education

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太田あや, 東大合格生のノートはどうして美しいのか

ノートの取り方の解説本。表題通りの東大生のものを中心に、ノートの実物を多数収録。 400冊以上のノートを集めたという労作だが、肝心の分析は浅め。一応、東大生のノートに見られる法則は挙げられているものの、主観的な基準が多い上に対照群がないので東大生のノートに特有の法則かは分からない。
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徳丸浩, 体系的に学ぶ 安全なWebアプリケーションの作り方 脆弱性が生まれる原理と対策の実践

いわゆる "徳丸本" 。さすがに定番となっているだけあり、基礎的な理論から応用まで隙がない。 セキュリティを主題に据えているものの、HTTPの教科書として見ても良い出来。解説だけではなく演習も充実しているので、新入社員教育などにも良いかもしれない。おすすめ。
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グローバルタスクフォース, ポーター教授『競争の戦略』入門

難解なを読み解くためのガイドブック。 重要な部分を箇条書きで抜き出したような部分が多いため、読み物というよりは考えをまとめるときのチェック表として使ったほうが良いかもしれない。考える必要がある項目が漏れ無くまとまっているのは安心できる。
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礒崎敦仁, 澤田克己, LIVE講義 北朝鮮入門

北朝鮮の入門書・教科書となることを目指して書かれたというだけあり、北朝鮮の基礎的な事項がよくまとまっている。市民の生活についての情報はやや控え目だが、政治や外交、歴史については必要事項が過不足なくまとめられている。金正日存命中の2010年の出版ながら、当時は後継者候補に過ぎなかった金正恩の情報もきちんと押さえられており、古さを感じさせない。巻末の参考文献もしっかりしており、一冊目の教科書としても間違いなくおすすめできる。
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松永暢史, この国をダメにした「学校教育」 政治家・官僚・企業トップ……ウソつきばかりを生んだ教育

第1章は現在の日本の教育ができるまでの歴史。著者のGHQ嫌いと文科省嫌いと日教組嫌いが前に出過ぎているために客観性が感じられず、読むに耐えない。 さすがに教育産業に携わっているだけあり、第2章の学校教育の現状は興味深い記述がいくつかある。ただし、あくまでも主観的な記述であり、客観的な裏付けがない点は注意が必要。
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松岡正剛, 知の編集術

編集というものを非常に大きな枠で捉えた本。編集というよりは、思考法や情報処理法といった方が近いかもしれない。 この広い意味での編集術はさっと一読して身に付くようなものとは思えず、本書も演習 (本書中では編集稽古と呼ばれる) を中心として自ら訓練することを促すスタイル。編集稽古中の芸能ネタが一昔前なのはご愛嬌。
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木下是雄, 理科系の作文技術

文章術の古典とも言える本。学生時代に一度読んでいるが、思うところがあり再読。学生時代と異なり、それなりの量の作文をこなしてきた今に読み返すと沁み入る部分が多い。 ワードプロセッサの普及前の著作であり、手書きを前提としている箇所などやや時代を感じる箇所もあるが、その他の部分は全く古くなっていない。現代でも版を重ねているのにはやはり理由がある。理工系の人間は必読。
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岩貞るみこ, 青い鳥文庫ができるまで

児童書の編集部をテーマにした小説。小説とはいえ非常に生々しい内容で、出版編集の実態を知りたい向きにもお勧めできる。 出版業をテーマにした作品は他にもあるが、児童書ならではの心遣いを随所に織り込んでいるのが嬉しい。子どもたちの懐事情を気にかけたり、子どもたちの読むものに誤りは許されないと校正に力を注いだりといった姿は素直に共感できる。 (判型は大きく異なるものの) 青い鳥文庫の装丁を真似ているあたりも心憎い。
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長野慶太, 英語は恥ずかしいほどゆっくり話しなさい!

非常に実用的な英語テクニック本。著者が苦労して身につけたであろう有用な技術が惜しげもなく公開されている。 ゆっくり話すことを推奨する理由は、自身の思考速度に合わせて話すため。単にゆっくり話すだけでは会話に置いていかれてしまうのだが、きちんとフックをかけて自分の話す機会を確保するための技術も併せて教えてくれるなど至れり尽くせり。
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荒井一博, 学歴社会の法則 教育を経済学から見直す

まずは表題ともなっている学歴社会の "法則" 。人的資本論やシグナリング理論といった主要な学説に加え、両親の学歴と子供の学歴の関係などをデータに基づいて論じる。このあたりは著者の専門分野でもあり、納得できる内容。 後半は教育にまつわる雑多な話題をいくつか。経済学の視点からのバウチャー制度批判やいじめ対策、学級規模の最適化などは文献もきちんとしており非常に興味深い提言となっている。一方、著者の思い入れが感じられる英語教育論は個人的な経験に偏りすぎているように見える。随筆として読...