philosophy

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本多静六, 私の財産告白

戦前の林学博士にして倹約と投資で一財産を築き上げた本多静六の告白。時代は変われど、財産を築き上げるための基本はそう変わるものではない。本多は、通常収入の四分の一を天引きで貯金する本多式「四分の一」貯金で貯めた資金を投資するというまさに王道を行った。さらに本書の特筆すべき点は、財産の処分方法という難題とも格闘しているところ。85歳を迎えた本多が辿り着いた結論は、「児孫のために美田を買わず」。また、若い頃は「若いうちに勤倹貯蓄、慈善報謝、陰徳を積み、老後はその蓄積と陽報で楽隠居す...
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加藤則芳, ロングトレイルという冒険 「歩く旅」こそぼくの人生

日本の登山で主流のピークハントではなく、長距離縦走を主目的とするロングトレイルの提唱。トレイルランニングやウルトラライトハイキングとはまた異なり、速度や軽装を主目的とせず、自然との触れ合いを重視するスタイル。本書の柱となっているのが米国のアパラチアン・トレイル縦走の半年間を綴った手記。単なる体験記に止まらず、その背景文化まで掘り下げているのが素晴らしい。所々親米が過ぎる様に感じるが、この体験が大きく影響しているのだろう。
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ブライアン・カプラン(著), 奥井克美(監訳), 長峯純一(監訳), 選挙の経済学

選挙そのものを経済学で読み解こうというよりは、投票者の持っているバイアスの話題が主。原題の "The Myth of the Rational Voter" の方が内容を的確に表している。政治に関する知識の有無がバイアスを生むという主張は実に説得力がある。米国の経済意識調査 (SAEE)を中心としたエビデンスも十分。後半の合理的無知や原理主義者間の対立に関する議論はやや観念的であり、科学的な調査結果を求める向きにはやや退屈かもしれない。
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梅原大吾, 勝ち続ける意志力

格闘ゲーマーなら知らない人がいない "ウメハラ" の勝負哲学。ゲームの話はそこそこに、自身の生い立ちやゲームへ取り組む姿勢が語られる。何らかの道、特に世間的には認知されていない道を極めたいと考えている人間には勇気付けられることが多い。
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鈴木孝夫, 人にはどれだけの物が必要か ミニマム生活のすすめ

一種の環境本なのだけれど、あまり押し付けがましさがない。安易なRecycleに走るのではなく、その前のReuseやRepairを身近なところから徹底する姿勢には頭が下がる。
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トーマス・クーン(著), 中山茂(訳), 科学革命の構造

実はまだ読んでいなかった古典。パラダイムとはもはや便利に使われる語となってしまっているが、元々は精緻に組み上げられた概念であるのがよく分かる。翻訳が今ひとつこなれていないのが残念。
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松濤明, 新編・風雪のビヴァーク

昭和初期の伝説的登山家、松濤明の各種の著述から遺書までをまとめたもの。紀行文は登歩渓流会の会報に寄稿されたものが中心のため、山をやっている人以外にはあまり楽しめないかもしれないが、戦前戦後の登山事情を知る上では貴重な資料といえる。一方で、スポーツアルピニズム批判などの思想は現代でも通用する内容と感じる。
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マイケル・サンデル(著), 鬼澤忍(訳), これからの「正義」の話をしよう いまを生き延びるための哲学

少し前のベストセラー本。著者があまりポジションを取っておらず判断を読者任せにしているので読み物としては今ひとつだが、各種の考え方をある程度網羅的に整理する助けにはなる。
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業田良家, ゴーダ哲学堂 空気人形

あまり読んでこなかった業田良家の作品を短篇集から読み始めた。読後感が悪い作品も多いが、作品に込められた強いメッセージには心を揺さぶられるところがある。
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施川ユウキ, 鬱ごはん (1)

内向的な食マンガ。食に愛が感じられず、読後感も決して良くないが、もう一話もう一話と最後まで読んでしまう。