橘玲, 働き方2.0vs4.0 不条理な会社人生から自由になれる

日本人の働き方が、日本型雇用 (働き方1.0) からグローバルスタンダード (働き方2.0) を経て、ギグエコノミー (働き方4.0) に至るという主張。そもそも1.0から2.0への移行に苦労している組織も多いが、ようやく追いつく頃には世界の最先端は4.0に向かっているだろう。

ギグエコノミーとは要するにフリーエージェントやインディペンデント・ワーカーのことで、組織に所属しない働き方を指す。企業側は年金、保険、福利厚生といったコストを削減でき、労働者側は自由度や柔軟性が増すというメリットがある。もちろん、シェアリングエコノミーで露呈したように体のいい低賃金労働者を増やすだけという批判も根強いが、このギグエコノミー化の流れは止めようがないだろう。

このギグエコノミーを実現したのは、やはりテクノロジーがスマートコントラクトを実現しつつある点が大きい。ロナルド・コースによると、そもそも今まで多くの取引が市場ではなく会社組織内で行われていたのは、市場の取引費用 (検索コスト、交渉コスト、契約コスト、監視コスト) が高く、内製化がそれを押し下げる効果があるからである。市場の取引費用が十分に下がれば、会社組織で内製する理由が薄れるのは必然である。

とはいえ、会社組織が完全になくなるかというとそこまで単純な話でもない。これを説明するのが、サンフォード・グロスマンとオリバー・ハートによる不完備契約理論と残余コントロール権である。起こりうる偶発事象がすべて網羅されている完備契約が実現できるのであれば、そもそも所有権に価値はない。所有権は、契約になく、契約によって制限されない残余コントロール権に過ぎない。現実には完備契約が不可能である以上、想定外の事態が起きた際の残余コントロール権を行使する存在としての会社組織はなくなることはないだろう。

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