大石浩二, いぬまるだしっ (1)-(11)
トマトイプーのリコピンから遡って読んでみる。この頃はまだ週刊少年ジャンプに寄せていて、時事ネタよりも下品なギャグの方が多い印象。
有田正規, 学術出版の来た道
学会や大学図書館の中の人にでもならないとなかなか馴染みのない学術出版の世界。一歩足を踏み入れると、学術面からはインパクト・ファクターの登場による被引用数の偏重、研究者のピア・レビュー負担の増加など、商業面からは論文数の急増、高い利益率による儲けすぎ、大学図書館の負担額の増加など、さまざまな問題が噴出しており、それでもさまざまな学術誌がなくなる気配はない。まさに本書の帯にもある “複雑怪奇な世界” という言葉がよく似合う。
本書はそうした学術出版の歴史を紐解くことで、それらの諸問題が生じた背景を論じている。それぞれの問題は独立して発生したわけではなく、歴史の中で起こるべくして起こった事柄であるというのがよく分かる。また、学術出版の歴史を辿ることは、密接に関係する欧米のアカデミアの歴史そのものを辿ることになる。こうした流れを知っておくことは一般の研究者にも有益と思われる。
実は恥ずかしながら本書を読むまで、レフェリー (referee) 制とピア・レビュー (peer review) 制の違いをあまり意識せず、混同して説明していたこともあった。しかしながら現在主流となっているピア・レビュー制は比較的最近の1970年代に導入された仕組みに過ぎず、それまでは学術誌の編集部などが審査と指南を行うレフェリー制が主流であった。考えてみれば複写機がない時代にピア・レビューを行うのは技術的にも予算的にも困難であり、導入できる道理はなかった。こうした歴史を踏まえると、現在のピア・レビュー制が未来永劫続くとは到底確信できず、出版の質を担保する新たな仕組みが生まれてくるのだろうと思われる。
シャロン・モアレム(著), ジョナサン・プリンス(著), 矢野真千子(訳), 迷惑な進化 病気の遺伝子はどこから来たのか
人間を弱らせるような遺伝性の病気の遺伝子が何千年も自然淘汰されずに人類の遺伝子プールに残り続けているのは偶然ではない。その病気には子孫を残すために有利な要素が何かしらあったはずだ。本書はそうした “迷惑な進化” であるヘモクロマトーシス、糖尿病、ALDH2-2 (日本人も多い酒が飲めない遺伝子だ) が生き残った理由を教えてくれる。
読み物としては面白いが、後半ではアクア説に傾倒している様子が見られたりと科学的な正確さよりもエンターテイメントに重きをおいているふしがあるので、自分で裏を取りながら読んだほうが良いだろう。
John Berryman(著), Albert Ziegler(著), 服部佑樹(訳), 佐藤直生(訳), LLMのプロンプトエンジニアリング GitHub Copilotを生んだ開発者が教える生成AIアプリケーション開発
日進月歩のLLMの世界ではあるが、あまり古くならない基礎の部分をしっかりと押さえているので読む価値がある。LLMがあくまでも文章の補完であるという根幹は、当面は変わらないだろう。プロンプトの組み立て方やモデルの制御もこの補完の原則に沿って書かれているので理解し易い。