sociology

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川島博之, 「作りすぎ」が日本の農業をダメにする

「食糧危機」をあおってはいけない、「食料自給率」の罠に続く農業政策本。世界的に食料が余っているという現実と今後も過剰生産が続くという見通しの下、これからの日本の農業の形を探っていく。日本の農業の構造的な問題にも触れており、政治的な視点もある良書。おすすめ。
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梅棹忠夫, 文明の生態史観

いまや古典とも言えるヨーロッパからアジアにかけての文明に関する論考。西洋と東洋という従来の分類に代わる、第一地域と第二地域という新たな枠組みは今読んでも新鮮。特に、日本がならった古代帝国の中華との関係と西ヨーロッパ諸国とローマ帝国との関係の類似性の指摘は唸らされる。本書で示されているのはあくまでも大きな骨格のみであり、これだけで世界全てをつかめる様なものでもない。例えば、アメリカ大陸やアフリカ大陸については触れられておらず、これらは他の論者の文献で補う必要があるだろう。
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田村亮, 28歳で政治家になる方法 学歴・職歴・資格一切不要! 25歳以上なら誰でもなれる!

市議会議員を就職先の一つとして捉えた指南本。着眼点は面白いが、経験則中心で客観的なデータがほとんどないのが残念。著者は選挙用品ドットコムの代表でもあるので、そのバイアスがかかっている点には注意。ネットだけの選挙活動を酷評しているのもそのあたりに理由があるのかもしれない。
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向井蘭, 社長は労働法をこう使え!

労働者側ではなく使用者側の視点での労働法解説。立ち位置としては労務管理における労働法上のグレーゾーンとその対応に近いか。参考文献が示されておらず情報源が不明な部分が多いため、どこまで鵜呑みにして良いかはよく分からない。また、一部の例外的な問題労働者を一般化している様に見える箇所も散見される。これらの欠点を除けば案外穏当な内容。使用者寄りと言いながらも、 解雇権と比べて人事異動等の権利が強すぎる点や、過去の判例を重視せざるを得ない裁判システムの問題も指摘している。
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ゲーリー・S・ベッカー(著), リチャード・A・ポズナー(著), 鞍谷雅敏(訳), 遠藤幸彦(訳), ベッカー教授、ポズナー判事のブログで学ぶ経済学

The Becker-Posner Blogのより抜きを翻訳したもの。後半にはベッカー教授のBusinessWeek誌の連載も収録。Blogは双方がやや遠慮しているせいもあるのか、激しい討論というよりはやや落ち着いた議論となっている。率直な深い議論が行われているのはむしろ後半のベッカー教授の単著の部分。こちらは視点も論理展開もなるほどとうならせるものが多い。
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小松正之(著), 日本水産学会(監修), よくわかるクジラ論争 捕鯨の未来をひらく

捕鯨問題の入門書。国際捕鯨委員会 (IWC; International Whale commission) の一線で活躍している著者だけあり、科学的な調査法から各国の捕鯨の歴史まで、およそひと通りの基礎が網羅されている。一つ難を挙げると、日本側の見解に偏り過ぎている感はある。他国の主張について主観で断定している箇所が見られるため、この部分は他の文献で補う必要があるだろう。
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荒川美幸, 国際結婚残酷物語 中国のど田舎に嫁いだ私

"中国のど田舎に嫁いだ私" というサブタイトルからは中国の奥地に移住した様な印象を受けるが、実際には中国人夫のパスポート発行までの僅かな期間を過ごしたのみ。それでも、中国との文化摩擦の読み物としては面白いし、本人の本音がそこここに滲み出ている文章も悪くない。
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唐木英明, 久米均, 寺田雅昭, 小沢理恵子, 村上紀子, 小林宏行 , 石川廣, 小澤義博, 浜川清, 星元紀, 安部明廣, 安本教傅, 田中平三, 黒川清, 食の安全と安心を守る

食品に関する有識者からの寄書をまとめた本。極めて真っ当な内容ながら、一人あたりのページ数が非常に限られている上に重複した内容が多く、読み物としては今ひとつ。
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福田秀夫, 農薬に対する誤解と偏見

農林省で農薬の研究に従事していた著者による農薬論。化学工業日報社の "今月の農業" の連載に加筆修正したもの。表題からも分かる通り、農薬反対派への恨み節の部分が多い。そこまで感情的にならずに科学的な事実のみをきちんと書く形でもよかったのではないかと思う。
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中川基, ニセモノ食品の正体

インジェクションビーフや代用魚など、偽装食品とまでは言わないまでもホンモノとは言い難い様な食品を集めたカタログ本。解説は中立的で、この種の本にありがちな "添加物=悪" といった短絡的な思考や無意味な自然信仰などはほとんど見られない。ニセモノ食品の長所である破棄の削減やコスト低減と短所である栄養バランス等の問題の双方がきちんと押さえられており、好感が持てる。