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松永和紀, メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学

特に食に関する話題を中心としたメディアリテラシー本で、食卓の安全学の続編的な内容。類書に比べてあまり目新しい視点はないが、毒性学の基本 (用量依存性) 、添加物の安全性、オーガニック食品のリスク (天然農薬) 、伝統食の過剰な美化など、マスメディアの報道で誤解されがちな内容がよくまとまっている。また、本書中で紹介されている食品安全情報blogも必読。
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素朴な疑問探求会, 明治・大正人の朝から晩まで

手軽に読める雑学本。あまり当時の暗部には触れず、口当たりの良いエピソードだけに絞っているので、気楽に楽しめる。移動中の暇つぶしなどにどうぞ。
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玉村豊男, 男子厨房学(メンズ・クッキング)入門

いわゆる料理指南書なのだが、そこらのレシピ本などと違うのは料理というものを非常に高い視点から体系的に眺めているところ。たとえば刺身というものをとってみても、刺身とはナマの食材になんらかのソースをつけて食べる料理であり、サラダのバリエーションの一つに過ぎないと見なす。こういった大きな考え方をきちんと身につけると、手元の材料に応じて無限の料理が得られるだろう。文章の軽さも実に良い。おすすめ。
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保阪正康, 大本営発表という権力

都合の良いことのみを公式に発表し、都合の悪いことは隠してしまう。今ではそんな意味で使われている "大本営発表" にスポットを当てる。45ヶ月間に行われた全846回の大本営発表をつぶさに追いかけることで、当時の軍事指導層の思考が浮かび上がってくる。さらに当時の知識人たちの残した記録を併せて見ることで、その時代の空気までもが浮かび上がってくる。言論統制を行うことの危うさや、また国民の側から見た知る権利の重要さを知る上でも貴重な一冊。
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小島健一, 社会科見学に行こう!

首都圏外郭放水路に始まり、高エネルギー加速器研究機構、核融合科学研究所など、男のロマンを感じさせる見学先の数々に心躍る。一つ一つの施設の紹介は10ページにも満たず、また大きめの写真が多いので、あまり読み応えはない。そういった施設の紹介そのものよりも、社会科見学という行為自体への誘いという位置づけなのだろう。そして、その取り組みは成功している。また、さりげなく開田夫妻が参加しているのもポイント。
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泉昌之, 豪快さんだっ! 完全版

文庫になっていたのを買い逃していたのであわてて購入。80年代後半頃の豪快さんに加え、COMIC CUEで突然復活した "炎の焼き肉" なども収録された正に完全版。泉昌之ファンならば迷わず買い。
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橘玲, 永遠の旅行者 (上) (下)

単行本を買おうか迷っている内に文庫化されてしまったので即買い。純粋な推理小説として読むと少々物足りないが、そういう本ではないのだろう。とはいうものの、所々で語られれる身も蓋もない経済や社会の事実の数々は、さすが橘氏といったところ。他の橘氏の著作と同様、投資や経済に興味のある人には間違いなくおすすめできる。
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西村淳, 面白南極料理人 お料理なんでも相談室

読者からの (?) 質問に気の利いたレシピで回答するスタイル。あまり前作のような南極ネタはなく、ただのオヤジ料理人としての回答が多いが、その適当ながらも食欲をそそるレシピはちょっと作ってみたくなる。電車の中で気軽に読むのにはいいかも。
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田中秀臣, 不謹慎な経済学

経済に関する16本の独立したコラムをまとめた本。あまり "不謹慎" というほどでもなく、まっとうな経済学の内容。
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魚戸おさむ, 北原雅紀(脚本), 玄米せんせいの弁当箱 (1) (2)

食べる事にフォーカスしたマンガ作品。大学を舞台に、風変わりな講師が食の大切さを伝えてくれる。少し説教臭くはあるが、そこさえ乗り越えられれば悪くない。