主流の言語学は書き言葉を研究対象としているが、本書で扱う相互作用言語学は話し言葉による “会話” に注目している。
会話には書き言葉とは異なるルールがある。例えば、質問には応答しなくてはいけない、応答をしない場合は質問者は相手を非難する権利を得る、これから話す内容を予告した話者を遮ることは許されない、予告された側は続きを促す信号 (相槌) を送らなくてはいけない、一度に話すのは一人、などのルールは様々な言語の会話に共通して見られる。
また、これらのルールに時間が深く関わっているという研究成果が興味深い。一度に話すのは一人、というルールから話者交替が生じるが、それに要する時間はわずか200ミリ秒に過ぎない。この数値が、一般にIP電話 (VoIP) で許容される遅延時間の上限と概ね整合しているのは興味深い。

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