anthropology

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諸島文化民俗研究会, 潜入! ニッポン不思議島

宝島社なので仕方ないが、少しオカルト方面に振りすぎか。移動中に気軽に読み飛ばす文庫としては悪くない。
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川口友万, 大人の怪しい実験室 都市伝説の検証

デイリーポータルZのアングラ版の様な本。生理的な気持ち悪さだけではなく、倫理的な後味の悪さのある話 (具体的には "ネズミ算式にネズミを飼ったら……" というネタ) も含まれているので、そのあたりが気になる人は避けた方が良いだろう。それを除けば概ね気持ちいいバカ (褒め言葉) で悪くない。
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竹中正治, ラーメン屋vs.マクドナルド エコノミストが読み解く日米の深層

エコノミストの書いた日米比較論。タイトルは少し狙いすぎな気もするが、内容はマトモ。全体的に広く浅くの内容なのだが,やはり著者の専門である経済の話題が面白い。特に日米の投資行動比較の項における、"日本人は文化的にリスク回避志向だから" という良く語られる論に対する反論。文化的な背景を持ち出さなくとも、金融資産の分布格差で説明が可能というのは説得力がある。
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松原岩五郎, 最暗黒の東京

1893年に出版された "最暗黒之東京" を底本に、新仮名遣いに改め再編集されたもの。著者の松原は文学者でもあったため少々文章が走りすぎるところもあり、単なるレポートと言うよりは記録文学といった趣。場末の木賃宿、貧街、残飯屋、人力車夫など、明治時代の日本の底辺の記録が生々しく、とても高々100年前のこととは思えない。この時代の数少ない下層社会の生の記録であるので、ぜひとも読んで欲しい。
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井本沙織, ロシア人しか知らない本当のロシア

著者はこんな名前でも日本に帰化したロシア人。経済学者でもありロシア経済の話も扱っているのだが、本当に面白いのはソ連が終焉を迎えた80年代と社会主義体制崩壊後の現在のロシアの日常生活の比較の方。
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町山智浩, アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない

自ら情報発信をするいわゆるインテリ層ではない、普通のアメリカ人というものがよく見えてくる本。様々なメディアを通じてみるアメリカは、比較的声が大きく外国にも発信されやすいリベラル寄りの意見がばかりが目に付くが、実は右派が根強い勢力を誇っているのがよくわかる。
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素朴な疑問探求会, 明治・大正人の朝から晩まで

手軽に読める雑学本。あまり当時の暗部には触れず、口当たりの良いエピソードだけに絞っているので、気楽に楽しめる。移動中の暇つぶしなどにどうぞ。
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紀田順一郎, 東京の下層社会

ほんの少し前、昭和戦前頃の東京の極貧階層がどのような生活をしていたのか。東京三大スラム、残飯生活、もらい子殺し、搾取される娼妓達、製糸工場の女工のタコ部屋など、読むだけで気分が悪くなる内容。しかし、これが高々100年前の現実なのだ。極貧階層の生活だけではなく、当時の福祉政策のお粗末さについても十分な記述があり、よく理解できる。おすすめ。
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鯖田豊之, 肉食の思想 ヨーロッパ精神の再発見

日本と欧米諸国の食生活パターンの違いを元に、宗教や身分制度、結婚観、果ては社会意識の違いまでを解明する。少々コジツケにみえる論旨もあるが (本書の性質上、食生活以外のところをバッサリと切り捨てているのでやむをえないが) 、自分が触れてきた欧米諸国の人々を思い出してみても非常に共感を覚えるところが多い。40年前の本なのでさすがにデータが古くなっているところもあるが、論旨自体は今でも古さを感じない。
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ジャレド・ダイアモンド(著), 倉骨彰(訳), 銃・病原菌・鉄 (上巻, 下巻)

なぜ、欧州の文明が現在の世界を席巻するに至ったのか。なぜその役割はアフリカ大陸やアメリカ大陸、オーストラリア大陸ではなく、ユーラシア大陸の欧州に与えられたのか。この疑問を、各大陸の環境という側面から鮮やかに解き明かす。最近のノンフィクションの中では一番の当たりかも。お勧めです。