review

book

近藤好和, 騎兵と歩兵の中世史

太平記を中心に読み解き、室町時代の武具の変遷を追う。主眼はあくまでも武具に置かれており、そこから合戦の変化などを類推するスタイル。武具の図版も豊富であり、少し興味がある程度の素人が読んでも十分に楽しめる。唯一残念なのは、合戦の変化がなぜ起こったのかの理由付けがやや弱いところか。
comic

坂戸佐兵衛(原作), 旅井とり(作画), めしばな刑事タチバナ (5)

5巻になってもその勢いは衰えず。今回はほか弁がメインテーマだが、他の小ネタも充実。コロッケそばへの熱い想いは素直に共感できる。
book

野口大, 労務管理における労働法上のグレーゾーンとその対応

労務トラブル本の世界では労働者側に立った本が主流だが、こちらは徹底して企業経営者側に立った本。元々グレーゾーンが広い世界ではあるが、過去の判例から裁判所が重視する要素が抽出されておりわかりやすい。また、徹底して実務寄りの対処方法が示されている点も心強い。
book

中村淳彦, 職業としてのAV女優

今時のAV女優の実態について。その賃金や志望理由の変化はもちろんのこと、労働実態や労使トラブル、引退後のキャリアなど様々な視点を押さえているのは長年AV女優の取材やインタビューを継続している著者ならでは。一部、気分の悪くなるような内容もあるが (著者の表現の問題ではなく、内容の問題である) 、実態を知るには良い本。
comic

大和田秀樹, ムダヅモ無き改革 (8)

今回の帯はなんと石破茂。本物。事業仕分け編もいよいよ大詰め。相変わらず真田の存在感が薄いが、ラスボスの鳩山ユキヲを始めとした民主党ネタが絶好調。このまま行くと、事業仕分けが終わったあたりでちょうど解散総選挙となりそうな良いタイミング。日本維新の会などの新キャラにも期待。
book

久住昌之(著), 和泉晴紀(画), 昼のセント酒

昼間から銭湯に入って近所のお店で一杯、という久住昌之の日常エッセイ。いつも通りのユルい雰囲気が心地よい。
comic

沙村広明, ハルシオン・ランチ (1)

沙村広明がギャグもいけるというのは嬉しい新発見。かなり読者を選ぶマンガで、特にサブカル知識が無いと全く面白くないと思われる。さすがアフタヌーン (の増刊) 。
book

丸山晴弘, 遭難のしかた教えます 安全登山のための辛口レクチャー

山岳遭難への警鐘本。文章の癖が強く、副題にある "辛口" を通り越してただの "悪口" になってしまっている様な箇所も。それでも内容はまともなので、山に入る方はぜひ一読を。
comic

桐嶋たける, 完全版 でもホントはカバが好き

あってないようなストーリー、ナンセンスな笑い、黎明期の萌えを具現化した様なキャラクタ造形。90年代前半の角川は今よりも自由な雰囲気があった気がする。
book

新雅史, 商店街はなぜ滅びるのか 社会・政治・経済史から探る再生の道

それなりに歴史があると思っていた商店街の大半が、実は第一次世界大戦後の離農者対策として政治的に作られたものであることは新たな発見であった。そこを出発点とすると、戦後の商店街の発展を経て、オイルショック後に急激に崩壊し圧力集団となっていく流れがすとんと腹落ちする。