science

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中田信哉, ロジスティクス入門

単なる物流を越えた、マネジメントとしてのロジスティクスの入門書。事例を並べただけの本とは異なり、理論的な背景もしっかりと説明されているのが好印象。米国で "ロジスティクス" という言葉が生まれるまでの歴史や、物流管理とロジスティクスの違いなど、基礎から理解させてくれる。
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近藤武史, 榎木英介, わたしの病気は何ですか? 病理診断科への招待

あまり聞きなれない "病理診断" の実態を語った本。著者はどちらも現役の病理医。豊富な図版と実例で、実際の病理診断の流れがよく分かる。
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満員電車がなくなる日 鉄道イノベーションが日本を救う

満員電車の歴史と、満員電車をなくすための方策の提言。提案されている運行方法のイノベーションは素人目にはリスクが高まりそうに見える箇所がある。例えば、コストダウンのために無線LANをこの種の基幹で利用するなど、通信屋としては非常に怖い。一方で、戦略的プライシング等の運賃のイノベーションは非常に興味深い。社会的批判さえ乗り越えられれば十分に実現性があるものと思われる。
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石井彰, エネルギー論争の盲点 天然ガスと分散化が日本を救う

出版時期からすると3.11直後に慌てて出版されたようにも見えるが、内容は意外と本格派。電力のみではなくもう少し広い視点でエネルギー全体の最適化を考えている点が特徴的。著者の経歴からしてやや天然ガスに肩入れし過ぎているきらいはあるが、概ね説得力のある内容。
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櫻井武, 食欲の科学

ブルーバックスらしい硬派な "食欲" の解説本。脳生理学の歴史の中でどのような実験を通じてレプチンや各種の神経ペプチドの発見に至ったかがストーリー仕立てになっており、実にわかりやすい。なお、本書はあくまでも科学本なので、直接ダイエットの役に立つような知識はほとんどない。
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あさりよしとお, アステロイド・マイナーズ (2)

アステロイド・マイナーズの3年半ぶりの続刊。今回も科学の小ネタを詰め込んだ作品ばかりで読みながらニヤリとしてしまう。どの作品も良いが、一番を決めるなら "独裁者の幻想" だろうか。著者が躊躇なく趣味に走っているのを見ていると嬉しくなる。
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西内啓, 統計学が最強の学問である

ビッグデータ時代に乗った統計学賛美本。前半の統計学を俯瞰した部分は読み物として上出来。このあたりは専門外の人にも楽しめる内容。後半は少々専門的な話になるので素養がある人向けか。一度統計学を学んだ人が、統計学の全体像を整理し直すには良い内容。
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岩堀修明, 図解・感覚器の進化 原始動物からヒトへ水中から陸上へ

久しぶりのブルーバックスは感覚器に着目した進化論。生物が海中から陸上へと移動する際に感覚器がどのように適応していったか、また地上から海中へと戻っていったクジラがどのように再適応を果たしたのかを豊富な図版で解説してくれる。こうして歴史を見てみると、行き当たりばったりを繰り返す進化にも関わらず、見事な適応を果たしているのには神秘を感じずにはいられない。
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小谷太郎, サイエンスジョーク 笑えたあなたは理系脳

"サイエンス" ジョークという表題が付いているが、実態は "物理学" ジョーク集。肝心のジョークが質・量共に不足しているのが残念ではあるが、解説は意外とまとも。
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岡田友輔, 蛭川皓平, 森嶋俊行, 高多薪吾, KY, 久保田市郎, 道作, 李啓充, 三宅博人, Student, SABERMETRICS MAGAZINE 1

オフシーズンの間の読むつもりが今頃になってしまった。2013年シーズンを控え、2012年シーズンをセイバーメトリクスで振り返る内容。旧統一球に依存した分析となってしまっているのはご愛嬌。研究の視点ではあまり新しい分析手法などは含まれていないが、ついにセイバーメトリクスを主題に据えた定期刊行物が生まれたというのは感慨深い。