comic

田中圭一, うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち

イタコ漫画家の田中圭一によるうつ病の告白。あの作風からはうつ病など想像もつかなかったが、誰でもかかりうるものなのだろう。 今回はいつもの下品な作風はなりをひそめ、普通のエッセイマンガになっている。多数のうつ病経験者との対談を通じて収集したうつ病脱出法を活かし、自身のうつ病の客観視とうつヌケ法の整理につなげているのは見事。
comic

九井諒子, ダンジョン飯 (6)

思いの外長期連載になってきた。それでも他のパーティとの絡みも増えてダレさせないのはさすが。しかし、ややシリアス路線に寄ってきており、コミカルな場面が減っているのは気になる。
book

田尻賢誉, 機動破壊 健大高崎 勝つための走塁・盗塁93の秘策

そもそも現代のセイバーメトリクスでは盗塁は高いリスクの割に見返りの少ない行為とされ、走塁全般が軽視されている。そんな走塁にスポットを当てた戦術書。 健大高崎の葛原コーチらへの取材をベースにしていることもあり、技術よりは心理面が中心。教育者としての視点も強く感じる。自分のようにセイバーメトリクスの数字遊びに勤しんでいる人間には少々物足りないが、選手の教育に携わっている方には助けになるものと思う。
book

岩田昭男, キャッシュレスで得する! お金の新常識

キャッシュレス決済を活用してポイント還元などで得しようという情報本。 Web上に散らばっている情報を追うのはなかなかしんどいので、一覧できるのはありがたい。ただしすぐに風化しそうな小ネタが中心なので、雑誌感覚でどうぞ。
game

Human Resource Machine

プログラミングパズルゲームのHuman Resource Machineをプレイ。 avatarにプログラムを与えて課題を解いていくステージクリア型のゲーム。用意されている命令はアセンブラ相当で、今どきのLightweight Languageでは味わえないプリミティブなプログラミング体験が楽しめる。 基本的なアルゴリズムを知っていると、それを当てはめるだけの作業になってしまうステージがあるのは少々残念。またインタフェースも原始的で、少し入り組んだコードを書こうとすると、貧弱...
comic

小林銅蟲, 寿司 虚空編

一言でいうと奇書・珍書の類なのだが、これがベラボウに面白い。 ふぃっしゅ数に代表される巨大数というマニアックなテーマを素人置いてけぼりなハイペースで駆け抜ける。なぜこれをマンガにしようと思ったのか、なぜ寿司なのか、疑問は尽きないが、数学が大好物ならば絶対に読んで損なし。
book

中田力, 日本古代史を科学する

魏志倭人伝だけを拠り所とした邪馬台国本。タイトルにもなっている "科学" とは、初期条件 (ここでは魏志倭人伝) を定めて、線形物理学的に推論を重ねていくという意味らしい。 奴国の名前を堂々と無視する力技に一瞬期待してしまったが、出てくる結論は日向灘とトンデモ本としてはおとなし目。それ以上に、既存の考古学界に威勢よく噛みつき続けているところが見どころ。
comic

いしいさや, よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話

エホバの証人の二世による自伝マンガ。 マンガとしては荒削りだが、それだけに生々しい二世の苦悩が伝わってくる。
book

トラヴィス・ソーチック(著), 桑田健(訳), ビッグデータ・ベースボール 20年連続負け越し球団ピッツバーグ・パイレーツを甦らせた数学の魔法

オークランド・アスレチックスのマネー・ボールの後に台頭してきたピッツバーグ・パイレーツのセイバーメトリクスを紹介するドキュメンタリ。 今ではメジャーリーグの新たな常識となりつつあるPITCHf/xによる捕手のピッチフレーミングの分析、ビッグデータを活かした極端な守備シフト、先発4人制のローテーション、スタットキャストによる守備の数値化、投手の怪我を減らすよりスマートな球数制限などが生み出されるまでが明らかになる。
comic

高田かや, さよなら、カルト村。 思春期から村を出るまで

カルト村で生まれました。の続編。 前作同様に部外者から見るとかなり壮絶な内容。中等部・高等部 (村外の中学生・高校生に相当する年齢) となり、だんだんとヤマギシの特殊性に気づきながらその後の進路を考えていく成長物語は頼もしくもあるのだが、村を出てからの世間知らずな行動は危ういところが多くハラハラしてしまう。