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岡本かの子, 老妓抄

表題作の老妓抄の読後感の悪さが素晴らしい。それなりに好きなことができていて、それなりに生活にも不自由していないと感じている技術職・研究職の人間は一度読むべき。言いようのない罪悪感を感じてしまう。
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沖浦和光, 幻の漂泊民・サンカ

日本の山中で漂泊生活をしていたサンカの起源に関する調査書。 柳田国男の唱えたロマン溢れる先住民起源説に反論し、近世後期の貧窮民が山に入りサンカ (山家) になったという説を提唱する。もっとも、サンカの歴史が比較的浅く、近世以前に存在しなかったという証明は悪魔の証明となるのでやはり難しい。調べた限りではこの時代の文献にサンカに関する記述が見あたらない、といった歯切れの悪い書き方になってしまうのは仕方のないところ。 サンカ研究をする上では避けて通れない三角寛の著作の検証も面白い。...
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上村一夫, 菊坂ホテル

かつての本郷菊富士ホテルを舞台に、竹久夢二、谷崎潤一郎を中心とした文人達を描く。 上村の描く女性の艶っぽさは出色。
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小林弘人, 新世紀メディア論 新聞・雑誌が死ぬ前に

著者はサイゾーやギズモード・ジャパンの立ち上げで知られる方。 話がポンポン飛ぶ雑多な構成とラフな文体が少々読みにくいが、"雑誌の役割はコミュニティを作ること" というメッセージは伝わってくる。
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V.S.ラマチャンドラン(著), サンドラ・ブレイクスリー(著), 山下篤子(訳), 脳のなかの幽霊

こう言っては少々不謹慎だが、臨床における神経疾病の事例の数々がとにかく面白い。簡単に自分で再現できる実験方法がいくつか示されているのも嬉しいところ。手軽に脳の不思議体験ができる。 これを一冊通して読むと、だんだんと自己というものが揺らいでくる感覚がある。著者の言う脳の中の幽霊 (Phantoms in the Brain) が、自分の意識していないところで様々な作業をしている気持ち悪さというものに気付いてしまった。
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アーロン・ブラウン(著), 櫻井祐子(訳), ギャンブルトレーダー ポーカーで分かる相場と金融の心理学

短期投資はゼロサムゲームであり、その本質はギャンブル (本書ではテキサス・ホールデムを中心に説明しているが、多くのギャンブル・ゲームに当てはまるだろう) であるという身も蓋もない本だが、きちんと本質を捉えている。 単純なゲーム理論に傾倒してしまうとつい忘れがちになる、ゲーム理論の限界の先にプレイヤーの心理があるという事実を思い出させてくれる。 第9章でエセル・リドルによる1921年の経験的ポーカー研究が紹介されているが、これがズバリと自分のことを言い当てられているようで衝撃を...
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Jessica Lage, Trailrunner’s Guide: 50 Runs Around the Bay

こんなピンポイントな本が出てしまうあたりが、米国の懐の深さか。 全50コースで、Marin county、East bay、Peninsulaが大体1/3ずつといったところ。10マイル以下の数時間程度で走れるコースが多い。60 Hikes Within 60 Milesと同じく地図がやや粗いので、迷いにくいコースが中心とはいえこの本の地図だけを頼りに走るのは少々不安ではある。 周辺のトレイルランニングコース探しに眺める分には文句無し。
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視覚デザイン研究所(編), わかりやすくて効果的 Webデザイン基礎講座

7日間でマスターするレイアウト基礎講座や7日間でマスターする配色基礎講座の姉妹品。 Webに関する技術的な解説やユーザビリティの話は一切なく、あくまでも単一ページの見え方だけに絞った内容。2000年の出版物なので例題のページがまだまだ素朴だが、基本的なデザインの方針はそれほど古くなるものでもない。
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スティーヴン・ヤング(著), 薄井ゆうじ(訳), 本の虫 その生態と病理 絶滅から守るために

本の虫 (bookworm) は実在した! として、一冊丸々仕上げてしまったユーモア本。本の虫に寄生された場合の症状には思い当たるところが多い :-) 文中にちりばめられた小ネタの数々にもニヤリとさせられる。イザヤ・ベンダサン方式も効果的。
product

Zipcarを契約してみた

日本では普通に車を持たない生活をしていた。金銭的にはどう計算しても車の所有コストの元が取れないし、車の運転をするくらいなら電車に乗って本のひとつでも読みたいし、やむを得ず車で移動する場合も事故リスクはタクシー会社にでも押しつけたい。 しかし、米国はさすがに公共交通機関だけで生活するのは不便と感じるときがある。日々の通勤通学だけならば自転車で用が足りるし、休日ののトレイルも10マイルかそこらならば自転車でアクセスできるが、それを超える距離の移動はさすがに車が必要になるので、渋々...