表題にもなっている通り、著者は起業家というよりもクリエイターなのだと思う。 人手が必要なゲーム制作ではなく一人でできるタイプの創作にのめり込んでいたならば、起業などせずに個人事業主として楽しくやっていたのではないだろうか。起業自体にはさほど思い入れがなかった社長の著作という意味で、珍しい本ではある。そうした望まない会社経営の中で、なんとか生き抜くための知恵が詰まっている。
大企業とのやり取りを記したくだりは実に辛辣ながら的確。当事者意識がない代わりに一つの仕事のプロである大企業の専門職 (特に法務部) が中小企業の一番の敵というのはまさにその通り。彼らとの契約では、書いてあることよりも書かれていないことに注意するべきというのも納得。とはいえ、書かれていないことに気づくにはやはりそれだけ契約の場数を踏んで知識を蓄える必要があるわけで、そこで専門職と勝負するのは並大抵のことではない。
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