sociology

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ハロルド・ウィンター(著), 山形浩生(訳), 人でなしの経済理論 トレードオフの経済学

経済学の常識である、物事はなんでも費用と便益のトレードオフがあるんだよ、という内容を様々な事例を挙げて繰り返し説明した本。もちろん、その過程で "人でなし" な判断が入りうる事例が中心。数式はほとんどなしでそのエッセンスだけを抜き出しているので、経済学の初心者にも。
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一橋文哉, ドナービジネス

臓器売買をテーマにしたドキュメンタリー。テーマがテーマなのせいもあり取材ソースがほとんど明かされず、また週刊誌のように煽る書き方をしているので、どこまで信じて良いものか判断できない。信憑性はともかくとにかく刺激的なものが読みたいという人向けか。
comic

業田良家, 独裁君

表紙を見れば一目瞭然、あの方をモデルにしたギャグ四コマ。風刺もきいていてなかなか面白いのだけれど、中に数本、ギャグなしで独裁国家を描いた作品が挿入されているのが強烈。ギャグマンガのつもりで読んでいたら不意をつかれてエラい目にあった。
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キース・デブリン(著), ゲーリー・ローデン(著), 山形浩生(訳), 守岡桜(訳), 数学で犯罪を解決する

米国のドラマ、NUMB3RSのネタを中心に、犯罪捜査に用いられている数学を解説する。今までも、科学捜査に関する本などは出ていたが、数学に着目した本は珍しい。単純な統計処理に止まらず、変化点検出、画像エンハンス、ベイズ推論、社会ネットワーク構造、ゲーム理論など、様々な数学世界を見せてくれるので全く飽きない。もちろん、NUMB3RSを観ていない人間にも十分に楽しめる様に工夫もされている。お勧め。
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大塚英志, 「彼女たち」の連合赤軍 サブカルチャーと戦後民主主義

連合赤軍の女性たち、特に永田洋子を戦後のサブカルチャーの文脈から読み解こうという試み。あくまでサブカルチャー側からの視点なので、どうしてもこじつけや記述の薄さを感じてしまう部分が多い。また、後半は連合赤軍よりも、オウム真理教、少女まんが、宮崎勤などの雑多な論考 (の既発表文書の収録) なので、連合赤軍よりもサブカルチャー一般に興味のある人向けか。
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石塚昭生, 石塚さん、書店営業にきました。

一部で人気だったメルマガ "ちょっくら書店営業" に加筆修正してまとめたもの (といいながら、実際はほとんど別物になってしまっているが) 。本編は書店に限らない営業一般の話がやや多目。それよりも本当に面白いのは、各章の間に挿入される "書店業界あれこれ" の方。こちらの方は書店業界への問題意識に溢れており、関係者以外の本屋好きにもぜひとも読んでもらいたい内容。
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月刊「ベルダ」編集部, コンビニ 不都合な真実

昨日に続き、コンビニ業界告発本。こちらの方が少し前に出た本だが、内容が厚い。コンビニ会計や仕入のピンハネ問題に加えて、裁判の流れや一部オーナーの反乱の様子もよく取材されているので、よりコンビニ業界が掴みやすい。
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古川琢也, 金曜日取材班, セブン‐イレブンの正体

取次大手のトーハンに取次を拒否されたという告発本 (現在は普通に購入できる) 。今はネット上でも広く知られるようになったコンビニ会計の問題に始まり、仕入のピンハネ、業者への圧力などの実体が語られる。加盟店オーナーへのインタビューを中心にそれぞれの事例が良く描かれており一気に読ませるものの、もう一歩踏み込んだ考察が欲しかった惜しい本。
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パオロ・マッツァリーノ, 日本列島プチ改造論

大和書房のサイトでの連載をまとめたもの (というよりも書籍化を前提に連載していたもの) 。短めのコラムが100本なのでそれなりに当たり外れがあるが、移動中の時間潰しなどに良いかと。
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平塚俊樹, Lawより証拠

証拠調査士 (エビデンサー) を自称する著者による、過去の案件とその解決手順の紹介。全ての案件で一貫して語られるのは、被害者自身が動かなければ何も解決しないということ。裁判などの法律的な手続きはあくまでも集められた証拠に基づいた処理を行うだけで、その証拠を集めるには被害者自身が労力をかけて動き回るしかないのだ。