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小倉博行, ラテン語のしくみ

ラテン語を学びたいというよりはラテン語とはどんなものかを概観したいという気分で読むと、細かな活用型の練習を延々とさせられるのに閉口する。それでも、ラテン語ならではの特徴の話題は楽しめる。
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山田敏弘, 日本語のしくみ

他言語と比較をすると、日本語のどの部分が特殊なのかが見えてくる。日本語を特殊な言語とする言説も多いが、多言語とよくよく比べて見ると特殊なところも普通のところもある言語に過ぎない。敬語表現は珍しいものではないが、謙譲語を持っている言語は極めて少ない格助詞を用いることで自由な語順の文を作れるのが特徴。ただし、自然な文にするにはSOV順にすると必要がある多数の一人称が使われる一方で、単数と複数、過去と完了などをあまり意識しない (厳密には人を指す場合やオノマトペには単複の区別が見ら...
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縄文ZINE(編), 望月昭秀(著), 小久保拓也(著), 山田康弘 (著), 佐々木由香(著), 山科哲(著), 白鳥兄弟(著), 松井実 (著), 金子昭彦 (著), 吉田泰幸 (著), 菅豊 (著), 土偶を読むを読む

ベストセラーとなったの検証本。たびたび売れてしまうトンデモ本の検証は誰かがやらねばならないにもかかわらず学術的には評価されない仕事であり、こうした努力に頭が下がる。本書ではこうした作業を "雪かき" と表現しており、実に的確な例えだと思う。こうした検証本としての役割を抜きにして、現在の縄文研究を学ぶうえでも良書。土偶がどこまでわかっていて、何がわかっていないのか、その概観を掴むことができる。
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にゃんこそば(著), 宮路秀作(監修), ビジュアルでわかる日本

Twitterの生まれの可視化本。前半は言われてみれば当たり前の結論が多くやや退屈。可視化の技法やアイディアを学ぶのには良いかもしれない。この手の本にありがちな東京偏重ではなく、主要な地方都市も押さえているのは好感が持てる。最後の第6章で扱っている地名の可視化はこれ単体で研究として成立しうるレベルの独創性の高い内容で面白い。
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シェリー・シーサラー(著), 菊池誠(監修), 今西康子(訳), 「悪意の情報」を見破る方法

真っ当な情報リテラシ本。世にあふれる科学のふりをしたでたらめを類型化して解説してくれる。端々から著者 (と解説の菊池誠先生) の義憤が感じられる良書。
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坂本伸二, デザイン入門教室 特別講義 確かな力を身に付けられる 学び、考え、作る授業

紙を中心としたデザイン本。デザインの素人は単純の要素同士を揃えて配置しろと言われても単純な四角い写真の配置以上のものがあると固まってしまうが、形の異なる要素の配置など迷いがちなところを手取り足取り説明してくれるのはありがたい。基本ルールだけでなく、BEFORE/AFTERの作例も豊富でわかりやすい。
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白井恭弘, 外国語学習の科学 第二言語習得論とは何か

第二言語習得 (Second Language Acquisition) 研究の啓蒙書。第一言語 (母語) 習得はほとんどの人が成功するのに対し、第二言語習得の結果は人によって様々なのはなぜなのか、という疑問に対する研究を複数の観点から紹介してくれる。第二言語習得の成否が単純な知能・知性 (いわゆるIQ) で決まるかというとそう単純なものではなく、知能・知性とは独立した外国語習得特有の適正というものが存在するようだ。また、言語能力というものも、日常言語能力と認知学習言語能力に...
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柳治男, <学級> の歴史学

現代の日本の公教育で当たり前となっている "学級" だが、中世までの学校には存在しないものであった。当時は教室 (class room) すら存在せず、ひとつの教場 (school room) にまちまちの年齢の生徒が集まって教育を受けるのが一般的であった。本書は学級制に基づく学校、すなわち義務教育制度が成立する過程を丁寧になぞり、その上で現代日本の学校がはらんでいる問題を明らかにするものである。学級が存在するにはその前提として学習内容を時間割として定めておく必要がある。これ...
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クリフォード・A・ピックオーバー(著), 川村秀憲(監訳), 佐藤聡(訳), 人工知能 グラフィックヒストリー

広義の人工知能の歴史を俯瞰できる本。原著が2019年の発行のため、LLMは触れられていないが、ディープラーニング (1965年) は取り上げられている。見開き1トピックの構成で、グラフィックヒストリーの名の通り歴史的な画像やイラストが添えられている。画像も含めて出典が一覧になっているのも嬉しい。
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映画ドラえもん のび太の絵世界物語

小学校2年生の息子を連れて (連れられて) 映画鑑賞。公開後最初の週末ということもあり、グランドシネマサンシャイン池袋のシアター3 (381) が7割方埋まっていた。昨年ののび太の地球交響楽よりも更に上質な作品と感じる。何と言っても脚本が素晴らしく、序盤から何気ないシーンに散りばめられた伏線が綺麗に回収される展開。日常パートと冒険パートのバランス、ひみつ道具の活用も申し分ない。作画の質も高く、アクションシーンは実に良く動く。序盤の様々な歴史的名画に入り込むシーンも遊び心に溢れ...