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トム・ヴァンダービルト(著), 酒井泰介(訳), となりの車線はなぜスイスイ進むのか? 交通の科学

ちょっとあざとい新書のようなタイトル (原題は "Traffic: Why We Drive the Way We Do (and What It Says About Us)") の交通工学の本。 ドライバーの心理に根ざした内容が多く、同じ "トラヒック" でありながらも、自分の専門とする通信トラヒック工学とは全く異なるアプローチが必要となるのが興味深い。
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平林純, 論理的にプレゼンする技術 聴き手の記憶に残る話し方の極意

前著の理系のためのプレゼンのアイディアが比較的良かったのでこちらも読んでみた。本当に基礎中の基礎からの本だが、意外と出来ていないことが多いのに気付かされる良書。にしかわたくのイラストも面白い。
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Scott Berkun(著), 村上雅章(訳), イノベーションの神話

人々がイノベーションというものに対して漠然と抱いているイメージがある。曰く、"イノベーションはひらめきによってもたらされる" 、"優れたアイデアは見つけづらい" 、 "最も優れたアイデアが生き残る" 、等々 ……。 本書はそれらのイメージがいかに誤っているかを蕩々と語ってくれる。翻訳も悪くなく、すっきりと読める一冊。
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Bruce Frey(著), 鴨澤眞夫(監修), 西沢直木(訳), Statistics Hacks 統計の基本と世界を測るテクニック

統計学の入門書なのだが、Hacksシリーズらしく、いわゆる教科書的な本よりは読みやすい。また、効果量等の基準値の具体的な数値が (少々乱暴ながら) 挙げられており,何となく感覚が掴みやすくなっているのもうれしい。 後半は統計とはやや関係の薄いHackも含まれており、水増し感があるのが残念。
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西田圭介, Googleを支える技術 巨大システムの内側の世界

著者はGoogleの中の人ではないので、論文などの公開情報からGoogleの中身を推測するスタイル。 Googleの柱である大規模分散ストレージの解説に多くのページが割かれており、Google File SystemのみならずBigtableやChubbyまで含めた全体像を知ることが出来る。もちろん、その上でのMapReduceを用いた分散データ処理の解説もあり。 また後半のGoogleの運用コストについての章が実に面白い。Googleがコストの観点から安価なPCを用いたクラ...
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椎橋章夫, 自動改札のひみつ

一冊まるごと自動改札についての本。あまり類書がないので嬉しい。 著者はJR東日本の中の人のため、どちらかと言えば鉄道屋からの視点。なので、IT屋からみると少し不満な点も。情報のフォーマットなどの一番面白そうなところが "詳細については、セキュリティ上説明を省略する" として簡単にスルーされているのが残念。仕方ないが。 諸外国の自動改札との比較が実に面白い。日本の特殊事情であるラッシュ時の膨大なトラヒック (45~60人/分を想定して設計しているとのこと) をさばくために、様々...
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安岡孝一, 安岡素子, キーボード配列QWERTYの謎

恥ずかしながら、私も本書を読むまでは「タイプライターのアームが絡むのを防ぐために、打ちにくいQWERTY配列が作られた」という俗説を信じていた。 本書は、タイプライターやテレタイプの歴史を丹念に追いかけることで、その俗説が誤りであることを示してくれる。また、その誤りを正すだけにとどまらず、件の俗説がどのように生まれ、一人歩きしてきたかについても徹底した調査を行っているのが興味深い。 圧巻なのはその参考文献の量。500件近くの文献を調べ上げた労力には素直に脱帽させられる。キーボ...
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R.H.R.アンホルト(著), 鈴木炎(訳), I.S.リー(訳), 理系のための口頭発表術

近頃は何かと口頭発表をする機会が増えているので読んでみる。 単純なパワーポイントの作り方にとどまらず、服装から壇上での技術まで一通りのことが押さえられている。 タイトルには "理系のための" とあるが、あまり理系依存とは感じられない。各所に出てくる例題が生物学のものであるくらいか。これが素人にはややわかりにくいのが難か。
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石畑恭平, コンピュータ麻雀のアルゴリズム AIインターフェイスと思考ルーチンを作る

半分くらいは、"まうじゃん for Java" 用の麻雀AIを作成するのに必要なインタフェースのマニュアル。将棋やチェスの世界と異なり、麻雀ではAI同士を対戦させるという仕組みが整備されていなかったが、これで状況が改善されると楽しくなりそう。 残り半分がお目当ての思考ルーチンの解説。サンプルプログラムという位置付けなのでそれほど凝ったものではなく、比較的シンプルな評価関数ベースのアルゴリズムのみ紹介されている。とはいえ、書籍の形で読めるものは少ないのでありがたい。
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エドゥアール・ロネ(著), 高野優(監訳), 柴田淑子(訳), 変な学術研究 1

いわゆる "イグ・ノーベル賞" 的なネタを集めた本。 本人達は至ってまじめな研究をしていてもなぜかバカバカしく見えてしまう、そんな絶妙のところを押さえている。