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グローバルタスクフォース, ポーター教授『競争の戦略』入門

難解なを読み解くためのガイドブック。重要な部分を箇条書きで抜き出したような部分が多いため、読み物というよりは考えをまとめるときのチェック表として使ったほうが良いかもしれない。考える必要がある項目が漏れ無くまとまっているのは安心できる。
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山口揚平, そろそろ会社辞めようかなと思っている人に、一人でも食べていける知識をシェアしようじゃないか

表題からはフリーランス生活や生活コスト圧縮のノウハウ本を連想してしまうが、内容はかなり起業寄り。それも "一人でも食べていける" というよりは、やや大きめのビジネスを興すことを想定しているように読める。本書のメッセージは、いかにしてプロフィットモデルを確立するかということに集約される。課金の仕方、顧客、商品、支払い方法、資源の5つの観点からプロフィットモデルを整理するという切り口は既存のビジネスを分析する上でも役に立つかもしれない。
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渡辺仁, セブン-イレブンの罠

金曜日の出版なので半信半疑で読み始めたが、意外にもまともな本だった。セブン-イレブンのフランチャイズ問題、特にロスチャージやオープンアカウント、ドミナントといった悪名高い問題に切り込んだドキュメンタリー。セブン-イレブンの異常なまでの高収益の源泉がどこにあるのかが見えてくる。全体を通じて読みやすい本だが、似たような話が多くやや冗長に感じる部分がある。これは情報源が限られているせいもあるかもしれない。法的な部分の解説はほぼ北野弘久日本大学名誉教授の受け売りで、多面的な見方ができ...
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青木昌彦(編著), 安藤晴彦(編著), モジュール化 新しい産業アーキテクチャの本質

"モジュール化" という単語は聞いたことがあるというレベルで読み始め、その理解の浅さに気付かされた。モジュール化とは、字面から想像される単に機能ブロックごとに切り分けるだけのものではなく、摺り合わせのコストを下げるとともに競争圧力を高めるものであることがよく分かる。机上の論理だけではなく、自動車産業や半導体露光装置産業、ゲーム産業など様々な産業の実例も豊富に含まれており、この一冊だけでモジュール化の分野を概観できる。おすすめ。
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水野学, アウトプットのスイッチ

表題にある "アウトプット" は商品のデザインやパッケージだけではなく、その背景にある企業理念なども含んだ広い意味。その広い視点で売れる商品を考えようという試み。著者自身が携わってきた商品の実例に沿った解説が中心。アウトプットを作り出す様々な手法の紹介もそれらの実例に沿った形で断片的に行われるため、全体像をあまり体系立てて学ぶのには向かないが、手法のヒントを探すのには良い本。
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トーマス・H・ダベンポート(著), ジェーン・G・ハリス(著), ロバート・モリソン(著), 村井章子(訳), 分析力を駆使する企業 発展の五段階

膨大なデータの分析や活用をテーマとしているが、"ビッグデータ" の様なbuzzwordに踊らされることなくきちんと地に足がついている。本書で一貫して主張されるのは分析力を高め活用するには企業を挙げての取り組みが必要であるという点。成功に必要な要素として挙げられるDELTA (Data, Enterprise, Leadership, Target, Analyst) の実現に向けたステージごとの進め方も非常に参考になる。データ分析に携わる人はもちろん、意思決定にデータを活用し...
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中田信哉, ロジスティクス入門

単なる物流を越えた、マネジメントとしてのロジスティクスの入門書。事例を並べただけの本とは異なり、理論的な背景もしっかりと説明されているのが好印象。米国で "ロジスティクス" という言葉が生まれるまでの歴史や、物流管理とロジスティクスの違いなど、基礎から理解させてくれる。
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深田浩嗣, ソーシャルゲームはなぜハマるのか ゲーミフィケーションが変える顧客満足

流行のソーシャルゲームの解説書。教科書的なスタイルで読み物として面白い本ではないが、ソーシャルゲームの構造を体系立てて学べるのは良い。著者は特定の人気ゲームの中の人というわけではないので、一番知りたい本当の数字や裏話はやや控え目。2011年の発刊のため、取り上げられているタイトルは "釣り★スタ" や "怪盗ロワイヤル" といったフィーチャーフォンのソーシャルゲームが中心。"パズル&ドラゴンズ" や "艦隊これくしょん" の様な最近の人気タイトルに当てはまっているか怪しい理論...
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三品和広, どうする? 日本企業

日本企業の衰退の原因を6つの視点から探る。売上高の成長を追い求めたために生じた利益率の低下、コンフォーマンス・クオリティを追い求めたために生じたパフォーマンス・クオリティの低下など、ある面での成功が他の成功を奪ってしまう事例は実に刺激的。
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渡邉正裕, これが本当のマスコミだ 社員が教える企業ミシュラン

マスコミ各社の企業情報を、従業員の立場で評価したもの。週刊誌的に読むのなら面白いが、真偽が不明な情報や憶測と思われる内容も多いので話半分で。2005年の出版のため、現在では少し古くなっている点も注意。