Zipcarを契約してみた

Zipcar

日本では普通に車を持たない生活をしていた。金銭的にはどう計算しても車の所有コストの元が取れないし、車の運転をするくらいなら電車に乗って本のひとつでも読みたいし、やむを得ず車で移動する場合も事故リスクはタクシー会社にでも押しつけたい。

しかし、米国はさすがに公共交通機関だけで生活するのは不便と感じるときがある。日々の通勤通学だけならば自転車で用が足りるし、休日ののトレイルも10マイルかそこらならば自転車でアクセスできるが、それを超える距離の移動はさすがに車が必要になるので、渋々ながら車を手配することにする。

まず、自分の要求仕様は優先度順に以下の通り。

  • 月に数回程度の利用で一番安くなるのが重要
    • 買う場合も日本に持って帰る気はないので、1年後に売り飛ばした際の差額が重要
    • 保険料や各種経費も勘案して最も安い方法で。ただし、保険だけはケチらない方向で
  • 免許を取ってから一度もMT車を運転したことがないし、運転したくもないので、AT車が望ましい
  • 車のメーカーや車種にこだわりは一切無い。ただし、荷物としてロードレーサーが (ばらして) 積めるのは必須
    • 何となく日本車が良い気がしているが、根拠なし
    • 色や形にもこだわりなし
  • 新車へのこだわりはない。ただし、タバコ臭い車だけはパス
  • 面倒そうなメンテナンスはできるだけしたくない
  • カーナビは欲しいが、iPhoneでがんばれる気がする

米国での車の利用方法は大きく分けて購入、リース、タクシー、レンタカー、カーシェアリングの5種類がある。

まず、購入は論外。いくらアメリカは車社会とはいえ、試算してみると総額で最低でも$600/月程度は見込まないといけない。さすがに移動手段にそれだけのコストをかける気にはなれない。また、米国には軽自動車の様な優遇措置もないし、自分でメンテナンスをせずに他人に依頼するともっとコストがかかる。売り買いも面倒。

リースはもう少しマシそうだが、最低24ヶ月程度の契約が必要なので、1年の滞在期間で利用するのは厳しい。

タクシーは都市部ではかなり現実的な選択肢だが、こちらの登山事情を考えると、山へのアクセスはどうしても難しい。タクシーでの登山口へのアクセスは、行きは良いとしても帰りを考えると厳しい。

こうなると、選択肢は実質的にレンタカーとカーシェアリングしかない。どちらも利用するための敷居が低いので、とりあえず両方を併用してみることにする。

レンタカーは既に何度か使ったが、コスト、利便性共にほどほど。1日単位での利用ならば、後述のカーシェアリングよりも少しだけ得になるかもしれない。逆に言うと、数時間だけの利用で足りるのならば割高。

  • 入会金などは不要
  • 車種にもよるが、economy と書いてあるもので $40/day程度 (これに税金や諸経費が加わって実際は$45/day程度になる) で借りられる
  • ただし、レンタル費よりも保険料が高い。ヘタをすると、レンタル費と同額くらいになる
    • 追加損害賠償保険 (SLP/SLI; Supplemental Liability Protection/Supplemental Liability Insurance) が $10~15/日 程度で、大体$1,000,000まで保証されることが多い。さすがに人身事故を起こした場合のリスクを考えるとこれは削れない
    • レンタカーを破損した場合の修理費が免責される車両損害保険 (Damage Waiver) が $10~30/日 程度。これは車種によって大きく異なる。伝え聞いた話だと、この車両損害保険は利益率が良く、レンタカー会社の重要な収入源になっているらしい。それを聞いて契約するのもシャクだし、車両の損害は対人と違って上限が知れているが、車の運転ごときでリスクをとりたくないので仕方ない
    • 他に、搭乗者傷害保険 (PAI/PEC; Personal Accident Insurance/Personal Effects Coverage) というのもあり、$5~10/日程度。ただし、既に旅行保険などに加入している場合は、不要なことも多いので要確認

また、カーシェアリングとしては、近所で展開している Zipcarを契約してみた。こちらは事前契約が必要だが、それさえ済ませておけば毎回の手続きは不要で使い勝手が良い。

  • 基本的にはWebもしくはiPhoneの専用アプリから車と時間を選んで予約するだけで手続きが完了する
    • レンタカーと違って窓口を通さないため、24時間いつでも利用できるのが嬉しい。早朝から登山に出発する場合など、前日の昼から借りておく必要がないのが地味に嬉しい
  • メンテナンスはZipcarまかせで利用者は気にする必要が無いのも嬉しい
  • 最も利用頻度の低い人向けのOccasional Driving Planなら、入会費$25と年会費$60で加入できる
    • 私の場合は大学の割引が利いたので、入会費免除で年会費も$35となった
    • 研究室内の友人の紹介という形にしたので$25のクーポンももらえた。紹介者側にも$25のクーポンが発行される
  • 利用の都度に料金を払う。$7/時間からとなっているが、自宅近くにある車は平日$8/時間、休日$9/時間でほぼ統一されている。なお、1日単位で借りると平日$66/日、休日$72/日
    • この料金には、保険料やガソリン代も含まれているのが特徴
    • この価格帯ならば、タクシーや他の公共交通機関 (CaltrainやBART) と比べて競争力がある
      • 時間単価でみるとタクシーの方が割高なのだが、車に乗るときは行き先に何か用事があるわけで、用事の間も料金を払わなければいけないZipcarと用事の間は料金が発生しないタクシーでは単純比較できない
      • ただし、1日単位で借りる場合は普通のレンタカーの方がやや有利なので、短時間専用か
  • レンタカーと違って乗り捨てが出来ないこともあり、日帰りでの利用や出先でのタクシー代わりでの利用に限定される
    • 180マイル/日の距離制限もあり、それを超えると追加料金が必要となるので、都市間の移動も少し厳しい。そういった場合はレンタカーの方が良いだろう
  • カーシェアリングシステムなので、レンタカーと同じレベルのサービスを求めてはいけない。車内に前の利用者の買い物レシートが落ちていたりするのはご愛敬
  • 車内禁煙なのは嬉しい。今のところタバコ臭い車にあたったことはない
  • 返却時間に送れると$50の罰金を取られるので利用は余裕を持って。携帯から延長申請もできるのだが、後に予約が入っている場合はそうはいかない
  • 個人的に最大の欠点と思うのは、対人保険がやや不足しているところ。保険込みというのをウリにしている割には、21歳以上の場合でも最大$300,000しか保証されないので、人身事故を考えると心許ない。不安な場合は他の保険に自分で加入することになる
    • 21歳未満の場合はさらに悲惨で、自賠責相当しか保証されない。カリフォルニア州の場合で$15,000 (人身事故1人あたり) 、$30,000 (人身事故1回の最大) 、$5,000 (対物事故)
  • 車両損害保険 (Damage Waiver) が用意されている。$75のannual waiver feeを払うと、運転中の自分の車両の破損が免責される。
  • コストメリットの他に、エコロジー的な意味でも一部に人気があるらしい。そのうち、ハリウッドスターがZipcarのプリウスに乗ってアカデミー賞授賞式に来たりするのだろう

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