普及前の2006年初版の本なので、PDAの記述がやや古いのはご愛敬。
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中村敏雄, スポーツルールの社会学

中村敏雄によるスポーツ論考集。専門としているスポーツルールを表題として掲げているが、内容は近代スポーツにおける人工化やそれに伴う場外も含めた平等を中心に論じている。近代スポーツの創出そのものを人工化の過程とみなし、その行き過ぎを危惧する提言は、まさに現在の状況を言い当てている。おすすめ。