review

comic

能田達規, マネーフットボール (6) (7)

前回に続き、完結まで一気読み。 物語が大詰めということもあり数値分析の話題はやや控え目になったが、新たに代理人システムやチーム編成の話題を入れ込んできたところはさすが。
book

井上章一, 京都ぎらい

たまには流行本でも。 京都論としてはそれほど新味はないが、感情的なところをあまり隠さずに書き綴っているところは特徴的。ある意味ブログ的と言えるかもしれない。 参考文献が付属していないところをみても分かるとおり、裏の取れていない推論も多いのでご注意を。
book

橘木俊詔, 森剛志, 新・日本のお金持ち研究

本書で言う "お金持ち" は、高額納税者のこと。すなわち、個人で大きな課税対象所得がある人々だけを対象としており、上手く節税している人々や資産運用益中心の人々は除かれている。このあたり、一般の人が "お金持ち" と聞いて思い浮かべるものと乖離しているように思える。 全国高額納税者名簿に掲載された人々への質問紙調査を主な情報源としているが、回収率が不明なのも残念。相当のバイアスを覚悟して読む必要がある。 なお、表題からの改訂版と思いこんでこちらから読み始めたが、続編にあたるもの...
comic

風間やんわり, やんわり社会派宣言

FRIDAYの連載はさすがに時事ネタが多すぎ、今となっては元ネタが思い出せない事件も多い。一方で、後半のニートピアやいまじんは今でもまったく古さを感じさせない出来で、こちらのためだけにでも買う価値がある。
book

青木寿幸, 竹内謙礼, 会計天国

"おもしろくて、ためになる" 系のビジネス小説。 コメディタッチの小説は読みやすく、単純な読み物としても悪くない。肝心の会計部分は、さすがにずぶの素人が一冊目として読むのには敷居が高いか。ある程度会計を理解している人がおさらいを兼ねて読むのにはちょうど良さそう。
comic

白正男(作), 山戸大輔(画), テコンダー朴 (2)

前巻で完結した雰囲気だったが、まさかの復活。 もともとあまり長期連載向きのフォーマットではないせいか、ネット上で流行した時事ネタを盛り込んで嵩増ししている感はあるが、それでも水準以上の出来。
book

西澤保彦, 七回死んだ男

人格転移の殺人が良かったのでこちらも。 ミステリに特殊能力を絡めてくる異端的な作品だが、それでいて読後にフェアな印象が残るのが素晴らしい。最近流行の頭脳バトルマンガに通じる面白さがある。
book

「図書」編集部 (編), 書斎の王様

14人の知識人がそれぞれの書斎を紹介するエッセイ集。大学教授と作家が多め。 電子書籍どころかPCの普及もまだ進んでいない1980年代 (ワープロを導入している著者もいるがまだ少数派) だけに、紙の本とどう戦っていくかが話題の中心。このあたりは今の時代でも変わらず共感できる。 また、そんな時代でも喫茶店や電車内など自宅外に書斎を求めるノマド的なスタイルを模索している者も案外多いのが新鮮。
book

成毛眞, 40歳を過ぎたら、三日坊主でいい。 新・ミドルエイジ論

タイトルはやや釣り気味だが、ミドルエイジ向きのメッセージ中心ではある。 著者自身が気に入ったものはべた褒めし、気に入らないものは徹底的にこき下ろす作風なので、波長が合う人には楽しめるかもしれない。ミステリなどあまり詳しくないと思われる分野への意見が的はずれなのはご愛嬌。
comic

石坂啓, アイム ホーム (上) (下)

そろそろ古典と言えそうな作品ではあるが、まだ読んでいなかったので今更ながら。数年前にテレビドラマ化された際の新装版で。ドラマは観ていない。 序盤からとにかく印象的な仮面の謎でぐいぐいと引っ張ってくれる。他にも多数の鍵や断片的な記憶など謎解きの要素は多数あるのだが、仮面の画的なインパクトの前に霞んでしまう。 ラストは賛否も解釈も分かれそうだが、私は高く評価したい。