money

book

内藤忍, 貯金が1000万円になったら資産運用を考えなさい

前半部分はまともな資産運用方法の解説。新味はないが、多くの人に安心して薦められる内容。 後半は最近の著者の趣味を反映してか、海外不動産やワインへの投資に必要以上に重きを置いている印象。趣味的な投資にここまで大きな資産を割くべきという主張は理解に苦しむ。
book

向井蘭, 社長は労働法をこう使え!

労働者側ではなく使用者側の視点での労働法解説。立ち位置としては労務管理における労働法上のグレーゾーンとその対応に近いか。 参考文献が示されておらず情報源が不明な部分が多いため、どこまで鵜呑みにして良いかはよく分からない。また、一部の例外的な問題労働者を一般化している様に見える箇所も散見される。 これらの欠点を除けば案外穏当な内容。使用者寄りと言いながらも、 解雇権と比べて人事異動等の権利が強すぎる点や、過去の判例を重視せざるを得ない裁判システムの問題も指摘している。
book

金田善裕, ネット副業の達人 20人の成功例から学ぶ確実に稼ぐコツ!

タイトル通り、ネットを利用した副業の成功例を集めたもの。失敗例はなし。 20人のインタビューと成功体験をそのまま掲載しているだけで、共通項を見出そうといった試みなどは特にない。校正が甘く、誤字が目立つのがやや難。
comic

鈴木みそ, ナナのリテラシー (1)

リテラシーというよりはコンサルタント的なお話。おそらく、"銭" の後継作品という位置付け。 1巻目のテーマは出版。構造的に衰退産業となっている出版業、特にマンガの世界のリアルなお金事情を描いてしまうあたりはさすが鈴木みそ。どこまでがノンフィクションでどこからがフィクションなのかを掴ませないところも見事。
book

畸人研究学会, しみったれ家族 平成新貧乏の正体

"しみったれ家族" とは、いわゆるニュープアを拡張したような概念で、"所得に不相応な見栄を張る層" と "夜間に家族でディスカウントショップに来店する層" を合わせたもの。 あまり学術的なフィールドワークをしているようには見えないので、あくまでも読み物としてどうぞ。
book

こうざいきよ, 財布の中身 inside of your secret life

様々な人の財布の中身を見せてもらおうという企画本。見開きの写真に一言コメントが付くスタイル。 作者の交友関係からか対象はかなり偏っており、若い学生が中心で年配の方は少なめ。 この種の本は数十年後に資料価値が出てくる気がする。
book

東海林智, 貧困の現場

貧困に陥っている人々を追いかけたドキュメンタリー。 労働者側の視点に偏ってはいるものの、現場を知るための書籍としては優秀。
book

有吉弘行, お前なんかもう死んでいる プロ一発屋に学ぶ50の法則

お金絡みの話を中心に、生き残るための知恵をまとめた本。 芸能人本なので語られる貧乏生活などは色々と割り引いて読む必要があると思うが、その中で効率的に生き残るための冷めた考え方はなかなか興味深い。
book

沖有人, マンションは10年で買い替えなさい 人口減少時代の新・住宅すごろく

はじめにに "(賃貸よりも) 持家のほうが圧倒的に有利である" と勇ましいことが書いてあるが、その根拠は心許ない。中盤に数ページ程度の大雑把な説明と詳細不明なグラフがあるのみで、そこから無理に読み取ると、 賃貸の場合でも頭金を一切運用しない持家の場合はレバレッジをかけるキャッシュフローが悪化するリスクは考慮しない資産の流動性も考慮しない購入したマンションに大きなトラブルは起きない賃料が長期に渡って低下しない将来も住宅購入を優遇する税制が変化しない という前提で比較すれば退職す...
book

高橋洋一, バランスシートで考えれば、世界のしくみが分かる

負債だけではなく資産の部分も併せて見ることで、日本政府や特殊法人の実態を精査しようという試み。 "バランスシート" と書かれているものの、会計で言うところの正規のバランスシートを扱ったものではないので注意が必要。所々に入っている恨み節が気になるが、読み物としては及第点。最終章の国際政治の話題は本書のスコープから逸脱している様に感じる。