review

book

Seymour Lipschutz(著), Marc Lipson(著), 渡邉均(訳), マグロウヒル大学演習 離散数学 (改訂3版) コンピュータサイエンスの基礎数学 単行本

定番の教科書だが、2024年6月に改訂されていたので購入。まずは組版が今風になったのが目に付く。旧版も味があって良かったが、さすがに古さを感じていた。旧版同様に豊富な演習問題が付属しているが、さすがに古い計算機を前提としたものは整理された。離散数学の教科書としては、言語やオートマトン、有限状態機械とチューリングマシンまでカバーしているのが特徴的。計算機のために離散数学を学ぶ学生にも勧めやすい。また、日本語版には代数系と暗号の解説が付属しているのも嬉しい。
book

エドワード・ブルック=ヒッチング(著), 関谷冬華(訳), 井田仁康(日本語版監修), 世界をまどわせた地図 伝説と誤解が生んだ冒険の物語

かつては存在すると思われており地図にも描かれてた幻の土地を集めたもの。時代も地域も無関係にアルファベット順に並べられているので、先頭から読んでいくだけで目先が変わって楽しい。単純な誤りだけではなく、伝説を地図に描いてしまったものや金銭目的ででっち上げられたものなど、その理由は様々。こうした地図上の誤りは昔のことと思われがちだが、21世紀になるまでその実在が信じられていた島まであるのが興味深い。日本の近郊では、朝鮮半島が半島ではなく朝鮮島として描かれた1595年の地図が面白い。...
book

大鐘良一, 小原健右,ドキュメント 宇宙飛行士選抜試験

主にJAXAの宇宙飛行士選抜試験に密着したドキュメンタリ。元々JAXAは宇宙飛行士選抜試験の取材に積極的ではなかったが、NHKスペシャルで初めてその扉が開かれた。本書はその副産物に当たる。世間一般の宇宙飛行士のイメージというと、よくわからないけれど何か優秀な人といったところだろうが、その実態は大きく異なる。もちろん優秀であることに疑いはないのだが、それ以上に情熱や協調性、仲間を思いやる心が何よりも重視される。これは考えてみれば当たり前の話で、宇宙という閉塞環境で様々な国のメン...
book

ジャレド・ダイアモンド(編著), ジェイムズ・A・ロビンソン(編著), 小坂恵理(訳), 歴史は実験できるのか 自然実験が解き明かす人類史

歴史関連の学問で用いられている比較研究法のケーススタディ集。古代ポリネシアの社会政治や経済から19世紀の銀行制度まで、古今東西の様々な比較研究の事例を取り上げている。この種の学問では厳密な統制を伴う操作的実験は不可能だが、一部の顕著に異なる要因以外は似通っているシステムを比較する自然実験ならば実現できる可能性がある。もちろん、意図しない変数による撹乱、欠落変数バイアスなど注意するべき事項は様々あるが、従来のナラティブな歴史研究に得ない深みを与えてくれることは間違いない。
movie

一分間タイムマシン

わずか6分のショート・ショート映画。場面転換もなく二人の掛け合いだけの映画だが、テンポもよくグイグイ引き込まれる。もう少し観たいくらいの気持ちが残るのが丁度よい。
product

MacBook Air (13-inch, M3, 2024)

先日新調したラップトップをメインで使用しているが、諸事情あってMacBookを買い増すこととした。購入当初の予定ではほぼ自宅の書斎に据え置き使用で、たまにリビングや帰省先で作業をする前提で16インチモデルを選んだが、予想していたほど自宅書斎で作業する時間がとれなくなった。移動中、特に通勤中に自分のプライベートな作業をするためにはどうしてもモバイル寄りのラップトップが必要になる。幸い現在の通勤がラッシュとは逆方向で確実に座れるので、作業に支障はない。覗き見られる可能性がある電車...
book

延原肇, 応用事例とイラストでわかる離散数学

先日に続き、離散数学の教科書をもう一冊。こちらはイラストはやや控えめだが、実際に計算機でどう応用されているかの事例が端々に出てくるのがありがたい。
product

Anker Prime Power Bank (9600mAh, 65W, Fusion) 

長らくUSB Type-C充電器とモバイルバッテリ (Anker PowerCore 13000) を別に持ち歩いていたが、荷物の総重量を減らす必要にかられて一体型モデルに手を出した。USB Type-Aを廃止できる環境が整ってきたのも一つの理由。Anker 733 Power Bankを買おうか迷いながら、ここ最近の値下げからモデルチェンジを予想して控えていたら、案の定後継モデルが発表された。新モデルは電源に繋いでいないときも65W出力できるようになったのが大きな改善点。A...
book

三宅香帆, なぜ働いていると本が読めなくなるのか

労働と読書の歴史から、表題の「働いていると本が読めなくなる」問題に切り込む。定性的な話ばかりで定量的なデータは一切出てこないが、現代ではノイズ (ここでは自分が欲していた情報以外のもの、すなわち予想していなかった展開や知識などを指す) を含む読書よりもノイズが除去されたインターネット上の情報が好まれるという仮説は興味深い。
book

伊藤大雄 イラストで学ぶ 離散数学

本気で数学を学ぼうという向きには物足りないかもしれないが、専門外の学部生がさわりとして学ぶには十分な内容。集合、論理、関係、グラフと、離散数学の基礎はきちんとカバーされており、解説も適切。著者謹製のイラストや猫のキャラクタの掛け合いも楽しい。