book ジョン・マクミラン(著), 瀧澤弘和(訳), 木村友二(訳), 市場を創る バザールからネット取引まで 市場の設計に関する経済学の観点からの論考。啓蒙書のためか、数式はほぼなし。著者の専門であるゲーム理論やオークション理論に重みがある印象。世界の様々な市場を題材に扱っており、机上の空論となっていないのが良い。 2016-05-31 book
book 仁藤夢乃, 難民高校生 絶望社会を生き抜く「私たち」のリアル 高校を中退した元ギャルによる手記。時期的には、女子高生の裏社会の少し前の出版。前半の高校生時代の回想は、記憶に頼っていることもあり細かな信憑性に疑問はあるが、体験者の実感がこもっており興味深い。後半の被災地での活動のくだりは本題から外れていることもありやや蛇足か。 2016-05-02 book
book カイザー・ファング(著), 矢羽野薫(訳), ヤバい統計学 いわゆる統計リテラシ本。統計学が社会問題をどのように扱っているかが垣間見える。あくまで啓蒙書なので、数学的な解説は控えめ。統計学が問題を解決した綺麗なストーリーだけではなく、人間の心理が絡んでくるがために安易に最適解を取れないといった事例も取り上げておりなかなか興味深い。 2016-04-26 book
book 井川楊枝, 封印されたアダルトビデオ 宗教的な理由、関係者の逮捕、ビデ倫の審査、事務所間のイザコザ、女優の急死など、様々な理由でお蔵入りとなったアダルトビデオのエピソード集。興味本位で読み始めたが、単純なゴシップばかりではなく、表現者として限界に挑戦する姿も見えたりと侮れない。単純に読後感が最悪なエピソードも混じっているので耐性のない人は注意が必要。 2016-04-02 book
book 石原豊一, ベースボール労働移民 メジャーリーグから「野球不毛の地」まで MLBを頂点としたベースボール・レジームの実態。日本ではあまり報道されない、日米以外のベースボール事情は実に興味深い。ドミニカ、メキシコ、イスラエル、ジンバブエ、コロンビアなど各国のリーグが実質的にMLB配下に組み込まれている実態がよく分かる。各リーグでプレイするスポーツ労働移民の生活を掘り下げ、類型化しているのも面白い。上昇志向の強いプロスペクト以外に、生活の糧を得るためにプレーを続ける野球労働者や、バケーションや自分探しを目的としてプレーする層など、目的のまったく異なる様... 2016-03-13 book
book 一橋文哉, モンスター 尼崎連続殺人事件の真実 家族喰いに続いて尼崎事件の本をもう一冊。角田美代子の生い立ちや彼女に詐欺や脅迫の手法を教授した人物に切り込んでいるのが特徴的。 2016-02-29 book
book 福地誠, 教育格差絶望社会 最近は麻雀業界での活動が中心の著者だが、過去にはこんな本も出していた。教育とお金の話のぶっちゃけ系。その世代の子供でもいないとなかなか情報が入ってこない分野ではあるが、自身の子供の頃とは異なる世界となっていることが実感できる。感情論ではなく、データをきちんと押さえているのも好感が持てる。おすすめ。 2016-02-14 book
book 垣谷美雨, ニュータウンは黄昏れて ニュータウンの悲哀を見事に取り込んだ社会派小説。小説としてみるとご都合主義が過ぎる感はあるが、一気に読ませる力はある。肝心のニュータウンの内情がきっちり描かれているのが何より素晴らしい。 2016-02-10 book
book ウンベルト・エーコ(著), ジャン=クロード・カリエール(著), 工藤妙子(訳), もうすぐ絶滅するという紙の書物について 二人のビッグネームによる対談。進行はジャン=フィリップ・ド・トナック。インキュナビュラを含む古書や稀覯書の蒐集家でもある二人だけあって、書物の話はいつまでも止まらない。その博識ぶりに圧倒されながらも、書物への愛をたっぷりと感じられた。おすすめ。 2016-02-09 book
book さやわか, AKB商法とは何だったのか 握手券をはじめとするAKB商法を題材にアイドル史を辿る。AKB48を構成する様々な要素の初出を追っていく過程は実に興味深い。AKB48大きな時代のうねりの中で生まれるべくして生まれたアイドルであると思えてくる。 2016-02-02 book