book 大川慎太郎, 不屈の棋士 ブームのコンピュータ将棋本だが、コンピュータ将棋そのものではなく棋士へのインタビューを主題に据えた企画が秀逸。もちろん、コンピュータ将棋の事前知識なしでも楽しめる。羽生、渡辺、森内、佐藤らのトップ棋士がコンピュータ将棋をどう捉えているのか、先駆者たちはコンピュータ将棋をどう活用しているのか、コンピュータ将棋がトップ棋士を越えようとしている現在だからこそ様々な思いが交錯している様子が浮かび上がってくる。おすすめ。 2017-10-31 book
book サンキュータツオ, ヘンな論文 いわゆる珍論文を眺めて楽しもうという本。取り上げられている論文は13本。性質上、科学系よりも社会学系のものが多いか。各論文のアカデミックな背景などをもう少し掘り下げるような敬意があっても良かったのではないかと思う。 2017-10-14 book
book サイモン・シン(著), 青木薫(訳), 数学者たちの楽園: 「ザ・シンプソンズ」を作った天才たち サイモン・シンの著作はすべて読んでいるが、まさかここでザ・シンプソンズを取り上げてくるとは思いもしなかった。それでも読み進めてみると、決して変化球ではなく、サイモン・シンが本気で取り組むだけのテーマであることがよく分かる。ザ・シンプソンズに散りばめられた分かる人にだけ分かればよい数学ネタを解説するというある意味無粋な試みではあるのだが、その解説自体をエンターテイメントとして成立させている筆力はさすが。おすすめ。 2017-07-10 book
book データスタジアム株式会社(データ提供・監修), 高校球児に伝えたい! プロだけが知っているデータで試合に勝つ法 データスタジアムお得意のデータ分析本。プロ野球のデータをそのまま高校野球に適用できるかというそもそもの疑問はあるが、そこさえ目をつむってプロ野球のセイバー本とみれば良書と言える。インフォグラフィックス風の図版も良い。 2017-06-19 book
book ダニエル・カーネマン(著), 村井章子(訳), ファスト&スロー (上) (下) 示唆に富む内容が多く、付箋を付けながら読んでいたら付箋だらけになってしまった。上下巻の大著だが、豊富な例題に頷きながら気持ちよく読める。表題のFast and Slow (速い思考と遅い思考) が主題だが、著者をこの世界を代表する研究者に押し上げたプロスペクト理論の解説ももちろん含まれている。最近の脳ブームに興味のある人はもちろん、そうでなくとも骨太の科学本を読みたい向きには間違いなくおすすめできる。 2017-04-14 book
comic 能田達規, マネーフットボール (6) (7) 前回に続き、完結まで一気読み。物語が大詰めということもあり数値分析の話題はやや控え目になったが、新たに代理人システムやチーム編成の話題を入れ込んできたところはさすが。 2017-03-01 comic
book モートン・ルー(著), 小柴一(訳), ザ・ウェーブ 実話を下敷きにした小説。ファシズム的な環境を作る実験授業をテーマにしており、あれよあれよという間に教師すら制御不可能なところへ暴走してしまう様には空恐ろしさを感じる。内容は文句ないが、翻訳は直訳調で今ひとつ。 2017-01-31 book
book 羽根田治, 飯田肇, 金田正樹, 山本正嘉, トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか 2009年のトムラウシ山遭難事故の検証本。ただ行程を追ったドキュメントにとどまらず、気象、低体温症、運動生理学の各方面の専門家がそれぞれの視点から多角的に検証しているのが素晴らしい。 2017-01-17 book
book スティーブ・フォックス(著), ポール・アーメンターノ(著), メーソン・トヴェルト(著), 三木直子(訳), マリファナはなぜ非合法なのか? 著者陣は、Marijuana Policy Project (MPP), the National Organization for the Reform of Marijuana Laws (NORML), Safer Alternative For Enjoyable Recreation (SAFER) の各団体の幹部クラスが揃い踏み。いずれもマリファナ合法化を目指している団体だが、きちんとしたエビデンスを重視した上で、平和的に合法化を狙っているのが特徴。ではそのマリフ... 2017-01-04 book
book ジュディス・リッチ ハリス(著), 石田理恵(訳), 子育ての大誤解 子どもの性格を決定するものは何か 巷の子育て本には出所不明な情報も多く、どうにも腹落ちがしないので、少し硬めの本書に手を出してみた。既に絶版になっており中古も結構な値段なので、地元図書館で拝借。"育児のしかたが子どもの性格と将来を決定する" といういわゆる子育て神話や、"出生順位が性格に影響を与える" という出生順神話を徹底的に疑ってエビデンスを求めていくと、実は神話の根拠が極めて心もとないものであることが分かる。子育て神話が生まれた大きな要因は、育児のしかたと遺伝の混同。愛情豊かな親は愛情豊かな育児を行うと... 2016-11-14 book