engineering

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William J. Brown(著), Raphael C. Malveau(著), Hays W. “Skip” McCormick III(著), Thomas J. Mowbray(著), 岩谷宏(訳), 新装版 アンチパターン ソフトウェア危篤患者の救出

成功例を並べるデザインパターンに対し、こちらは失敗例を並べたもの。一歩間違えば "ソフトウェア開発あるある" になりかねないような企画だが、そこはオブジェクト指向開発の専門家だけあり、地味ながらきちんとした処方箋が提供されているのが見事。なお、訳者は岩谷宏であるが、今回は余計な訳注が少ないのでそこまでひどくない。
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那須川哲哉, テキストマイニングを使う技術/作る技術 基礎技術と適用事例から導く本質と活用法

テキストマイニングの入門書だが、教科書的な体裁ながら非常に実践的な内容。著者は元々IBMでTAKMIに携わっていた方で、ビジネス的な視点も備えており、TAKMIを用いたコンサルティングの経験から得られた知見も各所に見られる。基本的にテキストマイニングの利用者視点で書かれているため、本格的にテキストマイニングの研究をしようという向きには物足りないかもしれない。それでも、テキストマイニングの適用方法から関連技術まで大枠はひと通り押さえているので、入門書としては申し分ない。
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小峯龍男, 図解 古代・中世の超技術38 「神殿の自動ドア」から「聖水の自動販売機」まで

タイトルだけを見るとオーパーツを扱ったトンデモ本の様だが、ブルーバックスなのでそんなことはなくまともな技術本。メカトロニクス系の技術が中心だが、図版が豊富なので専門外の人間でも理解できる。半導体の無い時代にここまでできたのか、という素直な驚きとともに、人間の知恵に感心せざるをえない。
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SuicaとICカード免許証

先日、運転免許証を更新してから、Suicaとの干渉がひどくなった。Suicaで改札を通り抜けようとするときに近くに免許証を入れておくとエラーとなることがある。更新前の免許証もすでにICカード化されていたはずだが、エラーの頻度は低かった。更新後の免許でエラーの頻度が上がった理由は分からないが、ICカードの仕様が少し変わったか、それとも個体差か。いずれにせよあまりに不便になってきたので対策を講じることにした。一番簡単なのは免許証をSuicaとは別に保持することだが、貴重品を分散さ...
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TRIZ研究会(編), 本当に役立つTRIZ 眼からうろこが! 12の発明の原理だけでアイデア発想

TRIZの解説本だが、TRIZの説明そのものはあまりなく、TRIZを利用する実例が中心。TRIZを学ぶ一冊目としてはお勧めできないが、既にTRIZの発明原理などを学んだ上で実際の活用事例を知りたい向きには悪くない。
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石川憲二, 自然エネルギーの可能性と限界 風力・太陽光発電の実力と現実解

自然エネルギーのうち、風力、太陽光、水力、地熱の実態を探った本。著者は科学者ではなく科学ジャーナリスト。3.11の前年に出版された本のため、過剰な原子力バイアスはない。出力規模や安定性の観点から見ると風力や太陽光がそれほど効率的でないという結論は概ね同意できるが、コストに関する議論がほとんど行われていないのが片手落ち。また、これらの自然エネルギーの議論をする際には欠かせない蓄電池や送電を端折っているのも物足りない。とはいえ、語り口は平易でトンデモ度も低いので、一冊目に読む入門...
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ドナルド・ノーマン(著), 伊賀聡一郎(訳), 岡本明(訳), 安村通晃(訳), 複雑さと共に暮らす デザインの挑戦

ノーマン先生の新著。複雑さは避けられるものでも無理に減らすべきものでもなく、一貫性を持って扱える様にするべきものであるとの論。他の著作と同様、豊富な事例や図版に気付かされることが多い。
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ルイス・アンドレ・バロッソ(著), ウルス・ヘルツル(著), 丸山不二夫(監修), 首藤一幸(監修), 浦本直彦(監修), 高嶋優子(訳), 徳弘太郎 (訳), Googleクラウドの核心 巨大データセンターの変貌と運用の経済学

の訳書。原題通りの内容で、いくら売り上げのためとはいえ、表題に "Google" や "クラウド" といった流行り言葉を無理矢理埋め込むのは感心できない。やや工学系論文のような堅さがあるが、内容はしっかりしている。これからのデータセンター、とくにWSC (Warehouse-Scale Computer) に興味のある人には必読だろう。
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ヘンリー・ペトロスキー(著), 忠平美幸(訳), フォークの歯はなぜ四本になったか 実用品の進化論

少々狙い過ぎな邦題 (原題は "The Evolution of Useful Things") な気もするが、内容も翻訳も非常に真っ当。表題の食器類の他に、ペーパークリップ、ファスナー、プルタブなど、身近な実用品の進化の歴史を追うことで、"形は機能に従う" という定説を見直そうという試み。デザインに少しでも関連のある仕事をしている人ならば読んで損はない。
comic

見ル野栄司, シブすぎ技術に男泣き!

どこかで見たことがあるようなマンガだと思ったら、リクナビNEXTの連載だった。連載の方向が少しブレていた様で、先端企業への現場取材、日本の発明王の伝記物、著者自身の過去の開発物、現場の職人ネタなど良く言えば盛りだくさんの内容。メカトロ系の現場の話はIT系とはまた違った意味で面白い。