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パトリック・ファーガン(著), 上原裕美子(訳), #HOOKED 消費者心理学者が解き明かす「つい、買ってしまった。」の裏にあるマーケティングの技術

マーケティング本だが、最近の脳科学の成果を取り入れているのがミソ。感情的で不合理で限られた認知能力しか持たない人間の脳を前提にすると、今までのマーケティングのあり方が大きく変わってくる。すなわち、プリミティブで感情に訴えかけるメッセージをサプライズと共に与え、自分ごとと思わせる必要がある。 この本の表紙も感情をわしづかみにする子猫の画像と意外性のある色使いでデザインされているのが見事。
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川崎悟司, カメの甲羅はあばら骨 人体で表す動物図鑑

著者は古世界の住人で有名な川崎悟司。人間の体の各部を様々な生き物に当てはめてイラスト化したもの。写実的でキモかわいいイラストがいい味を出している。
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宇田川勝司, 日本で1日に起きていることを調べてみた

いわゆる統計雑学本。どれも単純な算術平均を出しただけなので統計の勉強となるかは微妙だが、「へー」と思わせるような意外な数値も多い。
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橘玲, 事実 vs 本能 目を背けたいファクトにも理由がある

週刊プレイボーイの連載 "そ、そうだったのか!? 真実のニッポン" を再構成したもの。もとがコラムだけにやや雑多な内容だが、表題ともなっている "事実 vs 本能" というテーマは通底している。
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さーたり, 中山哲夫, 感染症とワクチンについて専門家の父に聞いてみた

医者兼マンガ家の手によるコミックエッセイでウイルスの基本が学べる。もちろん、新型コロナウイルスも取り上げられている。専門家自身が執筆しているだけあって内容は正確なのだが、抗生剤や抗原などいくつかの専門用語が説明なく登場するのは残念。索引も欲しいところ。 予防医学が報われないという話は身につまされる。IT系の運用も同じだが、似たような話は随所にあるだろう。
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隠岐さや香, 文系と理系はなぜ分かれたのか

文系と理系というよく話題に挙がる割にその正体がよくわからない区分を、科学史の観点から追いかけた良書。 文系と理系という分け方は自明なものではなく、中世に大学が生まれた時点の上級 (専門) 学部は神学、医学、法学のみで、いわゆる理系分野は下級 (学芸) 学部の自由学芸七科に押し込められていた。近代的な自然科学が形成されるのは17世紀以降で、経済学や社会科学の原型が作られるにはさらに時間を要している。文系と理系という分類が欧米諸国に登場するのは、20世紀初頭のリッケルトを待たなけ...
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クリス・ベイリー(著), 服部京子 (訳), 世界一の生産性バカが1年間、命がけで試してわかった25のこと

大学卒業後に1年間をかけてA Year of Productivity (AYOP) を実践した記録。成果は同名のWebサイト (現在はA Life of Productivityに改名) にもまとめられている。 世の中でよく言われている生産性を向上させる方法を片っ端から試している。先延ばししたくなる要素の排除、(時間ではなく) 活力と集中力のコントロール、タスクの断捨離、ホットスポットリスト、シングルタスクの徹底、飲食・運動・睡眠の最適化。いずれも多くの自己啓発本が触れてい...
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川田浩志(著), 福池和仁(監修), 世界一効率がいい最高の運動

ここでいう効率とは、短時間のトレーニングで有酸素運動 (脂肪燃焼) と無酸素運動 (筋トレ) の成果を同時に得られるということ。 その鍵はHigh Intensity Interval Training (HIIT) と呼ばれるトレーニング法で、その名前の通り高強度の運動 (最大心拍数が 208 - 0.7 × 年齢 程度となる運動) を短い間隔で繰り返すというシンプルなもの。シンプルすぎてあまり書くことがないためか、紙幅のほとんどがHIITを絶賛する情報で占められている。
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神永正博, 食える数学

博士号取得後に民間の研究所へ務めた経歴から、現場での数学の役に立たなさをユーモアたっぷりに語るエッセイ集。もちろん本当に数学が役に立たないというわけではなく、証明をメインとする "数学科数学" が工学ではそこまで必要とされていないという話なのだけれど。
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橘玲, 朝日ぎらい よりよい世界のためのリベラル進化論

朝日新聞のリベラリズム (戦後民主主義) が嫌われ、日本のリベラルが退潮しているように見えるのは、それらがグローバルスタンダードのリベラリズムと乖離しているためと説く。グローバルスタンダードのリベラル (ネオリベ) に最も近いのは現在の自民党政権の経済政策だが、安全保障の分野では保守の立場を取っていることから右と左の関係が混乱し、リベラルの理解が妨げられているのだろう。