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縄文ZINE(編), 望月昭秀(著), 小久保拓也(著), 山田康弘 (著), 佐々木由香(著), 山科哲(著), 白鳥兄弟(著), 松井実 (著), 金子昭彦 (著), 吉田泰幸 (著), 菅豊 (著), 土偶を読むを読む

ベストセラーとなったの検証本。たびたび売れてしまうトンデモ本の検証は誰かがやらねばならないにもかかわらず学術的には評価されない仕事であり、こうした努力に頭が下がる。本書ではこうした作業を "雪かき" と表現しており、実に的確な例えだと思う。こうした検証本としての役割を抜きにして、現在の縄文研究を学ぶうえでも良書。土偶がどこまでわかっていて、何がわかっていないのか、その概観を掴むことができる。
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シェリー・シーサラー(著), 菊池誠(監修), 今西康子(訳), 「悪意の情報」を見破る方法

真っ当な情報リテラシ本。世にあふれる科学のふりをしたでたらめを類型化して解説してくれる。端々から著者 (と解説の菊池誠先生) の義憤が感じられる良書。
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ニック・エンフィールド(著), 夏目大(訳), 会話の科学 あなたはなぜ「え?」と言ってしまうのか

主流の言語学は書き言葉を研究対象としているが、本書で扱う相互作用言語学は話し言葉による "会話" に注目している。会話には書き言葉とは異なるルールがある。例えば、質問には応答しなくてはいけない、応答をしない場合は質問者は相手を非難する権利を得る、これから話す内容を予告した話者を遮ることは許されない、予告された側は続きを促す信号 (相槌) を送らなくてはいけない、一度に話すのは一人、などのルールは様々な言語の会話に共通して見られる。また、これらのルールに時間が深く関わっていると...
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ヘンリー・ジェイ・プリスビロー(著), 小田嶋由美子(訳), 勝間田敬弘(監修), 意識と感覚のない世界 実のところ、麻酔科医は何をしているのか

熟練した麻酔科医によるエッセイ。現代の麻酔科医の日常を通じて、彼らの倫理観や麻酔の歴史が学べる良書。
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フィリップ・ヒューストン(著), マイケル・フロイド(著), スーザン・カルニセロ(著), ドン・テナント(著), 中里京子(訳), 交渉に使えるCIA流 嘘を見抜くテクニック

刺激 (潜在的な嘘つき行為を引き出す質問) が与えられてから5秒以内の欺瞞行動を観察することで嘘が見抜けるという主張。こう言うのは簡単だが、実践するには的確な質問を投げかけた上で視覚情報と聴覚情報を同時に処理する (本書ではLookとListenを同時に行うこの行動をLの二乗モードと呼んでいる) 必要があり、訓練なしにできるものではない。仕草で嘘が見抜けるという巷でよく言われる噂は幻想であり、嘘をついていることを表す微表情なども存在しないと断言するのが小気味良い。
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吉本佳生, 金融工学の悪魔 騙されないためのデリバティブとポートフォリオの理論・入門

かなり噛み砕いたデリバティブの入門書。デリバティブを構成する先物取引、スワップ取引、オプション取引が一通り理解できる。細かな数式は用いず、大まかな確率分布 (例えば円相場予想の説明では5円刻み) のみで説明するので、数学が苦手な向きでも大筋は理解できるだろう。確率分布をきちんとした対数正規分布に置き換えたところで大勢に影響はない。FX普及前の書籍のためそのあたりには言及していないが、外貨預金や住宅ローンといった身近な活用例も触れられている。
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齋藤繁, 院長が教える 一生登れる体をつくる食事術

登山に特化した部分は少なめで、一般的な栄養学がほとんど。後半のレシピ集は水増し感がある。
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白井恭弘, 外国語学習の科学 第二言語習得論とは何か

第二言語習得 (Second Language Acquisition) 研究の啓蒙書。第一言語 (母語) 習得はほとんどの人が成功するのに対し、第二言語習得の結果は人によって様々なのはなぜなのか、という疑問に対する研究を複数の観点から紹介してくれる。第二言語習得の成否が単純な知能・知性 (いわゆるIQ) で決まるかというとそう単純なものではなく、知能・知性とは独立した外国語習得特有の適正というものが存在するようだ。また、言語能力というものも、日常言語能力と認知学習言語能力に...
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クリフォード・A・ピックオーバー(著), 川村秀憲(監訳), 佐藤聡(訳), 人工知能 グラフィックヒストリー

広義の人工知能の歴史を俯瞰できる本。原著が2019年の発行のため、LLMは触れられていないが、ディープラーニング (1965年) は取り上げられている。見開き1トピックの構成で、グラフィックヒストリーの名の通り歴史的な画像やイラストが添えられている。画像も含めて出典が一覧になっているのも嬉しい。
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広尾晃, データ・ボール アナリストは野球をどう変えたのか

二部構成となっており、前半はプロ野球 (NPB) におけるデータ野球の最新情報を、後半は日米の野球記録の歴史をそれぞれ扱っている。現代ではセイバーメトリクスやデータ野球を扱う本は多々あるが米国の最新情報を扱ったものが多く、本書のようにNPBにおける導入状況を扱った本は珍しい。各チームのアナリストの採用状況から、トラックマンを始めとする測定機器の導入状況、果ては日本野球学会の動向まで、まさに作者の地道な取材が結実したもの。数字のスポーツとして楽しめる野球の土台を形作る野球記録の...