sociology

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田岡大介, 「空き巣」なう プロの空き巣が「この道半世紀」を語る

元空き巣の手記。あまり反省している様子はなく、各種のエピソードを面白おかしくといった風情。防犯に役立つネタがあるかと思い読み始めたが、こちらは期待はずれ。読み物として見るとそれほど悪くないので、あくまでも随筆としてどうぞ。
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M・スコット・ペック(著), 森英明(訳), 平気でうそをつく人たち 虚偽と邪悪の心理学

精神科医が邪悪な心を持った患者の臨床事例をまとめたもの。科学的な解説はほとんどないため、専門外の人間にはどこまでがこの分野で常識的な内容かが判断できない。また、後半は臨床事例から一転して集団心理が引き起こす邪悪の話題に飛ぶが、ここは心理学や精神療法からは飛躍しており著者の主観が入り過ぎているように感じる。
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pha, ニートの歩き方 お金がなくても楽しく暮らすためのインターネット活用法

ここまで行動力がある人物がニートを自称するのは少々マーケテイングが行き過ぎている様に思う。ニートというよりは高等遊民といったところか。読み物としては抜群に面白い。思想面と実用面の両方が充実しており、こんな生き方も良いかと思わせてくれる。もちろん、著者並の異常な行動力が必要なのだけれど。
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ジョエル・ベスト(著), 林大(訳), 統計はこうしてウソをつく だまされないための統計学入門

統計リテラシー本だが、統計学よりも社会学寄りの内容。統計学の細かな処理よりも、様々な統計が生まれる背景やそれが誤解される過程に重きを置いている。実例も豊富で読みやすい。特に統計が引用される過程でその意味の変化や不適切な比較が生まれるくだりは既視感がある。
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ジェイムズ・J・ボイル(著), 大島直子(訳), 戦慄のカルト集団 11の狂気教団が引き起こした衝撃の殺戮劇

米国のカルトの事例集。日本では馴染みのないカルトが多く、また多数の事例が淡々と並べられているだけで個々の人物を深く描いているわけでもないので、読み物としては少々退屈。それでも、これだけの件数をまとめて読むとカルトの成り立ちや行動原理に類似したものが見つけられるのも事実。
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赤田祐一, ばるぼら, 消されたマンガ

様々な理由で封印された作品の年代別カタログ。末尾には関係者のインタビューや年表も。封印された理由は様々で、特に深い考察や強い主張はなし。あくまでもカタログとして見るべき本。
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山本譲司, 累犯障害者

知的障害者やろうあ者など、その環境故に累犯者となっている事例を追ったルポタージュ作品。おそらく一部の関係者以外は存在も知らなかった問題をえぐり出した点は見事。
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筒井哲也, 予告犯 (2) (3)

前巻に引き続き、一気に読んでしまった。まだまだ引っ張れそうな作品を潔く締める構成が見事。最近のダラダラと続くマンガには見習って欲しい。
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マルク・レビンソン(著), 村井章子(訳), コンテナ物語 世界を変えたのは「箱」の発明だった

現在では海運を中心に広く利用されグローバル・サプライチェーンを支えている貨物コンテナが世界を席巻するまでの流れを、実質的な発明者であるマルコム・マクリーンを中心に描いたもの。発明から普及までの正の部分だけでなく、コンテナ普及の抵抗勢力である労働組合や当局との闘いなどの負の部分が丹念に取り上げられているのも興味深い。企業の経営者が書評で絶賛するのがよく分かる。おすすめ。
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吾妻ひでお, 失踪日記2 アル中病棟

失踪日記の続編。ギャグマンガ仕立てとなっているので気楽に読んでしまうが、立ち止まって考えると非常に重い内容であることに気付く。ドキュメンタリとしてもマンガとしても見事な出来。おすすめ。