チャールズ・エリス, 敗者のゲーム(新版) なぜ資産運用に勝てないのか

“敗者のゲーム” という言葉が、この本の内容を的確に表している。本書では “敗者のゲーム” を説明するのにテニスを例に挙げている。つまり、プロのテニスはミスを犯さずどちらかが強力なショットを打ち込むことで勝ちをつかみ取る “勝者のゲーム” であるのに対し、アマチュアのテニスは自らのミスによる失点が多い方が敗北する “敗者のゲーム” である。

資産運用 (マネーゲーム) は最近の数十年で “勝者のゲーム” から “敗者のゲーム” へと変貌を遂げている。これは、多くのプロフェッショナルが参入し、総取引額の75%が上位100社の機関投資家によって占められるまでになったことに起因する。それらの優秀な人々を相手に勝ち続けることは非常に困難であろう。すなわち、他者を出し抜くためのアクティブな運用でコンスタントに勝ち続けることは困難であり、相手のミスを長期に渡って待ち続ける運用こそがもっとも効果的である。

また本書は運用の基本方針を明確に定めることの重要性をも説いている。巷のマネー本の多くは投資対象や投資のタイミングに重きを置いているが、本当に重要なのは、どこまでマーケット・リスクを引き受けられるか、市場が変化したときそのリスク水準を維持すべきか、ここの株式ないし株式グループのリスクを引き受けるべきか、といった基本方針をきちんと定め、守り通すことであろう。

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