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徳光康之, 濃爆おたく先生 (1) (2)

消費するだけのおたくとは一線を画する、妄想するガンダムおたくのギャグマンガ。一昔前のおたくだった人には間違いなく共感できる作品。
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ダニエル・カーネマン(著), 村井章子(訳), ファスト&スロー (上) (下)

示唆に富む内容が多く、付箋を付けながら読んでいたら付箋だらけになってしまった。上下巻の大著だが、豊富な例題に頷きながら気持ちよく読める。表題のFast and Slow (速い思考と遅い思考) が主題だが、著者をこの世界を代表する研究者に押し上げたプロスペクト理論の解説ももちろん含まれている。最近の脳ブームに興味のある人はもちろん、そうでなくとも骨太の科学本を読みたい向きには間違いなくおすすめできる。
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おざわゆき, 凍りの掌 シベリア抑留記

著者の実父への聞き取りを元にしたシベリア抑留記。一兵卒の主観的な視点からのシベリア抑留は実にリアルで底おそろしさを感じる。また、一次資料が少ないところをよくマンガに仕上げてくれたものだと思う。復員後のアカの扱いなども、復員者の視点で生々しく描かれている。絵柄はマンガ的なシンプルなものだが、この内容でリアルな表現ではとても読めないだろう。
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岡崎洋三, 日本語とテンの打ち方

学校の作文教育ではきちんと教えられないテンの打ち方を一冊丸ごと。著者なりの体系立った打ち方の理論があるわけではなく、様々な例文を持ち出してきては都度解説をするスタイル。例文はやや新聞贔屓が過ぎるか。本書中に著者の経歴が書かれていないので想像に過ぎないが、新聞出身かもしれない。
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卯月妙子, 実録企画モノ

人間仮免中があまりにも衝撃的だったので、こちらも読んでみた。どのページをとってもまさに壮絶な内容なのだが、それをさらりとギャグマンガとして描ききってしまうところは狂気を感じる。
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山田英夫, ビジネス版 悪魔の辞典

のビジネス版というか日本の大企業版。パロディながらもその質は高く、その環境に身をおいてこそ笑えるネタが満載。
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米本和広, 教祖逮捕 「カルト」は人を救うか

1996年から1999年頃にかけてのルポタージュをまとめたもの。法の華、ライフスペース、貴乃花やTOSHIの洗脳騒動、親鸞会や顕正会と、その時時の旬の話題が中心のため、本としてのまとまりは今ひとつだが、事後に明らかになった事実の補足等もあり、今改めて読み返す価値がある。
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オリ・ブラフマン(著), ロッド・A・ベックストローム(著), 糸井恵(訳), ヒトデはクモよりなぜ強い

分権型の組織 (ヒトデ) と中央集権型の組織 (クモ) の比較論。アパッチ族とスペイン軍、ナップスターとレコード会社など、ヒトデとクモの比較事例を用いた分析。定性的な分析のみではあるが、論理は通っている。過去にヒトデを滅ぼすことに成功した戦略、特にスペイン人がアパッチ族に畜牛を与えて権限を中央に集めさせた事例は興味深い。
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九井諒子, ダンジョン飯 (4)

前巻に続き、今回もコンビニ買い。メインテーマであるファリンの救出を終えた後も、もう少し物語が続きそうな雰囲気。気になるマルシルの過去も少しづつ明らかに。
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ケビン・ミトニック(著), ウィリアム・サイモン(著), 岩谷宏(訳), 欺術 (ぎじゅつ) 史上最強のハッカーが明かす禁断の技法

ケビン・ミトニックの実体験に基づいた豊富な事例が実に興味深い。自身が同じ手口に出会ったときに、正しい対処を取れる自信がない。巻末の防御手法自体はやや退屈で、時代遅れの部分も含まれているので読み飛ばしても良いかもしれない。翻訳は岩谷宏だが、比較的無難な仕上がり。