book 宮下規久朗, オールカラー版 欲望の美術史 食欲や愛欲といった人間の根源的な欲望に加えて、金銭欲の視点から美術史を眺めているのが興味深い。美術作品も社会に流通する商品であり、むしろ金銭に執着する芸術家の方が才能に恵まれ多産であることがよく分かる。 2020-06-13 book
book エラ・フランシス・サンダース(著), 前田まゆみ(訳), 翻訳できない世界のことば ひとことでは訳せない世界のユニークな単語を集めた本。日本語からは TSUNDOKU (積ん読) が取り上げられているといえば、雰囲気が伝わるだろうか。一見するとただのネタ本に見えるが、言葉というものがその国や地域の文化と密接に関係していることを思い出させてくれる良書。 2020-01-16 book
comic Anthony Bourdain(Author), Joel Rose(Author), Langdon Foss(Illustrator), Jose Villarrubia(Illustrator), GET JIRO! ディストピア化した世界で寿司を握り包丁を振り回すJIROを描いた怪作。その舞台設定はさておき、ストーリーラインは意外にしっかりしており、アートの質も高い。偏見を持たずに読むべき。 2018-12-25 comic
book ダニエル・スミス(著), 小野智子+片山美佳子(訳), 絶対に行けない世界の非公開区域99 ガザの地下トンネルから女王の寝室まで さまざまな理由で立ち入りができない場所を集めたネタ本。著者がイギリス人ということもあり、ややイギリスやヨーロッパの比率が高めか。セキュリティや国防上の理由、紛争地域、宗教がらみ、所在地不明など理由は様々だが、どれも興味をそそられるものばかり。さすがに著者も立ち入りの調査はしていないようだが、関係する写真も多く、眺めているだけでも楽しい。 2018-06-23 book
book 書皮友好協会(監修), 日本のブックカバー 書店でかけてもらえるブックカバー (書皮) のカタログ。昔通った懐かしい書店のカバーも、見覚えがないものも、眺めているだけでノスタルジックな気分に浸れて幸せ。とはいえ、今や私も書店で書籍を購入することはめっきり減っており、この本ももう少し経つと貴重な "史料" となってしまうのだろう。 2018-03-29 book
book 松原隆一郎, 堀部安嗣, 書庫を建てる 1万冊の本を収める狭小住宅プロジェクト 巻頭の美しい写真に、本書の価値のほぼすべてが詰まっている。本好きならば一度は夢想する書庫を本当に体現してしまったのは、ただただ羨ましい。それでも狭小住宅であるがために、庶民にももしかしたらという夢を抱かせてくれる。なお、目の前の蔵書を整理する助けにはまったくならないので、その方面のヒントを探している方はご注意を。 2017-11-09 book
book 猪本典子, あてによし 写真重視のレシピ本。写真は確かに美しく、眺めている分には楽しいが、実用的かというと少々疑問。盛り付けのサンプル集として見た方が良いかもしれない。 2016-04-28 book
book FAMA(編集), P3 art and enviroment(翻訳), 柴宜弘(監修), サラエボ旅行案内 史上初の戦場都市ガイド 旅行案内の体裁でサラエボの戦場の現実を紹介した本。紛争中の1994年の出版 (原著は1993年) 。皮肉の効いた解説と力のある写真の組み合わせが見事。 2015-11-11 book
book 今和泉隆行, みんなの空想地図 空想で地図を創りあげるという贅沢な遊び。色川武大の "ひとり博打" に見られるような箱庭愛を見事に昇華させ、地図の形で結実させてくれた。実在の街の写真イメージを組み合わせ、その街の手触りまでを必死に伝えようという姿勢に頭が下がる。著者が子供の頃から描き続けてきた地図の数々を "パンツを脱いで" 紹介する姿勢も素晴らしい。地図創りの根幹を支えているフィールドワークのノウハウも惜しみなく公開してくれている。大判地図を収録するためのちょっと凝った装丁も実に良い。 2015-10-20 book