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田房永子, キレる私をやめたい 夫をグーで殴る妻をやめるまで

ヒステリーでDVを振るっていた女性が、様々なセラピーやクリニックを経て、ゲシュタルトセラピーに辿り着くまでの物語。標準治療が (少なくとも患者視点では) 患者のニーズに応えられていない以上、こういった代替医療が受け皿となってしまっているのはやむを得ないと感じる。
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根本真吾, アメリカでプロになる! アメリカ・スポーツ界で活躍する方法

アメリカ・スポーツ界の広い裾野でプロとしてプレイする道の紹介。著者の専門とする野球の話が中心だが、他のアメリカンスポーツでも事情は似たようなものと思われる。トライアウト・ショーケースでの売り込みやスポーツ留学など、様々な道がある。英語が苦手な選手向けの米国のスポーツチームのウェブサイトの調べ方からメールの書き方まで網羅されており至れり尽くせり。あとは本人が一歩踏み出すだけとなっている。
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西村賢太, 棺に跨がる

秋恵編も大詰めか。私小説ということも相まって、今後が気になって仕方がない。西村作品の本質は、男なら誰でも抱えている病をこれでもかと見せつけてくる露悪趣味にあると思う。本書でもそれは存分に発揮されていて、嫌でも自分の駄目な部分と向き合わされてしまう。
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平山尚, ゲームプログラマになる前に覚えておきたい技術

プログラミング言語の基本的な文法くらいは覚えたけど、いざゲームを作ろうとするとどうしたものか見当もつかないという層を対象にした参考書。見事なマーケティング。少し前の本で、C++のサンプルコードも少々古くはあるのだが、本質の部分はあまり古くなっていない。文体は好みが分かれそうではあるが、必要十分な説明が簡潔になされており、誠実な技術者であると感じる。細かな小ネタに有用なものが多く、ゲームを作らないプログラマであっても読んで損はない。
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吉田悠軌, 禁足地帯の歩き方

表題の禁足地帯の歩き方は1章のみで、あとはオカルト一般の雑多な内容。ムーの連載を元にしているだけあって、その胡散臭さがたまらない。
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杉山智一, プライベートバンカー 驚異の資産運用砲

海外のプライベートバンクを利用した実例として、著者の名前を冠した "スギヤマスペシャル" が紹介されているが、これはレバレッジをかけて高利回りの生命保険に加入するというもの。当然、レバレッジをかけるためのコストがかかるわけだが、その部分をこちらもレバレッジをかけたハイイールド債で賄う。為替リスク、保険会社の信用リスク、ハイイールド債の価格変動リスク (金利リスク) など考えられる限りの様々なリスクを取り込んだ上でレバレッジをかけるというなかなか挑戦的な仕組みと感じる。
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高橋佑磨, 片山なつ, 伝わるデザインの基本 よい資料を作るためのレイアウトのルール

初心者向けの資料デザイン入門書。AdobeではなくMicrosoft Officeを前提にした解説で、すぐ使える内容が嬉しい。そのまま利用できるレイアウトや囲み枠等の実例も多数。
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吉村萬壱, ボラード病

3.11後に発表されたディストピア小説。(作中ではそう明示されないものの) 震災後の同調圧力の恐ろしさを見事に描ききっている。終盤の視点の転換が実に衝撃的。
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タカ大丸, 貧困脱出マニュアル

問題のある家庭から翻訳者・通訳者としての地位を確立した著者が語る貧困脱出の方法。おすすめの職業として競輪・競艇や相撲を挙げているのは突飛に感じるが、参入障壁が低く収入が高いスポーツというとこのあたりになるのだろう。二世が比較的多い点もそれを裏付けている。
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朝日新聞取材班, 負動産時代 マイナス価格となる家と土地

人口減少・高齢化の中で必然的に発生する家余りにスポットを当てたドキュメンタリ。負動産に関する諸問題がコンパクトに詰め込まれた良書。登記制度の問題から相続人が増え続けて身動きが取れなくなった不動産の実例を皮切りに、バブル期に乱造されたリゾートマンション、需要を大きく超えた建築ラッシュを生んだサブリースアパートなど、様々な不動産問題を扱う。それを面白おかしく取り上げるだけではなく、登記制度、不正確な公図、対策特別措置の限界など、それらの問題を生み出す構図にも踏み込んでいる。さらに...