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喜国雅彦, 本棚探偵の回想

本棚探偵の冒険の続編。 相変わらずの古本バカ (褒め言葉) っぷりが愛らしい。また、探偵小説トレカの作成、独自の文庫全集のデザインといった、漫画家ならではの技能を生かしたネタも面白い。 次回作の本棚探偵の帰還 (?) も楽しみ。
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鄭大均, 在日・強制連行の神話

いわゆる強制連行の実像に迫る本。 本書で取り上げられる多くの文献や証言は、在日一世の多くがチャンスを求めてもしくは教育を受けに自らの意志で日本に渡ってきたことを示している。また、強制連行の神話がどのように広がってきたかについてもきちんと踏み込んでいるのが素晴らしい。
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池谷裕二, 進化しすぎた脳

大脳生理学の研究者である著者が中高生に講義した内容をまとめたもの。 興味を引くネタが山盛りで、科学に興味のある人間なら一気に読み切ってしまうはず。中高生向けの講義とはいえ、教科書的な内容ではなく、論文や雑誌から引っ張ってきている先端の話題が多く、知的好奇心を満足させてくれる。
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橘玲, 黄金の扉を開ける賢者の海外投資術

いつも愛読している橘氏の新刊。 継続して氏の著作を読んでいる人にとって新しい情報はあまり多くないが、やはりその筆力に引き込まれてしまう。
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Ron Hale-Evans, 夏目大(訳), Mind パフォーマンス Hacks 脳と心のユーザーマニュアル

Mind Hacksの続編の様なタイトルだが内容は別物。 最近増えているLife Hacks本の一種のようにも見えるが、そこはそれ、O'REILLYらしい硬派さ。 一部に英語依存な箇所があるものの、ちょっとした工夫で日本語にも適用できそう。
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加藤英明, 山崎尚志, 野球人の錯覚

野球統計本。データスタジアムのデータを元に、いわゆる「流れ」論の検証を中心に行っている。 リンゼイのモデルは既に盗塁やバントを行ったケースを含んでいるのでそのまま使えない、という指摘は面白いエラーや併殺が流れを変える (次回以降の得失点確率や平均得失点に影響を与える) ということが述べられているが、エラーがあるチームは元々守備が良くない傾向があり、併殺があるチームはたまたま守備が良かったり良い投手が投げている傾向があるというだけの様に思える。そのあたりをコントロールしたデータ...
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木暮太一, マルクスる? 世界一簡単なマルクス経済学の本

その名前の通り、マルクス経済学の入門書。 本当に基礎の基礎のところだけだが、噛んで含めるように教えてくれる。
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喜国雅彦, 本棚探偵の冒険

喜国さんの作品はの頃から読んでいたが、古本マニアであることは初めて知った。 全編から古本への愛がにじみでている一冊。も読もう。
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杉山隆男, 兵士を追え

陸空に続く新作のテーマは海。それも最高機密の塊である潜水艦。 潜水艦の内部はもちろん、それを取り巻く哨戒機への同乗取材まで行われている。このシリーズらしく充分なボリュームで、前作同様に自衛隊員たちの生の声が多く取り上げられているのが興味深い。
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山形浩生, 要するに

山形浩生氏の雑文集。 山形道場の連載を中心に、ケーザイのネタが多めなのが嬉しい。"世の中講座" の企業の仕組みなどは、今となっては世間の合意を得ている内容かと思うが、それを2000年前後に読みやすい形で (まさに "要するに" という内容!) 世に出していたのは素晴らしい。