book ヨリス・ライエンダイク(著), 田口俊樹(訳), 高山真由美(訳), こうして世界は誤解する ジャーナリズムの現場で私が考えたこと 中東のアラブ世界で特派員を務めたオランダ人記者の手記。現場でニュースが作られるまでの過程やその中での一記者の無力感、ジャーナリズムの限界などがよく伝わってくる良書。唯一残念なのは翻訳が今ひとつなところ。文章がこなれておらず、素直に入ってこない。 2013-12-01 book
book 田口理穂, 中島さおり, 靴家さちこ, 伊藤雅雄, 伊万里穂子, 内田泉, 有馬めぐむ, 「お手本の国」のウソ 日本でよくお手本として語られる国々の実態を語る企画本。「フィンランドは世界一の教育大国」、「フランスは少子化問題を乗り越えた」など、全7ヶ国。いずれの国もデータによる裏付けは添え物程度で、中心になるのは当該国在住の著者による生の声。あくまでもその国に住む外国人の視点とはいえ、肌感覚が感じられるのは興味深い。 2013-11-27 book
book 青木昌彦(編著), 安藤晴彦(編著), モジュール化 新しい産業アーキテクチャの本質 "モジュール化" という単語は聞いたことがあるというレベルで読み始め、その理解の浅さに気付かされた。モジュール化とは、字面から想像される単に機能ブロックごとに切り分けるだけのものではなく、摺り合わせのコストを下げるとともに競争圧力を高めるものであることがよく分かる。机上の論理だけではなく、自動車産業や半導体露光装置産業、ゲーム産業など様々な産業の実例も豊富に含まれており、この一冊だけでモジュール化の分野を概観できる。おすすめ。 2013-11-24 book
book 松永暢史, この国をダメにした「学校教育」 政治家・官僚・企業トップ……ウソつきばかりを生んだ教育 第1章は現在の日本の教育ができるまでの歴史。著者のGHQ嫌いと文科省嫌いと日教組嫌いが前に出過ぎているために客観性が感じられず、読むに耐えない。さすがに教育産業に携わっているだけあり、第2章の学校教育の現状は興味深い記述がいくつかある。ただし、あくまでも主観的な記述であり、客観的な裏付けがない点は注意が必要。 2013-11-21 book
book 中村淳彦, デフレ化するセックス AV女優を始めとしたセックス産業のドキュメンタリー。従来の著作と異なるのは、デフレ下で貧困状態に陥っているケースが多い実態にフォーカスしていること。当事者へのインタビューを元に可処分所得などを推計していくスタイル。インタビューはあまり裏を取らずに発言をそのまま信用しているように見えるので話半分で。 2013-11-10 book
book 小林伸一郎, 廃墟遊戯 Handy Edition 廃墟をテーマとした写真集。廃工場や廃坑が中心で、"工場萌え" にも通じる美がある。は1998年の刊行で、廃墟本としては比較的初期の部類。収録写真も1980年台後半から1990年台中盤頃のものが多い。 2013-10-28 book
book 中田信哉, ロジスティクス入門 単なる物流を越えた、マネジメントとしてのロジスティクスの入門書。事例を並べただけの本とは異なり、理論的な背景もしっかりと説明されているのが好印象。米国で "ロジスティクス" という言葉が生まれるまでの歴史や、物流管理とロジスティクスの違いなど、基礎から理解させてくれる。 2013-10-16 book
book 別冊宝島編集部(編), パクリ・盗作 スキャンダル事件史 良くも悪くも宝島らしい本。パクリをテーマにまとめられてはいるものの、様々な意見を持ったライターの寄稿の寄せ集めで質も玉石混交。ただし、出版当時までの主要な事件はひと通りカバーされているので、類書の少ないこの分野の概要を知るには悪くない。 2013-10-12 book
book リクナビNEXT Tech総研(編集), 我らクレイジー☆エンジニア主義 リクナビNEXTの同名の連載からよりぬきして単行本化したもの。直接役に立つようなtipsがあるわけでも、自己啓発本のように明確な指針を与えてくれるわけでもないが、読み物として抜群に面白い。その上、エンジニアや研究者など技術に携わる人ならば間違いなく元気になれる。 2013-09-27 book
book 満員電車がなくなる日 鉄道イノベーションが日本を救う 満員電車の歴史と、満員電車をなくすための方策の提言。提案されている運行方法のイノベーションは素人目にはリスクが高まりそうに見える箇所がある。例えば、コストダウンのために無線LANをこの種の基幹で利用するなど、通信屋としては非常に怖い。一方で、戦略的プライシング等の運賃のイノベーションは非常に興味深い。社会的批判さえ乗り越えられれば十分に実現性があるものと思われる。 2013-09-25 book