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橘玲, 言ってはいけない 残酷すぎる真実

亜玖夢博士のマインドサイエンス入門や不愉快なことには理由があるの延長線上にある本で、脳科学や遺伝学の動向をいつも通りの語り口で伝えてくれる。読み物としてはやはり面白いのだが、まだ専門家の間でも議論があるような内容をかなり断定的に書いている点には注意が必要。
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ジョン・マクミラン(著), 瀧澤弘和(訳), 木村友二(訳), 市場を創る バザールからネット取引まで

市場の設計に関する経済学の観点からの論考。啓蒙書のためか、数式はほぼなし。著者の専門であるゲーム理論やオークション理論に重みがある印象。世界の様々な市場を題材に扱っており、机上の空論となっていないのが良い。
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カイザー・ファング(著), 矢羽野薫(訳), ヤバい統計学

いわゆる統計リテラシ本。統計学が社会問題をどのように扱っているかが垣間見える。あくまで啓蒙書なので、数学的な解説は控えめ。統計学が問題を解決した綺麗なストーリーだけではなく、人間の心理が絡んでくるがために安易に最適解を取れないといった事例も取り上げておりなかなか興味深い。
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川上和人, 鳥類学者 無謀にも恐竜を語る

恐竜ファンならば、鳥類が実質的に恐竜 (竜盤類) に含まれることもご存知だろう。その類縁を活かし、現生の鳥類からの類推により恐竜の整体を推測しようという試みが本書。もちろん厳密な科学論文ではなくかなり大胆な仮説も多数含まれるが (これは著者自身も本書中で度々述べている) 、これが抜群に面白い。恐竜はどんな色だったのか、恐竜は鳴いたのか、恐竜は毒を持っていたのか、恐竜は何をどのように食べていたのか、恐竜は渡りをしたのか、恐竜はどこに巣を作っていたのか。どれも一見無謀な推論に見え...
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蛇蔵, 決してマネしないでください。 (1) (2) (3)

"大人の学習マンガ" というキャッチフレーズの作品。理系研究室を舞台にしたラブコメという建て付けだが、ストーリーはあってないようなもの。満載されている理系あるあると科学偉人伝の小ネタがとにかく楽しい。今時のマンガにありがちな引き伸ばしもなく、3巻ですっぱりと完結するところも潔い。おすすめ。
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NATROM, 「ニセ医学」に騙されないために 危険な反医療論や治療法、健康法から身を守る!

医学系のリテラシ本。著者はblogでも有名な医師 (詳細なプロフィールは非公開なので自称医師と言った方が正しいか) 。明らかに詐欺とわかる代替医療の批判が中心。ボーダーラインのものは扱わず。類書の代替医療のトリックあたりと比べると内容は軽めだが、日本特有の事情を押さえているのは評価できる。
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土屋敦, 男のパスタ道

新書一冊を費やして究極のペペロンチーノを作ろうという試み。まさにパスタ道。著者は料理研究家の肩書もあるライターではあるものの、料理人でも科学者でもない。にもかかわらず、自身の可能な範囲でとはいえ科学的なエビデンスを積み重ねていく姿勢には頭が下がる。
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ASIOS, 謎解き古代文明DX

謎解き 古代文明を再編集してコンビニ仕様のペーパーバックに仕立て直したもの。描き下ろしは少なめなので、すでに原本を読んでいる人は無理に買う必要はないだろう。読んでない人ならば十分に楽しめる。
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松本博文, ドキュメント コンピュータ将棋 天才たちが紡ぐドラマ

タイトル通り、人間ドラマに絞ったドキュメンタリ。コンピュータ将棋を扱った書籍には珍しく、棋譜もアルゴリズムの解説もほとんど出てこない割りきった構成だが、それだけに棋士や開発者をはじめとする関係者の考えや思いがよく伝わってくる良書。ただし、電王戦がまずあってそこから逆算する構成のため、初期のコンピュータ将棋選手権などはほとんど触れられていない点には注意が必要。
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キャサリン・メイヤー(著), 近藤純夫(訳・エッセイ), 山でウンコをする方法 自然と上手につきあうために

フザケたタイトルだが、中身はいたって大マジメ。環境保護の観点から、野外活動中の排泄がどうあるべきかを仔細かつ実践的に語る。登山家である著者の体験はもちろん、なかなか表立っては語られないこの種のエピソードが豊富に含まれているのも楽しい。