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本多静六, 私の財産告白

戦前の林学博士にして倹約と投資で一財産を築き上げた本多静六の告白。 時代は変われど、財産を築き上げるための基本はそう変わるものではない。本多は、通常収入の四分の一を天引きで貯金する本多式「四分の一」貯金で貯めた資金を投資するというまさに王道を行った。 さらに本書の特筆すべき点は、財産の処分方法という難題とも格闘しているところ。85歳を迎えた本多が辿り着いた結論は、「児孫のために美田を買わず」。また、若い頃は「若いうちに勤倹貯蓄、慈善報謝、陰徳を積み、老後はその蓄積と陽報で楽隠...
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水野敬也, 夢をかなえるゾウ2 文庫版 ガネーシャと貧乏神

夢をかなえるゾウの続編。 前作同様、小説仕立ての成功本。各種成功本のいいとこ取りのスタイルも変わらず。
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エリック・ブリニョルフソン(著), アンドリュー・マカフィー(著), 村井章子(訳), 機械との競争

ボリュームは軽めだが内容は濃い。テクノロジー失業がスキルの低い労働者ではなく中間的なスキルの労働者を直撃するというモラベックのパラドックスが発生するメカニズムから、その解決策の提案までを扱う。 装丁はやや凝り過ぎか。紙質が厚い上にページ表記が独特なため、ページを飛ばしてしまったかと戸惑うことが何度もあった。
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橘玲, 橘玲の中国私論 世界投資見聞録

中国に乱立する "鬼城" の訪問記に始まり、その鬼城を生むこととなった錬金術の話題を経て、中国史から中国人の自我までを語る。 "私論" と付いている通りやや強引な解釈もあるが、一気に読ませる力はある。
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小林泰三, 玩具修理者

ホラー系の表題作よりも、SF風味の "酔歩する男" の方が好み。SFとしては科学的な裏付けにやや難があるものの、センス・オブ・ワンダーとそこから来る恐怖は文句なし。
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鈴木大介, 最貧困女子

家族の無縁、地域の無縁、制度の無縁からなる三つの無縁と、精神障害、発達障害、知的障害からなる三つの障害のうち多くを抱えて貧困に陥っている女性たちを描いたドキュメンタリ。ただひたすら重い。
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「超」整理手帳 スケジュール・シート スタンダード2016

昨年に続き、スケジュール・シートのみの更新。 本体側にあまり魅力がなく、写真を見る限りジラフノート (既に廃版となっているので、を利用している) を挟み込めそうもないので、なかなか更新できない。結局、だいぶ傷んできた2013年度版のカバーを使い続けることに。
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後田亨, 大江英樹, 生命保険の嘘 「安心料」はまやかしだ

いわゆる民間生命保険の不要論。著者は日本生命出身で、乗り合い保険代理店を経て現在は社団法人の代表。 この種の生命保険不要論に興味のある人ならば新しい情報は少ないかもしれない。それでも本としてはよくまとまっているので、一冊目には悪くない。少々強引なところがありながらも行動経済学的な解説で味付けしてあるのが類書との差別化ポイントか。
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原田実, トンデモ日本史の真相

トンデモ説の中でも日本史に注目した一冊。 源義経 = チンギス・ハーン説から竹内文書まで、主要な奇説はほぼカバーされている印象。解説も丁寧なので、この分野の初心者でも楽しめる。
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今和泉隆行, みんなの空想地図

空想で地図を創りあげるという贅沢な遊び。 色川武大の "ひとり博打" に見られるような箱庭愛を見事に昇華させ、地図の形で結実させてくれた。実在の街の写真イメージを組み合わせ、その街の手触りまでを必死に伝えようという姿勢に頭が下がる。 著者が子供の頃から描き続けてきた地図の数々を "パンツを脱いで" 紹介する姿勢も素晴らしい。地図創りの根幹を支えているフィールドワークのノウハウも惜しみなく公開してくれている。 大判地図を収録するためのちょっと凝った装丁も実に良い。