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山本弘, 神は沈黙せず (上)(下)

神という大きなテーマあり、超常現象あり、ハードSFとしての科学あり、そしてもちろんエンターテイメントありで、間違いなくおすすめできる作品。 膨大な量の超常現象を盛り込んだ構成は、さすがと学会会長といったところ。それらの超常現象も、現実のものと架空のものが境目なく取り込まれており、一気に作品世界に引き込まれる。 なお本作は2010年代を舞台としているため、いくつか前置きなしの新語が登場する。それらの解説は、山本弘のSF秘密基地内の解説ページで行われているので、併せて読むのがおす...
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竹本健治, フォア・フォーズの素数

ミステリあり、ホラーあり、SFありのノンジャンルな短編集。 「ボクの死んだ宇宙」や「熱病のような消失」などの放り投げられたような作品はよく理解できなかったが、表題作の「フォア・フォーズの素数」はおすすめできる。
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エイドリアン・スライウォツキー, 中川治子(訳), ザ・プロフィット

企業が利益を生み出す23のモデルをストーリー仕立てに解説したもの。大企業の戦略企画部門で働くスティーブが、週末に講師のチャオからレッスンを受けるという筋立て。このスティーブに合わせて、毎週少しずつ読み進める方が良いかもしれない。この週末の講義はかなりハードな内容で、毎週のように宿題や必読書 (これは巻末にまとめられている) が出されるので、それを併せて読んだ方が理解が深まるのではと思う。
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梨士群, お笑ひプライベートバンク

日本の小金持ちの生態をコミカルに描いたフィクション。プライベートバンクを検討している人には全く役に立たない、軽く読み流すための本。 詳細不明な著者の文章は少々クセがあるが、なかなか面白い。マネー本を読むのを趣味にしていて、元ネタがわかる人にはまさに "お笑ひ" かと思う。
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梶山季之, せどり男爵数奇譚

古書蒐集にとりつかれた男、せどり男爵の物語。 自分も古書のために神田や早稲田界隈を探し歩いた経験がある身故、古書に魅入られた人間の心理は良くわかる。せどり男爵が和本に目を向けるきっかけとなった人物である加盞堂老人が、夢にまで見た本を見つけた時の心理を「何度みても、間違いないと知った時、わしは失禁しそうになった」と語っているが、古書マニアの昂奮を見事にあらわしている。 他にも、洋書の初版本に目がない婦人、ビブリオクレプト (盗書狂) にまつわるミステリー、本の装丁に魅入られた男...
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星新一, 天国からの道 & ふしぎな夢

今まで、単行本から漏れていた作品を集めたを再編して文庫化したもの。当然、文庫初収録の作品ばかり。 初期の作品や子供向けの作品などが中心のため最盛期のショートショートを期待してはいけないが、それでも星新一作品がまた読めるのは信者にとってはうれしい。
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小林信彦, 素晴らしい日本野球

既に絶版になっている短編集をamazon.co.jpのマーケットプレイスで購入。 表題作の「素晴らしい日本野球」と「素晴らしい日本文化」は実に下らなくも素晴らしい作品。しかし、他の作品は世代の違いもあり背景を共有できておらず、今ひとつ共感もできず。
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虫明亜呂無(著), 玉木正之(編), 肉体への憎しみ

すでに絶版になっている本ですが、ふるほん文庫やさんで入手しました。 "海の中道" という、マラソンをテーマにした短編が良いです。マラソンという小説にしにくい題材を扱いながら、登場人物の人間ドラマなどに逃げず、マラソンというスポーツそのものを描ききっています。
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橘玲, マネーロンダリング

橘玲氏が小説デビューということことで購入。その金融知識を生かしたストーリー構成はもちろん、人物の魅力もすばらしく、小説としてもかなり上質。ところで、この橘玲氏って、何者なんでしょう?略歴をみると、"1959年生まれ。早稲田大学卒業。会社役員。" とありますが・・・。