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尾崎浩一, 危ない! 共同出版 夢を食い物にする錯覚商法

集団訴訟で話題になった新風舎の共同出版商法の糾弾本。被害者側に大きく肩入れしているため、全編を通して新風舎憎しの論調であり、客観性はない。無知なままに共同出版契約を結ぼうとしている著者に注意喚起するという目的は達成されているが、ルポタージュとしての質は低い。新風舎側の人間へのインタビューは、新風舎に嫌気がさして退職した元社員のみ。一番の見所は、その退職者から入手したとされる営業マニュアル。この種の詐欺に遭う人々がどういったキーワードに反応するかは興味深い。
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堤未果, ルポ 貧困大国アメリカ

アメリカが抱える問題は数多くあるが、それらをすべて貧困という切り口で扱ったルポタージュ。映画 "SiCKO" で有名となった医療費の問題、国民病とも言える肥満問題、災害による経済難民問題、貧困の連鎖の犠牲者となる若者たち、戦争の民営化の犠牲者となるワーキングプア、すべてが貧困と密接な関係がある。米国に拠点を置く著者らしく、豊富なインタビューも魅力。
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村上たかし, 星守る犬 & 続・星守る犬

穿った見方をするととにかく泣かせようとするあざとい話なのだけれど、私はこういうのに弱い。全く救いのない話なので、心が弱っているときに読んではいけない本。
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石川憲二, 自然エネルギーの可能性と限界 風力・太陽光発電の実力と現実解

自然エネルギーのうち、風力、太陽光、水力、地熱の実態を探った本。著者は科学者ではなく科学ジャーナリスト。3.11の前年に出版された本のため、過剰な原子力バイアスはない。出力規模や安定性の観点から見ると風力や太陽光がそれほど効率的でないという結論は概ね同意できるが、コストに関する議論がほとんど行われていないのが片手落ち。また、これらの自然エネルギーの議論をする際には欠かせない蓄電池や送電を端折っているのも物足りない。とはいえ、語り口は平易でトンデモ度も低いので、一冊目に読む入門...
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千葉ロッテマリーンズ変革の300日 プロ野球を変えたキーマンの証言

今シーズンは藤岡貴裕の獲得以外に明るいニュースが無かったので、過去の栄光に浸ってみる。2006年の春に出版された御祝儀本のため、第2次ボビー政権2年目の一番良いところだけを扱っている。基本的に良いことしか書かれていないので、瀬戸山代表までまるで善人のように見えてくる。本当は2006年シーズン後の凋落の原因の方が面白そうではあるが、さすがに出版してくれるところはなさそうか。
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きたみりゅうじ, フリーランスを代表して 申告と節税について教わってきました。

税務申告本なのだが、面倒な理論や建前は飛ばしてどうすれば得か損かだけに絞っているのが好感が持てる。また、どこは手を抜いて良いところかが明確になっているのもポイント。表題はフリーランス向けになっているが、確定申告が必要な人なら誰でも読む価値がある本。
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久住昌之(監修), 水沢悦子(画), 花のズボラ飯 うんま~いレシピ なぜ、ズボラ料理なのに泣くほどうまいのか

花のズボラ飯の便乗本。マンガに登場した料理 (やその派生料理) を作ってみました、というだけの本なのだが、プロのフードスタイリストの技術はやはり大したもの。卵かけご飯やレトルトのシチュー (原作はこんな料理多数) もそれなりに見えてくる。
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鈴村裕輔, メジャーリーガーが使いきれないほどの給料をもらえるのはなぜか?

今風の表題だが、この種の本の例に漏れず内容はもう少し広め。メジャーリーグの歴史的な成り立ちに始まり、いかにして数々の危機を乗り越え拡大し、現在の繁栄を築いたかをまとめたもの。もちろん、単行本一冊では表面をなぞるのが精一杯だが、メジャーリーグがどのような戦略で動いているかを知る一冊目としては十分。
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山下和美, 不思議な少年

マーク・トウェインではなくマンガの方。貰いものを8巻までまとめ読み。連作短編の様なスタイルはダレなくて良いが、どこかで見たことがあるような話が多いのも事実。
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鈴木貴博, 会社のデスノート トヨタ、JAL、ヨーカ堂が、なぜ?

文章は読みやすいし、コンサルタントらしい説得力もある。ただし、基本的に過去の事例を後出しで分析している本なので、あまり将来予測を期待して読む本ではない。自動車業界については多少の予測があり、現在のところは予測に近い回復基調にあるが、結果が出るのはもう少し先か。価格弾力性や所得弾力性に着目した分析は視点としては面白い。特に、短期と長期で弾力性が異なり、また業種ごとに傾向が違うという点は指摘されて初めて気付くもの。表題はキャッチーではあるが、無理にデスノートと結びつける必然性のあ...