philosophy

book

西原理恵子, 生きる悪知恵 正しくないけど役に立つ60のヒント

西原先生の人生相談。いつも通りのぶっちゃけた内容。 役に立つかはよく分からないが、エッセイとしては間違いなく面白い。
book

梅棹忠夫, 文明の生態史観

いまや古典とも言えるヨーロッパからアジアにかけての文明に関する論考。 西洋と東洋という従来の分類に代わる、第一地域と第二地域という新たな枠組みは今読んでも新鮮。特に、日本がならった古代帝国の中華との関係と西ヨーロッパ諸国とローマ帝国との関係の類似性の指摘は唸らされる。 本書で示されているのはあくまでも大きな骨格のみであり、これだけで世界全てをつかめる様なものでもない。例えば、アメリカ大陸やアフリカ大陸については触れられておらず、これらは他の論者の文献で補う必要があるだろう。
book

土屋智哉, ウルトラライトハイキング

10ポンド (約4.5kg) 以下の荷物を目安としたウルトラライトハイキングのすすめ。単に軽くすること自体が目的ではなく、自然との距離を縮めるという思想は好ましい。 具体的な技術としてみると、比較的基礎的な内容が多い様に感じる。山経験が豊富な人が得られるものは少ないかもしれない。また、海外の文献を参照したと思しき内容が多く、どこまで日本の山に適した内容かは疑問が残る。
book

ピエール・バイヤール(著), 大浦康介(訳), 読んでいない本について堂々と語る方法

本来は読んでいなければならないはずの本を読んでいないということを半ば自虐的ながらも肯定的に捉え、その上でその本について語るにはどうするべきかということを論じた本。 そもそもある本を読んだとはどういうことなのかという根源的な問題まで改めて考えさせられる良書。おすすめ。
book

みうらじゅん, さよなら私

みうらじゅんらしいユルい人生論。共感できる部分が多く憧れもするが、おそらく自分はここまで達観できないだろうとも思う。
book

ジュリアン・バジーニ(著), 向井和美(訳), 100の思考実験 あなたはどこまで考えられるか

哲学の議論で用いられているものを中心に、思考実験を集めた本。 帯には "これは「読む」本ではありません。「考える」本です。" とあるが、本数が多いのと各項の解説が淡白なため、やや読み飛ばし気味になってしまう。読み物としてみれば十分に面白い。
book

ナシーム・ニコラス・タレブ(著), 望月衛(訳), ブラック・スワンの箴言

やで名を上げたナシーム・ニコラス・タレブによる格言をまとめたもの。 どことなく英国風な皮肉に満ちた物言いが心地よい。
book

マックス・ギュンター(著), 林康史(監訳), 石川由美子(訳), マネーの公理 スイスの銀行家に学ぶ儲けのルール

面倒な言葉遊びをせずに "投機" と言い切って推奨してしまうところが潔いマネー本。 かなり精神論寄りではあるが、投機に最も必要な自己統制を学ぶには良い本。一見すると現代ポートフォリオ理論と真っ向から対立する様な記述も多いが、この著書の立ち位置からすると理論の及ばない範囲の事柄に対する心構えということになるだろう。
book

デヴィッド・L. ユーリン(著), 井上里(訳), それでも、読書をやめない理由

電子書籍普及への端境期である現代の読書論。様々なテクノロジーの割り込みにより読書に集中することが困難な時代に、抵抗の行為としての読書を論じる。 読書の重要性や美しさを論じながらも、単なるテクノロジー批判や懐古には陥っていない。テクノロジーとの距離を考えつつ、自分の読書体験を考え直すきっかけが多く含まれている。
comic

郷田マモラ, モリのアサガオ 新人刑務官と或る死刑囚の物語 (5) (6) (7)

7巻の完結編までまとめ読み。 刑務官である主人公の視点で死刑制度の意味を考えるという構成は良いのだが、最後は感情的な結論に至ってしまっていたり、本来は死刑制度とは切り離して考えるべき冤罪問題をないまぜにしてしまったりしているのがやや残念。