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向井蘭, 社長は労働法をこう使え!

労働者側ではなく使用者側の視点での労働法解説。立ち位置としては労務管理における労働法上のグレーゾーンとその対応に近いか。参考文献が示されておらず情報源が不明な部分が多いため、どこまで鵜呑みにして良いかはよく分からない。また、一部の例外的な問題労働者を一般化している様に見える箇所も散見される。これらの欠点を除けば案外穏当な内容。使用者寄りと言いながらも、 解雇権と比べて人事異動等の権利が強すぎる点や、過去の判例を重視せざるを得ない裁判システムの問題も指摘している。
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金田善裕, ネット副業の達人 20人の成功例から学ぶ確実に稼ぐコツ!

タイトル通り、ネットを利用した副業の成功例を集めたもの。失敗例はなし。20人のインタビューと成功体験をそのまま掲載しているだけで、共通項を見出そうといった試みなどは特にない。校正が甘く、誤字が目立つのがやや難。
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T. ギルブ(著), G.M.ワインバーグ(著), 木村泉(訳), 米沢明憲(訳), 計算機入力の人間学 打鍵入力信頼性技法

主にキーパンチャによるデータ入力の信頼性向上に関する専門書。泥臭い仕事の一つだが、その重要性は揺るぎなく、おそらくこれからも何だかんだと言いながらもなくならないだろう。原著は1977年に発表されたものであり、パンチカードに関する記述など今ではさすがに古くなっている部分もある。しかしながら、人間の本質に関わる部分は全く古くなっておらず、繰り返しや確認語によるエラー率の低減手法、適応制御を用いた入力検査など、現在でもそのまま使える内容も多い。単に入力ミスを減らすための小ネタ集だけ...
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鈴木みそ, ナナのリテラシー (1)

リテラシーというよりはコンサルタント的なお話。おそらく、"銭" の後継作品という位置付け。1巻目のテーマは出版。構造的に衰退産業となっている出版業、特にマンガの世界のリアルなお金事情を描いてしまうあたりはさすが鈴木みそ。どこまでがノンフィクションでどこからがフィクションなのかを掴ませないところも見事。
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学研辞典編集部(編), 13か国語でわかる新・ネーミング辞典

日本語から13か国語への辞典。それ以上の大きな工夫があるわけではないので、あくまでもネーミングの補助として字引の手間を省くための本と割り切った方がよさそう。ジャンル別ではなく50音順に並べているタイプだが、冒頭にジャンル別の索引もあり。単語の選択基準が今ひとつ掴めないが、ある程度商品のネーミングを意識して選択しているように見える。
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若井吉樹, 世界一わかりやすい在庫削減の授業

在庫管理の入門書。極めて初歩の初歩の内容だがよくまとまっている。在庫削減の必要性やその効果に始まり、実際の在庫削減の手順までを一歩一歩噛んで含めるように解説してくれるあたりは "世界一わかりやすい" を謳うだけのことはある。文章もこなれており読みやすい。
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中川基, ニセモノ食品の正体

インジェクションビーフや代用魚など、偽装食品とまでは言わないまでもホンモノとは言い難い様な食品を集めたカタログ本。解説は中立的で、この種の本にありがちな "添加物=悪" といった短絡的な思考や無意味な自然信仰などはほとんど見られない。ニセモノ食品の長所である破棄の削減やコスト低減と短所である栄養バランス等の問題の双方がきちんと押さえられており、好感が持てる。
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グレッグ・クライツァー(著), 竹迫仁子(訳), デブの帝国 いかにしてアメリカは肥満大国となったのか

装丁は軽めだが内容は硬派。米国が肥満社会となるまでの過程を、農業行政、ファストフード業界、食品業界、教育界と多くの視点から丹念に追いかけていく。現状に至った要因は単一のものではなく、様々な原因が絡まり合っていることがよく分かる。肥満のリスクに関する記述も十分。
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リチャード・ワイズマン(著), 木村博江(訳), その科学が成功を決める

最新の心理学研究の成果を用いて、自己啓発本でよく語られる言説を検証している。文献調査もきちんとしており、主観的な記述ばかりの自己啓発本よりははるかに納得感がある。おすすめ。
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安藤百福発明記念館(編), 転んでもただでは起きるな! 定本・安藤百福

日清食品創業者の安藤百福の伝記と語録をまとめたもの。今季の日清食品の株主優待で配布された。関係者の編集ということもあり、あまり客観的なドキュメンタリーではなく宣伝色が強いが、その波瀾万丈な生き方は読み物として十分に面白い。