review

book

マーク・オブマシック(著), 朝倉和子(訳), ザ・ビッグイヤー 世界最大のバードウォッチング競技会に挑む男と鳥の狂詩曲

1年間の期間中に北米でいかに多くの鳥を見られるかを競うザ・ビッグイヤーを取り上げたノンフィクション。2011年には映画化もされた。まったく事前知識なしで読み始めたが、一気に惹きこまれてしまった。分野は違えど他人に理解されない趣味に多くのリソースをつぎ込んでいる人ならば、間違いなく共感できる。おすすめ。
comic

久住昌之(原作), ナカタニ D. (作画), 百合子のひとりめし

長らく単行本化されず、自費出版版のオークション出品待ちの状態が続いていたが、それよりも先に復刊されてしまった。最近の久住昌之ブームのおかげか。おそらく単行本化されなかった理由の一つが分量不足。7話で打ち切りとなってしまっていたため、単行本化するには少々ページ数が足りなかったのだろう。今回の単行本化にあたって、描き下ろしでさらに2話が加わっているのが嬉しい。ネーム原作や下書き原稿、戯曲版などで無理にページを埋めている感があるのはご愛嬌。内容はいつもの久住節。言ってしまえば女版・...
book

橘玲, タックスヘイヴン Tax Haven

橘玲お得意の金融小説。租税回避ネタを中心に、ミステリ、ロマンス、アジア紀行と要素を詰め込みすぎている感はあるが、やはり一気に読ませる力がある。おすすめ。
book

吉田戦車, 吉田自転車

かなりユルめの自転車エッセイ。本格的な自転車の人に役立つような話は何一つないが、トボケた雰囲気のエッセイがお好きならぜひ。
book

小林和彦, ボクには世界がこう見えていた 統合失調症闘病記

統合失調症を患った人物による手記。統合失調症に関する本は数あれど、医者や家族ではなく本人による著作は例が少なく貴重。自分を客観的に分析できている部分と妄想による部分とを脈絡なく行ったり来たりするのが奇妙な感覚。
book

エリック・シーゲル(著), 矢羽野薫(訳), ヤバい予測学 「何を買うか」から「いつ死ぬか」まであなたの行動はすべて読まれている

ビッグデータを用いた予測の解説書。技術的な詳細よりも事例紹介が中心。豊富な実例は眺めているだけでも楽しいが、参考文献が不明なネタが多いのがやや難。
book

山田奨治, <海賊版> の思想 18世紀英国の永久コピーライト闘争

現代の期限付きの著作権のきっかけとなった18世紀英国の法廷闘争を仔細に追いかけた作品。著作権の制限が決して遂行な理念だけではなく、海賊出版社の営利を求める姿勢によって生まれたというのは実に興味深い。
comic

深谷陽, スパイスビーム

謎のタイ料理店を舞台に何でもぶち込んだ何ともアジア的な作品。先が読めない展開に惹きこまれ、一気に読んでしまった。おすすめ。
book

トーマス・クーン(著), 中山茂(訳), 科学革命の構造

実はまだ読んでいなかった古典。パラダイムとはもはや便利に使われる語となってしまっているが、元々は精緻に組み上げられた概念であるのがよく分かる。翻訳が今ひとつこなれていないのが残念。
comic

カザマアヤミ, 恋愛3次元デビュー 30歳オタク漫画家、結婚への道。

恋愛経験のなかった漫画家の結婚までを描いたコミックエッセイ。素直に応援したくなるタイプ。